くまがい桂子 の  エッセイ  「木もれ日あびて」

「民報ゆうばり」に隔週で掲載している
エッセイ「木もれ日あびて」です。

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憲法を護るのは?

2004年02月23日 | Weblog
北海道新聞の日曜の生活面「働く女の胸のうち」という連載エッセイの筆者、香山リカさん(精神科医)の文章は的確で共感することが多く、楽しみに読んでいます。

その香山さんが二月二三日の朝日新聞道内版「イラク派遣こう思う」の中で、自衛隊イラク派遣に賛成する国民が増えつつあることに対して、「報道番組で自衛官や家族の顔を映し出すことで、問題を大枠で捉えることから感情的な問題にすり替えている」「イラク戦争が起きてしまったから協力するしかないとか、あまりにも現実追認が気になる。」と。

自著でサッカーのワールドカップで日の丸を振る若者が、それを国のために振ることになりかねないと警鐘を鳴らしてきた香山さん。

「九十年以降、経済状態が悪化して、若者たちは自信とよりどころを失い、最後のよりどころとして『強く誇りある国であってほしい』という願望が強い。

憲法九条を変えて、国際社会の中で日本の存在感を示す必要があるといった、強硬な意見に魅力を感じるのでは。『抵抗勢力』が弱すぎ、気がついたらとんでもないことになりかねません。

派遣が続けば自衛官以外の人も派遣されるかもしれない、というように、我が身に降りかかってくる問題と思っていない。具体的に言っていかないとだめだと思う。」

映画監督の山田洋次さんは、赤旗と朝日新聞の中で「『黄色いハンカチ』が派兵の見送りに使われとても気になる。派手で、イベントみたいになる中で、イラク派兵が憲法違反ではないかという重要な論点が消えてしまうのが不安。

自衛隊が出かけ、そのために巨額の税金を支出する前に、僕たちが郵便局や銀行に預けているお金は本当に大丈夫なのか、老後や病気になったときの『保険』は大丈夫か、それこそが心配。」

平和を保障する憲法九条も、国民年金の土台となる憲法二十五条も、護るのは国民の不断の努力(十二条)です。

七十年後の地球は?

2004年02月09日 | Weblog
二年前にブームになった絵本「世界が100人の村だったら」(池田香代子再話)のルーツは、生物物理学や資源管理の専門家であり、環境問題の古典的名著「成長の限界」(共著)ドネラ・メドウズさんがアメリカの新聞数紙に書いた連載コラム「村の現状報告」が一冊の本となり、その中に収録されなかった内容が、もとになっています。

「世界が今と同じように動き続ければ、今から七十年後、私たちの子どもや孫の時代には地球上の資源がなくなり、食糧も足りなくなる。その前に、エイズや原発・核兵器・その廃棄物の被害で人類滅亡の可能性も。」

 こんな内容が、一人から数十人・数百人へとメールで次々に送られる間に、おびただしい人びとの気持ちをたっぷりと吸い込んで、世界の貧富の格差が主題となりました。
〇一年九月十一日のテロ以来、急激にインターネットを通じて世界中に広がり、日本では絵本になり、その後、韓国・台湾・中国やフランスでも翻訳出版、ついに「世界の教科書」に。
 
 このメールによって、ある種の世界意識のようなものが目覚め、おなじ地球上で膨大に開いた貧富の差に危機感を覚えたその矢先に、不吉な予感が的中!あのテロが・・・。

 米大統領が「これは戦争だ!」と叫び、なぜか日本の自衛隊が平和憲法を破ってイラクに・・・。
「現状に憲法が合わないから改憲‣創憲を!」の声。

 現状に合わないのは、憲法ではなく、無責任な政治家たちでしょう。
七十年後の子どもや孫、そして地球、どうします?