けいはんのはざまにて

心にうつりゆくあれこれについて忘れぬうちに書きとめよう

4月の花(3)

2020-07-28 12:24:01 | 日記
 夏の今頃、何を…ですが。たまたま読み返した「4月の花(2)」。新型コロナで遠出を控えた時分「近所で撮った花のことを知りたい」と調べた内容。
 「4月の花」が長過ぎる、と切り分けた「4月の花(2)」。まだ長い。後半を「4月の花(3)」と再度分離することに。
 (Wikipediaその他のHPやブログの記事、図書を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)

 カキドオシ(垣通し)。
 シソ科カキドオシ属。別名レンセンソウ(連銭草)、カントリソウ(癇取草) 。北海道~九州に分布。
 「垣通し」の名は、隣の庭から垣根を突き抜けて勢いよく伸びる様子から。「連銭草」は、丸い葉が並んで見えることから。「燗取り草」は、子どもの燗の薬にするから。
 茎や葉の全体に細毛があり、よい香気がある。
 春、花が咲くころは直立するが、花の後、茎が伸びるとつる状になり地面を長く這う。一般に春の葉は小さく夏には大きくなる。
 葉を揉むと強く香る。若葉は食用となり、あくを抜き、和え物やお浸しにする。 

 ヤエザクラ(八重桜)。
 まだ咲き始め。能因法師塚で。品種名は不明(関山か)。

 参考までに、同じ八重桜のギョイコウ(御衣黄)。
 2013年4月、仁和寺で撮影。珍しい緑色の花弁は次第にうす桃色に変わっていく。

 フリージア。
 アヤメ科フリージア属 。近所の各所に植えられていて今が盛りだ。
 南アフリカのケープ地方に10種余りが自生。オランダで品種改良され150以上の園芸品種があるそうだ。これは一般的な「アラジン」のようだ。

 オレンジ系のフリージア。 

 紫系のフリージア。多くの庭に、色々なフリージアが咲いていた。

 面白い形の花を見つけた。ペチコートスイセン(ペチコート水仙)。能因法師塚で。
 ヒガンバナ科スイセン属。原産地は地中海沿岸。
 Wikipedia「ペチコート」より「アマゾン(ペチコート屋)シフォン2段ペチコート」より 
 耳にしたことはあるが、よく分からなかったので一応ペチコート(ペティコート)で検索。「スカート生地の滑りをよくするためスカートの下に着用する下着」のようだ。

 ハナズオウ(花蘇芳)。
 今まで知らなかった植物。4月によく見かけた。安満新池のそば。
 マメ科ジャケツイバラ亜科の落葉低木。 中国が原産地。ちなみにジャケツイバラは下のような植物。

 Wikipedia「ジャケツイバラ(蛇結茨 )」より
 漢字では「蛇結茨」。枝がもつれ合う様を、ヘビ同士が絡み合う様に見立てた名前。 宮城県以南の本州~南西諸島に分布。

 ネモフィラ。近所の畑で。ハッとする明るい青。瑠璃色のかわいい花だ。

 ひたち海浜公園みはらしの丘(Wikipedia「ネモフィラ」より)
 今流行りの花らしい。このような広大な花畑の広告をけっこう目にする。
 ムラサキ科ネモフィラ属。ネモフィラ属は、北米に11種が分布。

 近所の中学校で。真ん中左の渋いピンクの花。
 これも意識することなく見逃していた花。一度気が付くと、あちこちに生垣として植えられているのに気付く。

 花のつくりがマンサクに似てると思い調べると、やはりそうだった。
 ベニバナトキワマンサク(紅花常盤万作)。防災公園で。

Wikipedia「マンサク(万作)」より
 マンサクは有名だ。独特のチリチリした感じの黄色の花。まだ寒さが身に染みる頃に咲く。「まず咲く」からマンサクと言われる。

Wikipedia「トキワマンサク(常盤万作)」より
 これがトキワマンサク(常盤万作)。
 ユキノシタ目マンサク科トキワマンサク属。本州中部以南から九州、台湾、中国南部、インド東北部に分布。日本での自生は、静岡県湖西市・三重県伊勢神宮・熊本県荒尾市のみで知られる。「隔離分布」として説明されていたが、中国から持ち込まれたものが逸出したのかもしれない。

 (※環境省による『課題名 D-0903 絶滅危惧植物の全個体ジェノタイピングに基づく生物多様性保全に関する研究』 (課題代表者名 井鷺裕司〔京都大学大学院農学研究科森林科学専攻森林生物学研究室〕の D-0903-iv の資料引用)
 常緑小高木。花期は5月頃で細長い4枚の花弁の花を咲かせる。
 ベニバナトキワマンサク(中国原産)はトキワマンサクの赤色変種なのだ。

 ヒメリンゴ(姫林檎)。
 バラ科ナシ亜科リンゴ属。植物学上の和名はイヌリンゴ。
 園芸品種で、セイヨウリンゴとズミの雑種とする説が一般的だが、詳細は不明。 
 ズミ 2020年6月上高地で 果実に酸味があり「酢実(すみ)」 コナシともいう

 HP「庭木図鑑・植木ペディア」よりズミの実の写真の引用 実の直径は6ミリ程度
 熟しても酸味が強い。お祭りの露店で売られる「りんご飴」の材料にされる。 
 近くの幹線道路沿いに街路樹として植えられている。毎年、沢山赤い実を付けているのを見るとうれしくなる。「りんご飴」を作ってみたいがまだ試していない。

 カロライナジャスミン。
 沢山の黄色い花が白い壁からあふれ出すように咲いていた。奥天神町で。
 ゲルセミウム科ゲルセミウム属。北アメリカ南部~グアテマラ原産のつる性植物。ジャスミンに似た甘い香りをもつが、まったく異なる仲間の有毒植物。
 茎・根・葉・花など全ての部分にゲルセミシン、ゲルセミンなどの有毒成分を含む。「ゲルセミン」を調べるとこんな花が出てきた。

 Wikipedia「ゲルセミウム・エレガンス」より
 カロライナシャスミンとよく似ている。同じゲルセミウム属の「エレガンス」だ。やはりつる性の常緑低木で、東南アジア~中国南部に自生 。
 別名は、冶葛(やかつ)、鉤吻、断腸草、胡曼藤(草)、野葛、毒根、黄藤、大茶薬(藤)、除辛、爛腸草、ランゴン、シュア・ノーツァ。 
 何でこんなに名前があるかというと、この植物が世界最強の植物毒を持つ猛毒植物のためのようだ。

 Wikipedia「ゲルセミン」化学式
  有毒成分はゲルセミン、コウミン、ゲルセミシン、ゲルセヴェリン、ゲルセジン、フマンテニリンなどのアルカロイド。毒部位は全草で、もっとも毒の強い部位は若芽。主要な中毒症状は呼吸麻痺。延髄の呼吸中枢を麻痺させる。
 漢方では、根を乾燥させたものを「鉤吻」と呼び、喘息治療や解熱、鎮痛などに用いる。毒性が強いので「内服は厳禁」とされる。正倉院宝物にも「冶葛」が含まれる。
 「カロライナジャスミン」ではなく、属名の「ゲルセミウム(Gelsemium)」か、種小名のセンペルヴィレンス(sempervirens)」と呼ぶ方がふさわしいのではと思う。ちなみに「sempervirens」とは「永遠に生きる」と言う意味らしい。 

 オルレア・ホワイトレース。美しが丘町で。
 とても目立つ花なのに今年初めてその存在に気づいた。セリ科オルレア属。 “オルラヤ”と呼ばれることもある。
 学名は「Orlaya grandiflora」。 Orlayaを「オルレア」と読むか「オルラヤ」と読むかの違い。学名はモスクワの医師Johann Olrayへの献名。grandifloraは「大花の」という意味。確かにセリ科と思えない、大ぶりな花を付ける。 
 本来多年草だが、日本では夏の暑さで枯れてしまうため一年草として扱われているそうだ。

 不明。古曽部町で。
 モクレン科のような感じがする。ネットや図書で調べるが見つからない。気になって仕方がない。

 分からないまま10日ぶりに植えられているお宅を訪ねてみた。花の数は少なくなり、花びらが散って雌しべだけのものが多い。呼び鈴を押して家の方に聞いてみた。

 答えは(家の方も)「わからないんです」。
 「ずっと前からある。父が植えたのかもしれない。鳥が運んで来たのかも。『植木屋さんが〇〇だと言ってたよ』と母が話していたような気もする。でも覚えていない。(春になると)良く聞かれるので自分もネットで調べたことがあるが分からない」と言われた。
 その方がおっしゃるように、花の散った後の花軸を見ると、モクレン科に違いない。その方は私に、花が一輪付いた枝を折り取って下さった。

 花は簡単にバラバラになった。花びらを並べると
 この花では10枚あった。ハクモクレンのパターンなら、左の3枚(外側)が同じ形のがく片で、残り7枚は花弁か。
 花被(がく片・花弁)は肉厚で葉脈ののような筋が入っている。

 雄しべ・雌しべはシュモクレンやコブシ、タムシバに似ている。葉の写真も載せておく。



 お判りになる方があればお教え下さるとうれしいです。

北海道の山(番外編)「十勝岳」2020.7.19

2020-07-27 09:51:03 | 登山
 アポイ岳登頂で今回の北海道の山歩きは終了した。
 天候が安定せず山行をあきらめた十勝岳だが、週末、娘家族と富良野を訪れる機会を持てた。十勝岳のすそ野に近づいただけだが、その時の写真を紹介しておきたい。
 (Wikipediaその他のHPやブログの記事、図書を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)
 17日は平日だったが、この日しか休めない娘の連れ合いが我々を『フルーツの里』仁木町(にきちょう)へ「サクランボ狩り」に連れて行ってくれた。色々な品種のサクランボを山ほど食べることができた。

 「いくらでも食べられる」という自信があったが30分でギブアップ。

 こんな箱が何か所か置いてあった。竹や葦の中に巣をつくって産卵するハナバチのために設置されたものではないかと思う。

 リンゴの果実も育ちつつあった。
 サクランボの種飛ばし大会の会場。この大会も、今年は新型コロナのため中止。
 サクランボ農場からの遠望。あの山の向こうに赤井川村があるはず。
 帰りに余市町の「海鮮工房かきざき」へ。積丹半島の新鮮な海の幸を頂いた。美味しかった。

 Google mapより
 18・19日。娘の連れ合いは行けなかったが、娘・孫たちと富良野に向かった。
 道央道で三笠IC。道道116号で三笠。国道452号・道道135号で富良野へ。
 途中立ち寄った「三笠市立博物館」の巨大なアンモナイト化石。
 中富良野のNANAKAの花畑。

 有名な「ファーム富田」の規模はないが、孫とバッタを探しながら最盛期のラベンダーの花の香りに浸ることができた。
 十勝連峰の遠望。

 大きな音がすると思ったら、十勝岳下の牧場のような場所から土色の煙が。上富良野駐屯地の陸自演習場だ。
 ズッキーニの実がこんな風になっているのを始めて知った。

 その後、何度か泊めて頂いた「HURANO HOSTEL」にお邪魔した。富良野盆地と十勝連峰を見渡せるすてきなデッキが魅力的な宿。広いデッキに設置されたハンモックやブランコで、しばし孫と遊ぶことができた。
 この日は上富良野の日の出公園キャンプ場のコテージに宿泊。
 19日は十勝岳の山裾にある吹上温泉に向かった。
 「吹上温泉保養センター 白銀荘」に到着。十勝岳登山で泊まるはずだった併設のキャンプ場の方向。火口からガスを噴き出す十勝岳。
 入湯してから孫とキャンプ場に上がった。孫は広い芝地を走り回って遊んだ。
 吹上温泉の後、展望台がある「望岳台」にやって来た。標高が930mある。

 正面が十勝岳(2077m)。登山道のそばにいくつのもケルンが積まれている。
 ここが十勝岳登山のメインの入り口。噴煙・蒸気を上げるのは大正火口と62火口。

 左(北東)方向に、山頂が雲に隠れた美瑛岳(2052m)と美瑛富士(1883m)。
 早速、火山の岩場や砂礫地に多いイワブクロ(岩袋)が登場。ゴマノハグサ科の多年草。 
 ウラジロタデ(裏白蓼)。タデ科オンタデ属の多年草。 雄花を付けた雄株。
 アカエゾマツの幼樹?

 場所・標高による植生の違いがわかる。
 マルバシモツケ。
 ウラジロタデ。雌花を付けた雌株。
 シラタマノキ(白玉の木)。ツツジ科の常緑小低木。 イワオヌプリで見たアカモノと同属。果実は甘味はあるがサリチル酸の臭いがするらしく、生では食べずに果実酒にされるという。 
 ミヤマハンノキ(深山榛の木)。カバノキ科ハンノキ属の落葉低木。
 ガンコウラン(岩高蘭)。ツツジ科の常緑小低木。雌雄異株。 
 Wikipedia「ガンコウラン」より引用 
 ガンコウランの果実。これは何度も見たことがある。ビタミンやミネラルが豊富でジャムにされるそうだ。
 しかし「ガンコウランの花」と言われても思い浮かばない。実は、開花の時期が早く目立たない花のため見つけるのはむずかしいそうだ。だから「高山植物の写真集」等で見かけないわけだ。 HP「山形市野草園」から花の写真を引用。
 雄花。葯が飛び出している。
 雌花。確かに地味である。
 タカネナナカマド(高嶺七竈)か?
 この貧弱な葉だけでよく花を咲かせた!
 イソツツジ。
 ハイマツ。
 望岳台から美瑛川沿いに下る。美瑛の波状丘陵を眺めながらJR富良野線の美馬牛駅へ。国道273号線を横切って西へ向かう道。
 収穫前の麦畑から十勝連峰を望む。
 同上。
 西方はるか芦別岳の山並みが見える。
 JR富良野線より西側の丘陵地。
 日本産の小麦がもっと生産できる社会になってほしい。
 富良野市内のレストランでランチを食べた。来た道を通って札幌に帰る。雪渓を残した芦別岳(1726m)が見える。いつかあの山頂にも立ってみたい。

北海道の山(8)「アポイ岳」2020.7.16

2020-07-16 15:21:44 | 登山
 今回の札幌滞在も残り少なくなった。平日に行く「北海道の山」。最後はどこにするか。天気予報と相談しながら考えた。

 第一希望は「十勝岳」。ここなら高速バス・JR・町営バスで登山口まで行ける。1泊2日で何とか帰ってこれそうだ。
 ところが「空知地方」の天気が思わしくない。眺望が効かない登山は面白くない。また十勝岳はガスがかかると道に迷いやすい、とも書いてある。ぎりぎりまで天気予報を見る。「富良野は曇り・雨」「浦河は晴れ」。当日(7月15日)朝の天気予報で日高の様似町にある「アポイ岳」に行くことに決めた。
 (Wikipediaその他のHPやブログの記事、図書を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)
 JR日高本線の浦河駅。
 高山植物の固有種が多いことで有名なアポイ岳。JR日高本線の終点「様似駅」の様似町にある。
 日高本線は、2015年の高波・2018年の地震で線路や橋脚が各地で被害を受けた。復旧されないままJRは廃止の方向を考えている。母親が住む島根県の三江線の廃止(2018年3月末)を身近に見てきたので、悲しい気持ちがした。

 公共交通の利用は厳しいのでレンタカーにした。1泊2日の行程。アポイ岳登頂(往復)の時間は5、6時間。何とかなると考え24時間レンタルを頼んだ。

 7月15日(水)14時40分出発。道央自動車道で苫小牧東IC、そこから日高自動車道で現在の終点、日高厚賀ICへ。国道235号線で様似町のアポイ岳ビジターセンターにある「アポイ岳キャンプ場」に17時40分、到着。ちょうど3時間かかった。
 様似から見たアポイ岳。山頂付近は雲に隠れているが青空がうれしい。明日への期待が高まった。
 アポイ岳キャンプ場。広々とした芝地の快適なサイト。この日はファミリーの大きなテント1張り。ソロキャンプ5張りだった。
 すぐにテントを張り寝床を整え、夕食の準備。
 今晩のメニュー。〈 チキンライス、なめこの味噌汁、シーチキンのガーリック醤油焼、コンビーフ、プチトマト、百川(青森の酒)のにごり酒、シーフードヌードル、水羊羹 〉
 ソロキャンプの方と会話した。リヤカーで荷物運びをしていた若者。「今回が初めての北海道です」。バイクで上陸したばかりだと。
 準備ができて一杯やりながら夕食中。炊事場で洗い物をしていた同年代の二人の方と。二人ともここに連泊して近くを回っている。一人の方はカブでキャンプ・ツーリング。自分も憧れている旅だ。関東の方で、毎年1か月京都でマンスリーマンションを借りて暮らしている。違った月で借りる。今年は来月だと。「8月の京都は酷暑で最悪ですが素敵ですね」と話した。
 トイレは一段上がった広いキャンプサイトにあった。きれいなトイレだ。このキャンプサイトの真ん中に、ソロの方が一人。ワンポールテント。焚火台でガンガン火を焚いて楽しんでおられた。うらやましい!
 トイレの入り口にはこんなネットが張ってあった。真ん中が縦に割れていて、すぐに入れる。入ると左右のネットの磁石が引き合って自動的にきちんと閉まる。グッドアイデアです!
 しめのヌードルとデザートの水羊羹を頂く。コンロを持参してないので焚火はなし。片付けをしてテントに入った。ところがこの夜はなかなか寝付けなかった。午前2時まで寝られなかった。
 しかし7月16日(水)、予定通り4時起床。まあ何とかなるだろう。
 テントのフライシートがあまり濡れていない。空が曇っていた証拠だ。今日は「15時レンタカー返却」。帰路に余裕がない。すぐにテントを片付け、朝食をとった。キャンパーの方に「良い旅を!」とあいさつして車に荷物を積み込んだ。同世代の方は今日、楽古岳に行かれるそうだ。
 アポイ岳ジオパークビジターセンター。余裕があれば帰りに寄りたい。
 曇り空。アポイ岳は全く見えない。天気予報は外れた。気落ちしたが仕方ない。「アポイ岳には高山植物がある」と考えて登山スタート。
 始めはこんな砂利道が続く。

 やがて「無人入林届出所」。入山届を見ると、自分が今日の入山者第一号。5時20分入山。
 道はきれいだ。だがここは日高山脈の南端。ヒグマのメッカの一つだ。これまで買っていなかったクマよけの鐘を一昨日ようやく購入。初めてザックに付けた。
 街の雑草の種子など持ち込まないよう沢に入りブラシで靴底を洗う。
 すぐにエゾジカと出会った。どこにいるかわかるだろうか?
 クマよけの大きな半鐘。ロープを左右に振ると、大きな音がでる。かなり遠くまで聞こえる。100mおきにぶら下げてほしいと思った。
 第2休憩所の掲示。その通り。他では感じない独特の雰囲気の森だ。
 第4休憩所。さすがジオパーク。休憩する場所が多くて助かる。この沢は常に水が枯れず在来種のザリガニが生息しているそうだ。が、行き帰りとも探してみたが発見できず。
 道はしっかりしている。
 6時、3合目に到着。ここもガンガン鳴らした。ヒグマが活発に動くのは早朝と夕暮れと聞く。自分の前に誰もいず後にもいない。歩きながら「ホイ・ホーイ!」等と大声を上げ、ヒグマに警戒してもらえるよう努力した。
 だんだんガスが濃くなってきた。
 「アポイ岳は810mという低い標高ながら約80種の高山植物が生育し、しかも亜種・変種・品種を含む固有種は20種近くに及びます」
 「これは、アポイ岳が海に近く冷涼な気象条件にさらされていることに加え、植物の生育を阻害するかんらん岩が平地の植物の侵入を防ぐバリアとなり、疑似的な高山帯をつくっているためと考えられています」
 6時30分、「5合目山小屋」(避難小屋)に到着。標高365m。
 中はこんな感じ。
 頂上方向はガスのため全く視界なし。
 しかしここからの尾根道の両サイドは素晴らしかった。ずっと高山植物が目を楽しませてくれた。
 イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)。シソ科イブキジャコウソウ属の小低木。全体に芳香があるそうだ。 今日はこの花が一番目立っていた。
 ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)。これも目立っていた。ツツジ属シャクナゲ亜属の低木。亜高山帯では樹高が3m程度になるがハイマツ帯では50cmにも満たない場合がある。花は白~淡い紅色。内側に薄い緑色の斑点がある。
 階段の丸太の隙間に咲く健気な花。サマニオトギリ(様似弟切)。固有種。

 他では見られない光景。樹木はキタゴヨウ(北五葉)。マツ科マツ属。ハイマツと共にゴヨウマツ類に属す。1つの鞘から5本の葉(針葉)が出る。本州中部以北~北海道南部にかけて分布。種間競争力に乏しく尾根上に小規模に生育するのが一般的。 
 霧の向こうに太平洋が広がっているのだろう。
 かんらん岩の表面は薄茶色をしている。これは岩の断面が見える。
 内側の薄い緑色(黄土色?)の斑点がよくわかる。ハクサンシャクナゲ。
 まとまって咲くサマニオトギリ。
 タカネノガリヤス(高嶺野刈安)。イネ科。刈り安い草という意味。
 このうさぎの耳たぶのような草は?
 互層ってどこだ?
 これのことかな?
 これは…変わった葉をしている。キンロバイ(金露梅)。バラ科キンロバイ属の落葉小低木。「葉は互生し、3小葉または5小葉の奇数羽状複葉になる」(Wikipedia)。確かに。

 北海道(夕張山地の崕山・芦別岳・アポイ岳)、本州(早池峰山・焼石岳・船形山・谷川山系・至仏山・八ヶ岳・南アルプス)、四国に分布。亜高山帯~高山帯の蛇紋岩地や石灰岩地に生育。確かによく行く北アルプスでは見かけない。

 日本ではアポイ岳のみに生息する高山蝶・ヒメチャマダラセセリ(国の天然記念物)の食草だそうだ。
 これはシロバナイブキジャコウソウだ。
 エゾノカワラマツバ(蝦夷の河原松葉)。アカネ科ヤエムグラ属。ヤエムグラ属ね。変わっている。
 
 この花は…オヤマソバ(御山蕎麦)。
 タデ科オンタデ属。日本固有種。北海道では十勝岳、日高山脈、アポイ岳、ニセコ連峰。本州では八甲田山、八幡平、岩手山、秋田駒ヶ岳、早池峰山、東吾妻山、北アルプスに分布。高山帯の砂礫地や岩場に生育する。 
 これは?
 標高は低いがハイマツ帯。
 うさぎの耳たぶはこれだった。アポイハハコ(あぽい母子)。タカネヤハズハハコの固有品種。キク科ヤマハハコ属の多年草。高さ30cm内外。雌雄異株。 
 これは?は、アポイヤマブキショウマ(あぽい山吹升麻)だった。バラ科ヤマブキショウマ属。小葉が厚く硬い。幅も広く鋸歯が深く鋭い。葉先も尾状にならない。ヤマブキショウマとは大分印象が違う。固有変種。

 もう一度エゾノカワラマツバ。一つ一つが黄色の十文字。可愛らしい花だ。
 アポイハハコの少しアップ。
 天気はこんな状態が続いた。
 新顔登場。ガスで花を閉じている。エゾコウゾリナ(蝦夷髪剃菜)。キク科エゾコウゾリナ属。一属一種のアポイ岳固有種。
 何の花の跡? チングルマか?
 新顔登場。見たこともない独特の花。アポイマンテマ。ナデシコ科マンテマ属。
 カラフトマンテマ(北海道の大平山だけに分布)の固有変種。 高さ15cm内外の多年草。茎や葉裏は紫色で葉は線状披針形。花は茎の先に横向きにつき、萼は筒状で、濃い筋がある。花弁は白色~淡紅色。 
 何度もイブキジャコウソウ。とても沢山咲いていて目を楽しませてくれる。
 アリに襲われるアイヌキンオサムシ。オオルリオサムシに似るが、頭部が短く前胸背板の形状が異なる。移動性が少ない(飛べない)ので多くの亜種に分化している。日高山脈中部以南に分布するヒダカキンオサムシか。成虫・幼虫ともにカタツムリを捕食する。 
 アポイマンテマが多くみられるようになった。

 アポイ岳の高山植物のピークは5~6月。ぜひまた訪ねたい。
 4for travel.jp「アポイ岳のお花畑は素晴らしいところ」かっちんさん2014/05/29/05/29より写真引用
 晴れたら見えるはずの馬の背から山頂への山並み。
 今日はこんな状態。
 ミヤマビャクシン(深山柏槙)。ヒノキ科ネズミサシ属。高山の岩場に生える常緑低木。北海道~中部山岳地帯、屋久島まで分布。基本的には高山だが、低地でも地形が急峻で他の高木との競争がない場所に隔離分布する。
 ハイマツの松ぼっくり。
 
 アポイアザミ(あぽい薊)か。高さ1.5m内外の多年草。北海道に多いチシマアザミよりやや小型で、茎や葉も細く、葉は8~12対のクシの歯状に中~深裂し、裂片の幅は広い。
 きれいです。
 きれいです。
 このセリ科の花は…エゾノハクサンボウフウ(蝦夷の白山防風)。セリ科 カワラボウフウ属。ハクサンボウフウの固有品種。

 このコケは…キノコ?
 高度感ある。
 7時25分、8合目到着。
 アポイヤマブキショウマの花。普通のヤマブキショウマとはかなり雰囲気が違う。
 後ろの葉の上にマイマイが写っている(当日は気が付かず)。アポイマイマイではなさそうだが、カドバリヒメマイマイに見えなくもない。
 HP「北海道生物図鑑」よりアポイマイマイ。

 HP「かたつむりびより」よりカドバリヒメマイマイ。(2013.JUN:様似町)
 島牧村の大平山と日高のアポイ岳のみに分布するヒメマイマイの変種。 ヒメマイマイは地域的変異の多いカタツムリだが、その中でも石灰岩地帯に生息する型であり、角が尖り扁平な形をしているのが特徴。
 この針葉樹は…アカエゾマツの幼樹?
 エゾタカネニガナ(蝦夷高嶺苦菜)の花の後か。準固有種。

 ハイマツの上部にシラカバ林が。
 来たね。
 7時45分、山頂到着。810.6m。
 この先に道が続いている。
 アポイ岳の北方の吉田岳(825m)、ピンネシリ(958m)に続く。ピンネシリは喜茂別町の尻別岳の旧名だが、アイヌ語で「男の山」という意味。マチネシリ「女の山」と対で使われる。 
 一等三角点がある。
 自分はここから笹原の中を南に下った。「幌満お花畑」に寄って帰るため。
 地衣類? コケ? 粘菌?
 この辺り、ハクサンシャクナゲが多かった。
 蜘蛛の巣に付いた水滴が美しい。クモにはとんだ迷惑か。
 シラカバの下にハイマツが出る不思議。下草はミヤコザサ。
 「この辺りマダニが多い」ということで、スパッツを着用してきたが。
 笹原が終わり、裸地となった鞍部が見えてきた。8時20分、「幌満お花畑」到着。
 ここはかつてヒダカソウの名所だったらしいが、盗掘やハイマツの侵入で見られなくなったそうだ。確かにハイマツが寄ってきている。
 Wikipediaより写真を引用。ヒダカソウ(日高草)。キンポウゲ科キタダケソウ属の多年草。固有種。
 少しだが咲いていた。うれしい。エゾルリムラサキ(蝦夷瑠璃紫)。ムラサキ科。ミヤマムラサキの変種。白花も多い。

 これ1本だけ見た、ヒメエゾネギ(姫蝦夷葱)。ユリ科。準固有変種。
 お花畑を後に、林(アカエゾマツ)の中を西へトラバースしていく。
 花はハクサンシャクナゲだけになった。
 HP「花ママと花パパの野の花・山の花 北海道」よりエゾオオサクラソウ(蝦夷大桜草)の写真を引用。
 ガイドブックによると、5~6月この道沿いでこの花を沢山楽しめるそうだ。

 この葉の植物がエゾオオサクラソウだろうか。
 これは…
 今日始めて見たゴゼンタチバナ。

 この葉を見つけたが、アポイカラマツだろうか?
 8時50分、登ってきた道に合流。

 アポイアザミ。

 色々な葉が入り混じっている。大きな葉はエゾコウゾリナ? 咲き終わった花はエゾタカネニガナか。
 これはミヤマオダマキの葉か。
 エゾコウゾリナ。
 かわいい葉をしたサマニオトギリ。
 キンロバイとお別れ。
 イブキジャコウソウともお別れ。
 アポイハハコともお別れ。
 サマニオトギリともお別れ。
 エゾノカワラマツバともお別れ。随分露が付いたね。
 9時25分、5合目山小屋に到着。ここまで一人の登山者にも出会わなかった。
 小屋から下り始めて間もなく、クマよけの鐘の音が聞こえてきた。一人目の登山者が登ってきた。もう大声を出さないで歩ける。
 このシダは…
 あと少しだ。
 10時13分、入林届出所で下山のチェック完了。往復5時間弱の登山になった。届を見ると、ほとんどの方は8時過ぎからの入山だった。
 出口の近くの掲示板に今咲いている高山植物の紹介があった。参考になります。
 余裕を持って下山で来たので、ビジターセンターに入場した。この写真が載っていた。晴れていたら馬の背からの尾根道はこんな感じなのだ。悔しい。

 センターの職員の方に質問したり、図鑑「アポイ岳の高山植物と山草」という本を見て、今日見た植物の名前を調べさせて頂いた。またセンターの前の靴洗い場で、登山靴とスパッツを洗わせて頂いた。ありがとうございました。
 様似の海岸で親子岩を望む。
 11時30分、ビジターセンターを出発。帰り道も心配したほど眠くはならず、スムーズに3時間で帰着。無事14時30分にレンタカーを返却した。保育園の迎えも問題なく間に合った。

北海道の山(7)「小樽・塩谷丸山」2020.7.14

2020-07-14 20:10:48 | 登山
 梅雨前線による豪雨で熊本県を中心に各地で大きな被害が出た。北海道も天気は不安定な状態が続いている。そんな中「14日、後志(しりべし)地方は晴れ」の予報。以前手稲山で出会った方が「眺めが素晴らしい」と勧められた「小樽・塩谷丸山」を訪ねてみることにした。
 (Wikipediaその他のHPやブログの記事、図書を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)
 保育園に向かう娘と孫を見送ってから各部屋のマットレス・布団等の片付け、部屋の掃除、風呂掃除を済ませる。服を着替えリュックを準備して出発。スーパーで昼食を購入し電車に乗る。新千歳空港~札幌・小樽を結ぶ「快速エアポート」で、10時46分、小樽駅に到着。
 同じホームの向かい側、10時53分発の倶知安行き各駅停車に乗り換え。倶知安方面の列車は1時間に1本しかないので乗り継ぎは注意が必要。
 小樽の次が塩谷駅。10分で到着。ローカルな駅だ。
 自分を含め降りたのは4人。全員リュックを背負って同じ方向に行く。自分も安心してその後を追った。
 意外にも、一番完璧な登山スタイルの方が線路沿いの家に入って行かれた。もう一人の方に追いついたので「(あなたも)丸山ですか?」と笑顔で尋ねた。その方は前方を指さし「そこが自宅なんです」「頑張ってください。気を付けて!」と笑顔でおっしゃった。
 残り一人の方は案内板の方向に向かわれた。この列車の丸山登山者は二人のようだ。
 高速道路(「後志自動車道」)高架下のトンネル。左側に「丸山登山者駐車場」があった。結構スペースがある。車が10台位停まっていた。人気の山のようだ。
 トンネルを越えるとこのお知らせ。登山口までに早くも下山してきた方と挨拶。
 駅から登山口まで20分かかり11時25分に到着。いつもながらスロースターター。入山届のポストはスルーさせてもらった。丸山は見えない。森に入って行く感じ。
 エゾニワトコ。きれいな赤い実を付けていた。
 入り口辺りで沢山の蝶を見た。タテハ、シロチョウ、大きなシジミなど。
 平坦な道が続き歩きやすい。昨日の雨にもかかわらず道はぬかるんでいない。
 糞虫が頑張って仕事をしていた。
 ここから初めて傾斜が増し、ジグザグ道に。
 今年上高地で知ったクルマバツクバネソウ(車葉衝羽根草)。真ん中が雌しべ、その周りの8枚の細い花弁のように見えるのが雄しべ。
 北海道に来て覚えたウマノミツバ(馬之三葉)。セリ科ウマノミツバ属の多年草。 
 クルマユリ(車百合)。葉が茎の1か所から輪生する。それを車に見立て車百合。高山帯から亜高山帯の草原に分布。ここはかなり低地だが。
 久しぶりのカタツムリ。種名は不明。
 エゾタツナミソウ?と思ったが、花の付き方が違う。
 日当たりの良い場所に出てきた。この花が群生していた。ウツボグサ(靫草)。「靫(うつぼ)」は武士が弓矢を入れた道具。花の形がそれに似ているためとされる。 

HP「お花の写真集」より引用
 食虫植物のウツボカズラ(靫葛)。これなら「靫(うつぼ)」だ。ウツボグサの花が「靫(うつぼ)」ならシソ科はほとんどウツボグサでは?
 かわいい芋虫発見! ハバチ(葉蜂)という、胸と腹の間のくびれがなく、刺すための毒針を持たない原始的なハチの仲間の幼虫らしい。ハバチは世界に約1万種、日本に約720種が見つかっている。どんな蜂になるのだろう。
 セリ科だが…何だろう。
 ヨツバヒヨドリ(四葉鵯)のつぼみ。キク科ヒヨドリバナ属。
 
 シロバナニガナ(白花苦菜)。
 コウゾリナ(顔剃菜)か。
 ヤナギラン(柳蘭)。アカバナ科ヤナギラン属の多年草。 北海道・本州以北の亜高山帯から山地帯の草地や礫地に分布。北半球に広く分布する。

 山頂が見えてきた。この辺りでまた平坦な道が続いた。
 きれいな甲虫。雌雄かな。
 またカタツムリ。昨日の雨で活動していたのか。
 山頂方向に岩場が見えてきた。
 ふり返るとこの眺め。平坦な草原が続き視界が開ける。山頂が楽しみ。
 最後に低木の中の急登。岩が積み重なった道。
 頂上の案内板を通り過ぎ、60m先の「見晴らし台」に到着。12時32分。1時間少々の登りだった。
 素晴らしい。休んでおられた方に話を伺った。「今日は霞んで見えないが、あの方向に羊蹄山が見える」と教えてくれた。トレーニングがてらよく来られるようだ。

 空と海の境が分からない。だが素晴らしい眺めだ。
 振り返ると小さな祠があった。上に行って「お邪魔します」と手を合わせた。座りのよさそうな岩を見つけ昼食をとった。食べながら眺望を楽しんだ。
 この傾いた岩は何? 地層? と思い、調べてみた。HP「北海道地質100選」に次のような記述があった(この部分の執筆者:石井正之氏)。
 「山頂の安山岩溶岩:東南東に20°くらいで傾斜する板状節理が発達」。溶岩なのだ。つまり丸山は火山。兵庫県の「玄武洞」など「柱状節理」は有名だが、これは「板状節理」。

 もう少し引用。「…標高629.2m のドーム型の古い火山である。標高100m付近から250m付近までは、丸山火山噴出物のうち安山岩砕屑岩で構成されなだらかな地形を呈している」
 上の写真はその辺りの登山道。火山灰や火山礫(石ころ)が降り積もり、なだらかな斜面ができたわけだ。植物も繁茂しやすく森林が発達したのだろう。

 「YAMAKEI ONLINE」より写真(梅沢俊氏 函館本線小樽―塩谷間) 引用
 「標高250m付近から急斜面となり山体の各所に複輝石安山岩の断崖が形成されている。…さらに標高540m付近から三角形のドームとなり、頂上の西斜面はほぼ全面断崖となっている」。
 上の写真から、250m付近から傾斜がきつくなっていること、540m付近の台地の上に三角のドームが乗っていることが分かる。
 やっと首が座った月齢の赤ちゃんを背負子に乗せてやって来たお父さん。断崖のそばに立って赤ちゃんに絶景を眺めさせていた。素晴らしい「見晴らし台」。この場所が岩場のままなのはなぜだろう。
 これが丸山の頂上(629m)。
 海岸に向かう感じで下っていく。
 運悪く、登山者に踏みつぶされた? エゾトガリネズミの死骸。モグラに近い仲間。
 木から落ちて弱った毛虫。食べようとするオオヒラタシデムシ。
 下山途中、登山道をシマリスが横切った。道の脇で止まったので撮影を試みたが写っていなかった。
 ミゾホオズキ(溝酸漿)。
 キンポウゲ科か。

 フヨウやハイビスカスの花に似ている。葉は全然違う。
 ウシハコベ(牛繁縷)。ナデシコ科ハコベ属の越年草(多年草)。 ハコベの仲間は花柱が3個だがウシハコベは5個。拡大すると確かに5個ある。
 オカトラノオ(丘虎の尾)。サクラソウ科オカトラノオ属の多年草。 

 ヤマアジサイ。と思ったがエゾアジサイ(蝦夷紫陽花)。ヤマアジサイより全体が大きい。 装飾花の中にも本当の花(雄しべしか見えないが)が付いている。
 オトギリソウ(弟切草)。名前の漢字にびっくり。
 Wikipedia「…10世紀の平安時代、花山天皇のころ、この草を原料にした秘伝薬の秘密を弟が隣家の恋人に漏らしたため、鷹匠である兄が激怒して弟を切り殺し、恋人もその後を追ったという伝説によるもの…」とある。
 JR函館本線の線路沿いまで戻ってきた。
 ヨツバヒヨドリの花が咲いていた。
 14時前、塩谷駅に到着。朝一緒に列車を降りた方がすでに駅に戻っていた。「お疲れ様」とお互い笑顔で言葉を交わした。喉を潤したかったが、駅の周りに自販機はなかった。
 14時。まず小樽からの下り列車が到着。
 間もなく我々が乗る小樽行上り列車が到着。14時02分、塩谷駅を出発。
 きれいな車内。窓が広くて明るい。間もなく小樽到着。
 「裕次郎ホーム」。観光客の多い小樽駅だが、ホームに売店はなく(ジュースやお茶の自販機はある)ホームに窓口を持つ駅舎の売店もなかった。
 改札の駅員の方に「アルコール飲料を買いたいので、改札のすぐ横、駅舎内の売店に行きたい」と申し出た。「(近距離切符だから)途中下車は認められない」と機械的な対応。しばらくやり取りしてやっと「今回だけ」と認めてくれた。😠 😠😠
 美味しかった!! 後ろは手稲山。
 札幌駅に着いてから駅の方に正式に利用者として要望を伝えた。「有名な観光都市の駅のホームに売店がない。せめて駅舎の売店にホーム側に対応できる窓口をつくってほしい」。駅の方はきちんとメモを取り「希望通りになるかはわかりませんがちゃんと上に伝えます」と答えられた。
 天気は次第に良くなってきた。今なら「見晴らし台」から霞みのない眺めが楽しめるかもしれない。

北海道の山(6)「羊蹄山」2020.7.10

2020-07-11 14:37:00 | 登山
 4時起床。フカフカの芝生のおかげでまずまずの寝心地だった。フライシートが夜露でぐっしょりと濡れている。中のシュラフ・マットなどは片付け、テントは山から戻るまで立てておくことにした。見上げると、羊蹄山頂にわずかに雲はあるが登山日和の一日になりそうだった。
 (Wikipediaその他のHPやブログの記事、図書を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)
 朝食は〈山菜ごはん・ナスの味噌汁・トマト・サクランボ・コーヒー〉。コーヒーを楽しんでいるうちに大変なことに気づいた。今日の昼食を買い忘れている! あるのはミニトマト1パックとチョコレート菓子(アルフォート)3枚のみ。標高差1500mを往復するにはかなりきつい内容。だがどうしようもない。これで食いつなぐだけ。
 4時過ぎからポツポツと登山者が前を歩いて行く。その度に会釈を交わしたが、気持ちは少々焦ってきた。
 装備を整えさあ出発! と思ったら急にトイレに行きたくなった。結局5時10分に出発。キャンプ場から少し上がった所に入山届箱があった。2組の方がおられた。自分の番になり、先に書かれた二人が茨城県の方と分かった。さすが「100名山」である。
 その方は帰還予定時刻を「午後2時」と書いていた。往復9時間…。やはりそれぐらいかかるのか(保育所のお迎え大丈夫かなぁ…)。自分も「午後2時」と書いて、いよいよ樹林帯へ。

 スタート辺りの樹林帯の下草にフッキソウが多く見られた。ここでも不気味なアオバトの声が聞こえていた。山道は始め段差の大きい木の階段からスタートした。
 5時30分、1合目に到着。
 やがて「南コブ(標高650m)」への道が分かれる。上の羊蹄山、下の麓の景色が両方眺められる展望地のようだ。
 この辺りは白樺林が続いた。
 5時50分、2合目に到着。白樺林をさらに進む。水平に巻く道を行くと麓の眺望が開けてきた。
 樹林の隙間から山頂のようすも見えてきた。
 展望が開けるとやはりうれしい。
 ハナニガナの群落。日が陰っている所は花がまだ開いていない。日が当たると開くのだ。
 6時20分、3合目到着。
 ノウゴウイチゴ(能郷苺)の群落。まるでイチゴ畑。バラ科オランダイチゴ属。普通のイチゴとそっくりで美味しそう。しかし登山者が試食した形跡はない。エキノコックスの問題があるからだろう。
 羊蹄山は休憩できるベンチがほとんどない。横たわった木に座って休憩した。
 6時45分、4合目に到着。笹原が広がり始めた。
 北海道の山歩きでよく見かけた植物。名前がわかった。エゾノヨツバムグラ(蝦夷の四葉葎)。アカネ科アカネ亜科ヤエムグラ属。
 果実をつけたエンレイソウ(延齢草)。
 果実をつけたサンカヨウ(山荷葉)。メギ科サンカヨウ属の多年草。 大小2枚の葉がセットになり花は小さい葉につく。雨に濡れると透き通る白い花を咲かせる。 熟すと青紫色になる果実は甘いらしいが…。 

 7時05分、やっと5合目に到着。ここまで2時間。まあこんなものだと思う。
 7時35分、6合目到着。樹高が低くなり風も強くなった。上着を着る。
 マイヅルソウの花が新鮮。
 7時50分、7合目到着。
 ゴゼンタチバナの花が目立ってきた。
 コケモモ(苔桃)。白っぽい花弁の花。
 マルバシモツケ(丸葉下野)。
 ヤマブキショウマ(山吹升麻)。
 8時15分、8合目到着。9合目まで山を時計回りに巻いていく。
 洞爺湖がよく見えてきた。
 イワブクロ(岩袋)登場。ゴマノハグサ科の多年草。北海道~東北地方の高山帯に分布する高山植物。火山系の山の岩場や砂礫地に多い。 
 この標高のノウゴウイチゴはまだ花の状態。
 ウラジロタデ(裏白蓼)。タデ科オンタデ属の多年草。高山植物。 雌雄異株。 

 ウコンウツギ(鬱金空木)が登場。スイカズラ科タニウツギ属の落葉低木。 北海道~東北地方北部の亜高山帯に分布する高山植物。 
 チシマフウロ(千島風露)。フウロソウ科フウロソウ属の多年草。 

 可愛い花だ。北海道~東北地方の亜高山帯~高山帯に分布。日当たりの良い草地や砂礫地に生育。 
 高度感が素晴らしい。
 メアカンキンバイ(雌阿寒金梅)が出てきた。バラ科キジムシロ属。

 サマニヨモギ(様似蓬)か。キク科ヨモギ属の高山植物。北海道~本州東北地方北部(早池峰山、八幡平茶臼岳・八幡平源太ヶ岳)に分布。
 ニセコ比羅夫スキー場がよく見える。
 8時45分、9合目到着。避難小屋への道が分かれる。
 避難小屋の遠望。小さな雪渓も残っている。
 タカネナナカマド(高嶺七竃)か。バラ科ナナカマド属の落葉低木。

 山頂が見えてきた!
 エゾニュウか。セリ科・シシウド属の植物。「ニュウ」はアイヌ語で「茎に甘味があり食用・薬用になる」ことらしい。 下の写真のような若い茎を山菜として利用する。おいしそうだ。

「あきた森づくり活動サポートセンター「」HP「山菜採りシリーズ⑰」より引用
 セリ科の花には必ず色々な昆虫が集まっている。
 ハクサンチドリも出てきた。
 今年初めてのクルマユリ(車百合)。
 ウラジロナナカマド(裏白七竃)。小葉の上半分には鋸歯(きょし:ギザギザ)があるが下半分にはないのが特徴。
 カラマツソウ(落葉松草)。日本固有種。
 シラネアオイ(白根葵)の花がわずかに残っていた。キンポウゲ科。1属1種の日本固有種。
 エゾスジグロチョウか。
 キバナシャクナゲ(黄花石楠花)が出てきた。ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)より標高が高い所に生育。生息環境が厳しいため樹高は30~40cmしかない。 

 ミヤマキンバイ(深山金梅)が出てきた。シナノキンバイのようにキンポウゲ科ではない。バラ科キジムシロ属の多年草。イチゴの葉に似た、はっきりした葉脈と光沢がある葉が特徴。 
 エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜)が出てきた。ツツジ科ツガザクラ属の常緑小低木。北海道~東北地方の高山帯に群生する。 
 エゾノイワハタザオ(蝦夷の岩旗竿)。アブラナ科ハタザオ属。
 
 キバナシャクナゲが満開。背が低いが大きく美しい花を咲かせる。
 ミヤマクロスゲ(深山黒菅)。カヤツリグサ科スゲ属。目立たないが一生懸命咲いている感じがする花だ。
 エゾノツガザクラ。多くの花の同じ側に穴が開いている。蜜取り昆虫の仕業?
 キバナシャクナゲのこの葉は?
 イワベンケイ(岩弁慶)。ベンケイソウ科イワベンケイ属の多年草。 雌雄異株。これは雄花。
 9時15分、ついに「10合目?」に到着。
 「この大きな火口を見よ!」と言いたいが、写真では実際の広大さ、スケール感はとても表せない。
 地図を見ると山頂はまだ数10分先。あのギザギザの頂きのどれかだ。
 火口の底に雪解け水がたまってできた池(水たまり?)があった。
 ハイマツの雄花。
 コケモモ(苔桃)。赤っぽい花弁の花。ツツジ科スノキ属の常緑小低木。 世界的に分布している。
 ミネヤナギ(峰柳)。ヤナギ科ヤナギ属。北海道~本州中部以北に分布。亜高山帯~高山帯の岩礫地や草地、湿地帯に生える落葉低木。

 山頂を目指す道はアップダウンを繰り返す岩登り。疲れた足腰にかなりこたえた。
 ヤマハハコ(山母子)。キク科ヤマハハコ属の多年草。雌雄異株。 
 山頂まだか~!!
 つややかな葉のミヤマキンバイ。
 エゾタンポポか。それともここと大平山に生育するというオダサムタンポポ?

 イワウメ(岩梅)。イワウメ科イワウメ属の常緑小低木。 北海道から本州中部までの高山帯に分布。岩礫地や岩壁に張り付くように生育する。 
 ついについに山頂に到着! 10時05分。登り5時間。
 10合目(火口壁到着)からが大変だった。山頂の標識をバックに写真を撮ってもらったが、疲労困憊の表情で写っていた。
 洞爺湖。 さて、引き返すか、先に進むか…。ここまで来たら火口を周回しないともったいない。先を見ると岩場もあと少しのようだ。
 山頂からほどなく三角点があった。
 あと少し。もうすぐ岩場が終わる。
 ついに岩場が終了! 来た道を振り返る。
 イワウメが美しい。
 ハクサンチドリの群落。

 メアカンキンバイ(雌阿寒金梅)。バラ科キジムシロ属。北海道の高山帯の砂礫地に育つ。花は黄色で花弁の先がかるくへこみ、上向きに咲く。独特の葉は3出複葉で切れ込みがある。絶滅危惧種。
 歩きやすくなった。うれしい。正面の小さな火口が「母釜」。左側、今周回している大火口が「父釜」。
 母釜と父釜の間を通る道を歩いた。
 メアカンキンバイの花、可愛い。
 イソツツジ。
 うすピンク色の花弁のコケモモの花。コケモモの花の色は白~濃いピンク色の間で変化があるようだ。
 タカネオミナエシ(高嶺女郎花)。チシマキンレイカ(千島金嶺花)とも言う。オミナエシ科オミナエシ属の多年草。北海道以北に生育。絶滅危惧種。
 イワブクロのこの生え方は?
 寒さ対策の毛におおわれたイワブクロのつぼみ。

 ウコンウツギの若い花。中が黄色。
 ウコンウツギの老いた花。中が赤く変化している。受粉昆虫を引き付けるため、受粉が終わった花も花弁を散らさないで、樹木全体の花の賑わいを保つためだと聞いたことがある。
 キクバクワガタ(菊葉鍬形)か。ゴマノハグサ科。北海道の亜高山帯~高山帯、海岸に生育。葉に深い切れ込みがある。ピンぼけたのが残念。
 もうすぐ「10合目」の標識。山頂からは早かった。標識の所に戻ると、外国の登山客が大勢いた。もう入国できるのだろうか(台湾の方)? ずっと滞在中の人たち?
 下山開始。キャンプ場が見えるが、まだはるか下。
 マタタビの葉。なぜピンク色?

 ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)。キク科アキノキリンソウ属アキノキリンソウの亜種(高山型)。北海道、本州中部以北の亜高山帯〜高山帯の草地、砂礫地に生育。 アキノキリンソウの花が比較的まばらにつくのに対し、この花は頂部にまとまってつく傾向にある。 
 ハナニガナはすっかり開花。シロバナニガナ(白花苦菜)も咲いていた。
 調べて分かったこと。シロバナニガナはニガナの変種。ハナニガナはシロバナニガナの品種。シロバナニガナの花の色が黄色のものハナニガナという。
 Wikipedia「ニガナ」より
ニガナの小花が5個であるのに対し、シロバナニガナ・ハナニガナは小花が7~11個程度ある。
 この紋の入った葉は…
 登山口まであと少し。膝が痛い。腰が痛い。しかしよく歩いた。
 13時50分、キャンプ場に到着。炊事場の蛇口から美味しい水をがぶ飲み。よく乾いたテントをたたみ、14時10分出発。
 あの上まで行ってきました!
 まっかり温泉で疲れを癒し…
 保育園のお迎え時間(17時30分)に間に合うよう、ひたすら車を走らせた。