くまがい桂子 の  エッセイ  「木もれ日あびて」

「民報ゆうばり」に隔週で掲載している
エッセイ「木もれ日あびて」です。

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「汚れた弾丸」 劣化ウラン弾に 苦しむイラクの人々

2004年01月21日 | Weblog
 以前にもこの欄で紹介した、イラクでの劣化ウラン弾の被害の実情が漫画化され、少年マガジン誌上で大反響をよび、単行本として出版されました。

 原発の燃料や核兵器を作るには、天然のウランを濃縮させます。その際に残りかすとして出る放射性物質が劣化ウランで、原子力が開発されて半世紀の間に、生産された劣化ウランは百十万トン。

 これらの放射性廃棄物は厳重に管理しなければならず、莫大な費用がかかります。
一方でアメリカの軍事産業は、ウランは自然界の物質の中で比重が最も重く、また硬いことに目をつけ、劣化ウランを兵器に使うことを考えます。

 放射性廃棄物だから、材料費はかからないし、兵器として消費し他人の土地に捨ててしまえば、保管の手間も省ける!(放射能の被害は?)

 劣化ウラン弾は戦車に命中すると分厚い装甲を貫通し、一気に焼き尽くし、さらに、燃焼の際、煙や霧のようになった放射性ウランは気流に乗って広範囲に拡散します。

 人体内に入ると排出するのはきわめて困難。これらの放射線は、ガン、白血病、腎臓障害、腫瘍、先天的な障害児の出産の原因となります。

湾岸戦争で消費された劣化ウランは三百~八百トン。
 広島に落とされた原爆の一万四千倍~三万六千倍の放射線がペルシャ湾岸に。戦後、バスラなどでは乳幼児から大人までがん患者が爆発的に増加し、たくさんの人が苦しんでいます。放射能の半減期はなんと、四十五億年!

 昨年のイラク戦争でも米軍は危険を承知の上で、劣化ウラン弾を使用し、反対のキャンペーンを張るものは米国の敵とまで明言しています。

 さらに小型核兵器を開発するという米国。地球上のいたるところで、広島・長崎が繰り返されるのでしょうか。