北摂の山歩きを続ける。9時半過ぎ、バスで川久保に到着。今日も好天に恵まれた。
(今回もWikipediaその他のHP、図鑑・図書等を参照したり引用させて頂きました。ありがとうございます)
やはり集落の草花に目がとまる。マンリョウが秋にできた赤い実を大事そうに付けている。ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑小低木。(※)葉の波状に膨れた部分に共生細菌のすむ部屋があるという。
(※)HP森林インストラクター東京会「マンリョウの発芽力はなぜ強い」より、マンリョウの葉の断面
マンリョウの葉の縁の瘤の中には「葉粒菌(ようりゅうきん)」という共生細菌がいて、空気中の窒素を固定している。 葉粒菌は種子を通して次世代に受け継がれる。そのおかげでマンリョウの種子は発芽力が大きい。マメ科植物やハンノキ・ヤシャブシなどが土の中の根粒菌と共生するのと同様の働きといえる。
マツの木も花をつけ始めた。クロマツの雄花。まだ雌花の枝が出ていない。
カキドオシ?と思った。しかしツルが伸びて地面を這っている。
調べるとツタバウンラン(蔦葉海蘭)という聞いたことのない雑草。オオバコ科ツタバウンラン属。地中海原産。大正の頃、観賞用としてロックガーデン等に植えられたものが野生化。北海道、本州に分布。
川久保尾根道の入り口にある石碑
集落を越え、渓谷に入ろうとした時。ふいに右から人が駆け下りてきた。尾根道を歩いてきた登山者だ。挨拶して道のようすを聞いてみた。「歩こうと思えば歩けるが渓谷と比べたら整備はまだまだ」と。いずれ自分で確かめようと思った。
渓谷に入った。今日はシダに注目。ヤブソテツの仲間。(※)1回羽状複葉の小葉が大きく、同じくらいの大きさの小葉が並ぶのが特徴。
(※)1回羽状複葉… 下のフジの葉のような状態の葉。
HP「樹木図鑑」より
ちなみに2回羽状複葉は下のような葉。
HP「松江植物図鑑」より。ゼンマイの葉。
そのゼンマイ(薇)があった。
ちょうど新葉が伸びかけたゼンマイもあった。
ゼンマイ科ゼンマイ属。渓流のそばや水路の脇などによく出現する。
マメヅタ。これもシダ植物だ。
バス停から30分。この橋向こうの林道を行くと、神峰山寺(かぶさんじ)から上がってくる登山道(東海自然歩道)に最短距離で出会えるはず。今日はこの道を行く。
この斜面も台風21号の被害を受けて整備中。
谷が南側なので日がよく当たる。気持ちの良い林道だ。
このシダ(イワガネゼンマイ?)を多く見かけた。
この葉の形は…ウリハダカエデ(瓜膚楓 )だった。
こんな花を咲かせるのだ。カエデ科カエデ属。花は雄花。
Wikipedia「ウリハダカエデ」より
樹皮の色や模様がマクワウリの未熟な実に似ているのでこの名がついた。
サルトリイバラの花。サルトリイバラ科シオデ属の多年生植物。田舎の母親はこれをチマキを包む葉に使う。かわいい花だ。
橋から15分で東海自然歩道に合流した。今来た林道に一般車は入れない。近くに本山寺の参拝者用駐車場がある。新型コロナのため今は使えない。登山者は適当にスペースを見つけ車を止めていた。
ヤエザクラでクマンバチが採蜜していた。
リスを見つけた。どこにいるか判るだろうか。
種類は分からないが桜の花がまだ咲いていた。
本山寺へ立ち寄らない場合は右へ進む。
トカゲがいた。ニホントカゲと思うが、黒い筋がなく白っぽい。「4・5月に交尾する」と書いてある。あごの辺りが赤いのは婚姻色かもしれない。
本山寺に着いた。ここまで川久保のバス停から1時間。
ここにもホトトギス(ヤマジノホトトギス)の新葉があった。
これがヤマジノホトトギスの花。Wikipedia「ヤマジノホトトギス」より。
大イチョウと鐘楼。
本堂。
本堂の前にこんなものが置いてあった。
ハウチワカエデが花をつけていた。
またシャクナゲを撮影。
山道に戻ったら糞虫と出会った。センチコガネだ。今日は動物をよく見かける。
天狗杉に到着。「63.9m」と表示があった。
ホソバテンナンショウの仏炎苞(ぶつえんほう)の中をのぞく。
シロダモ。山行中、見たのはここだけ。クスノキ科シロダモ属。
クスノキ(楠)の仲間は、葉脈が葉の付け根近くで3本に分かれ長く伸びる(三行脈)のが特徴。葉の大きさは、シロダモ>ヤブニッケイ>クスノキの順。シロダモは裏面が特に白い。クスノキ科は葉をちぎると特有のにおい(樟脳のにおい)がする。(「葉で見わける樹木」林 将之p82参照)
このスミレは花がとても濃い紫色をしていた。
この植物の名前がわかった。ミヤマシキミ(深山樒)。ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木。学名をSkimmia japonicaという。有毒植物。雌雄異株。日本、台湾に分布。
ポンポン山に到着。本山寺から50分。今日はバーナーを忘れコーヒーが飲めなかった。
もう一度、クロモジの花。
ウワミズザクラの花の蕾。一昨日より大きくなったか。30分くらい休憩して出発。
コバノミツバツツジもまだ元気だ。
シキミの花もまだ元気。
この分岐点を杉谷方面(左側)に向かった。
急な下りが続く。
本当に杉の谷になってきた。
沢と出会う頃にやっと平坦になる。杉谷の盆地もすぐ。シダはシシガシラ?
杉谷の小盆地。
人家はごくわずか。桃源郷のようだ。
これは「町石」と言うのだろうか。
舗装された長く急な坂を善峯寺まで下る。
イラクサを見つけた。
善峯寺周辺はシャガが広範囲に群生している。見事である。
やっと駐車場の入り口(左側)に到着。
善峯寺山門に到着。ポンポン山の山頂から1時間半。山門の受付の方にバスの時間を聞く。「午後3時まで毎時24分発です」。まだ40分以上ある。中に入ることにした。
本堂。善峯寺(よしみねでら)。西国三十三所の第20番札所。
天然記念物の「遊龍の松」が有名。全長54mもあったが松食い虫にやられ北側15mが切られた。見事なゴヨウマツ(五葉松)である。
多宝塔と経堂。
善峯寺は平安中期、源算上人が開山。1192年後鳥羽天皇が善峯寺の宸額を下賜。室町時代には僧坊52に及んだが、応仁の乱により大半の坊が焼失。江戸時代、5代将軍綱吉の生母、桂昌院によって現存の鐘楼・観音堂・護摩堂・鎮守社・薬師堂・経堂が復興された。
京都の眺め。比叡山が見える。
桂昌院(けいしょういん)は五代将軍徳川綱吉の生母。京都堀川西藪屋町、八百屋仁左衛門の娘。女中として江戸城へ入り徳川家光の子(綱吉)を生む。家光死後は出家し、大奥に権勢をふるう。京都の数々の社寺復興に寄与。1705年没。(HP「京都観光Navi」より)
桂昌院廟。1705年建立。桂昌院の遺髪を納めた廟所。
出会った客は数組だった。
自粛の呼びかけが効いていた。
急坂をバス停に向かう。この斜面は杉林に覆われて趣があった。一昨年の台風21号の被害を受けて、結局皆伐されたそうだ。大変残念。
HP「グルコミ」の「善峯寺バス駐車場」より かつての杉林の写真がなかったのでネットの写真を転載させてもらう。
本山寺の駐車場あたりから同じペースで歩いていた方がバス停にいた。その方は杉谷を経由せず釈迦岳から急坂を下って善峯寺に着いたそうだ。車中でも色々とお話しができた。
阪急バスで東向日駅に着いた。向日市に出たので、本場のタケノコを買って帰ろうと考えた。色々な方に尋ね30分以上歩き、ようやくこの店にたどり着いた。店の向かいのスーパー(このタケノコ専門店が営業)で、水煮のタケノコを手に入れた。
東向日駅には戻らず、西向日駅から阪急に乗車。街に着いてからが疲れた一日だった。