鶏口舎(けいこうしゃ)な日々

木彫りとレジンで招き猫やお地蔵さんなどを制作している「鶏口舎」です

鶏口舎で用いている天然木曽檜材の解説

2016年10月09日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)
鶏口舎さんの天然木曽檜(てんねんきそひのき)の解説 

寄稿:ピノッキオ韮澤やすおみ

鶏口舎さんが木彫り作品に用いている、天然木曽檜(てんねんきそひのき)について解説します。
天然木曽檜(てんねんきそひのき)の全てを語ろうとすれば書籍を数冊作れるほど奥深いものです。
今回の記事は要所を語るに留めます。

僕は、鶏口舎さんが使用する木材を選定し、準備するお仕事を頂いております。
鶏口舎さんの用材ブレーンといったところでしょうか。

さて、鶏口舎さんが主な材として使用している天然木曽檜(てんねんきそひのき)。
とても素敵な存在です。今回の記事では・・・・

●そもそも天然木曽檜(てんねんきそひのき)とは?
●鶏口舎さんが天然木曽檜を主な材として選定した理由

をテーマに解説していきます。

※天然木曽檜(てんねんきそひのき)。以降読みがなを省略します。
ここで読み方を覚えておいてくださいね。


★伊勢神宮と天然木曽檜と鶏口舎の話
伊勢神宮をご存じかと思います。神社本庁の本宗です。
20年に一度建て替えることもご存じかと思いますが、その式年遷宮(しきねんせんぐう)の際に、
最も神聖な箇所には天然木曽檜を使用する事が指定されています(後半でもう少し詳しく)。
鶏口舎さんは伊勢神宮近くの「おがげ横丁 吉兆招福亭」にも作品を納めております。
そんな点と点を繋いでいくと、天然木曽檜と鶏口舎さんの関係が見えてくるのですが、
今回の記事は、点と点を結んでいく形で進んで行き、最後に謎を解く形で終わります。

では、「点」を一つずつ語っていきましょう。



★天然木曽檜。なぜ天然?
日本では、ヒノキとスギを人工的に植林して生産している山が多くあります。
いわゆる植林ものです。それに対し、種から芽が出て自然に育った実生(みしょう)
のヒノキやスギがあります。銘木(めいぼく)業界では、植林のものと、実生のものを分け、
実生のものを、天然ヒノキ、天然スギと読んでおります。
ですから天然木曽檜は、種から芽が出て自然に育ったヒノキという事になります。

★ビジュアルで知ろう♪天然木曽檜
さて、木曽の山で種から芽が出て自然に育った天然木曽檜。実物をスキャナーで読み取りました。
埼玉県飯能市(はんのうし)の山に植林されていたヒノキと比較してみましょう。





木曽の山は年間の平均温度が8度程度だそうです。寒い事もあり成長が遅いのです。
その結果、年輪の間隔が大変詰まっており、高級な木材となります。


★そもそも、ヒノキとは?ここであらためて



日本書記によると、スサノオ神の胸毛が抜けて日本の国土でヒノキになったそうです。
それが現実の出来事かは分かりませんが、しかし不思議な事に、ヒノキは日本固有の種類です(台湾に近縁種がある)。

日本固有の種ではありますが、長い時間を掛け日本各地で気候に合わせて進化し、各地により少々個体差があります。
そして、その差は、木材の品質としても現れます。ヒノキ材は産地により品質の差があるのはその為です。

★天然木曽檜の価値を知ろう
天然木曽檜の価格的な価値ですが、天然木曽檜は、国産ヒノキ材の中で群を抜いて高値で取引されております。
ここで1例を。

例えばこの天然木曽檜の一枚板。川越銘木センターさんの倉庫で撮影してきました。
推定樹齢1000年以上。節(ふし)は一切無し。幅1メートル弱。長さ4メートル以上。
この寸法で無節の天然木曽檜の一枚板は、国内での在庫はこれが最後と言われております。
節があるもの、幅が狭いものはあるのですが、ここまで極上のコンディションのものは枯渇しております。
さて、こちらの物件はお幾らくらいでしょうか?想像してみましょう。








50万円くらい?いやいやそんな訳はありませんね。じゃあ100万円くらい?
その金額では「桁」が違うかな。まあそんな価値がある材なのです。
川越銘木センターさんは良心的価格なのでその価格で決して高いという事はありません。
売主さんが違えば2000万円という事だってありえるでしょう。さらに高くても僕は驚きません。

この材を廊下の床板としてフローリングの代わりに、表面を仕上げてこのままハメ込み使うとか、
細かく分けて幅広の階段に使い、木目が繋がった階段として利用してもいいかもですね(もったいないですが)。
玄関の式台にしてもいいかも。
高級和食店のテーブルにしても良いでしょう。お店の空気が凛とするでしょう。料理が引き立ちますね。

木材としての価値について話題を変えます。
天然木曽檜の色味は、ヒノキの中では白い部類になり、建具などに用いれば美白で品がある風情になります。
赤身が強いヒノキでは赤い建具になってしまい、どうしても見劣りしてしまいます。
そのような赤身が強い材は脂分が多いので、住宅の柱などの構造材に向いております。木曽檜は化粧用の高級材というわけです。

職人や作家、加工する立場からすれば、天然木曽檜は適度に柔らかく、細かな作品を作っても割れが起こりづらく、
繊細な加工が出来るのです。極上のフィーリングです。僕も大好きです。


★鶏口舎さんが天然木曽檜をなぜ使うのか?
鶏口舎さんが、天然木曽檜への思いを、時々言葉にしているので、
それらを僕の中で集約し、ここで代弁してみます。

「私の作品は物理的に小さなもの。その中に、最大限の何かを籠めたい。
だから、出来る限り素晴らしい材から彫り出してあげたい。
すると、小さな作品たちが、ちょっぴり誇らしげな顔になる。」

「利益を考えたら、ぜったいに天然木曽檜を使えないと思う。
でも、お客様に可愛がってもらいたい。嫁いでいく作品に私がしてあげられる事は、
最高の材から彫り出してあげる事」

「最高の材とは?日本人にとって伊勢神宮は特別な場所。その、伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)で
、最も神聖な箇所である、ご神体を安置する御樋代木(みひしろぎ)は、
天然木曽檜を材とする事が指定されている。それをもって最も神聖な材と言える。
日本人である私が、木彫り作家として天然木曽檜を主な材とする事に、特別な意味を感じる。」

「天然木曽檜を彫るときは気持ちが高まる」

このような理由が鶏口舎さんのマインドにあるようです。僕はその思いに共感し、材を集めています。




ちなみにですね、天然木曽檜にも多少のバラつきがありますが、鶏口舎さんは、
それらの個体差をズバりと見抜きます。経験数十年の名大工さんもそういう個体差を見抜くわけですが、
名大工さん並みの感性を持っております。びっくりする事に気づくのです。
いつか別の機会で詳しく語りたい逸話があります。鶏口舎さんがある事を指摘してきて、
僕は木曽の製材所に問い合わせし、「よく気づきましたね・・・」と驚かれた事があります。
ふつう、気づかないらしいです。どうして気づかれたのですか?とのことで、
そう感じたそうです、と僕は返答しておきました。

天然木曽檜を極めんとする作家。僕はそう鶏口舎さんをリスペクトしています。


★鶏口舎さんへの製材
今回の記事の最後になりますが、こんな風に僕が準備をして、鶏口舎さんに送っているんだよ、
という現場からのレポートです。

まず、僕はいくつかの仕入れ場所を確保しています。それらの場所の中で、
鶏口舎さんのお目にかなうレベルの天然木曽檜を探します。

各仕入れ場所にて、最初は、うるさいやっちゃな〜と煙たがられました。
しかし最近では僕(と鶏口舎さん)の熱意に負け、良さそうなものを取り置いておいてくださるように。
そして、僕と鶏口舎さんのところは厚い信頼関係がありますので、たまには先に買っておき追って連絡することも。
現在、2018年の春くらいまでの分は確保できていると思います。

鶏口舎さんが使用している天然木曽檜は樹齢300年程度の材です。
天然木曽檜は、基本的にはそれくらいの樹齢のものが計画的に出荷されています。
樹齢100年くらいの木曽檜は細すぎますからね。
300年でやっとそこそこの太さになります。

植林ヒノキが30センチの太さになるには60年程度と言われておりますが、
天然木曽檜が30センチの太さになるには200年程度掛かります。














★今回の記事まとめ。三行で簡潔に。
一・伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮で、最も神聖な箇所に天然木曽檜の使用を指定されている。神聖と言える材。

二・美白で木目が詰まった材。高級品には最高。職人や作家が繊細な加工が出来る極上の材。しかし超高価。

三・鶏口舎さんは小さな作品の中に最大限のモノを籠めたいという思い。必然的に天然木曽檜を用いる事に。



★資料 日刊林業新聞社 銘木要覧より
・天然木曽檜は銘木中の銘木
・名古屋営林局付知営林署の天然木曽檜出荷台帳によると、明治神宮、出雲大社、
法隆寺金堂、熱田神宮、白鶯城心柱、皇居用材などの記録もある。


★オマケ情報。盆栽としてのヒノキ
盆栽としてのヒノキ。有名な品では皇居で培養されているヒノキの盆栽は樹齢100年を越えています。



こちらは鶏口舎さんが育てているヒノキの盆栽です。
こんな大きさですが、15年程度の樹齢と推測されます。津山ヒノキと呼ばれる種です。

まだまだ小さな品ですが、樹勢が良く、今後が楽しみな盆栽です。


以上です。今回も最後までお目通しいただきありがとうございました。
ピノッキオ韮澤やすおみ

★その他の材も解説しております。
※鶏口舎で用いている一位材の解説(クリック)
鶏口舎で用いている台湾檜、台湾紅檜材の解説(クリック)

*鶏口舎追記*
天然木曽檜の記事を読んだお客様から、こんなメールをもらいました。
『神社検定に合格したところ、認定証が伊勢神宮の遷宮に使われる
木曽の檜を使ったもの(小さい盾状)という説明付きで送られてきて、
とてもいい記念になっています。
名前と合格認定番号は焼き印風になっています。何だか厳かな感じ。。』

木曽檜は、神社検定の認定証としても使われているというお話に
とても嬉しくなりました。

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天然木曽檜 製材

2016年10月02日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)

9月にピノッキオさんに、天然木曽檜を製材してもらいました


ここから更に小さく製材をして、使います

この天然木曽檜は、すごく質が高い、彫りやすいものなので、
招きねこなど、細かいものを彫るように使います


材料の入手というのが、木材の仕事では
大変重要になってきます
銘木と言われる、良い材料は、値段は高いですが、
やはり良いものです


ネックレスの紐
先日ブログに、もうないと書いたところ
ピノッキオさんが持っているぶんを、いくつか譲って
くれました…
メーカーで廃盤になっているため、このぶんが
なくなりましたら、おしまいですが、大変
ありがたいです
緑系、青系以外にもう2色増えました
雫ネックレスを作ろうと思っているので、
そちらに使う予定です


ピノッキオさんの絵本が動画になりました
ぜひご覧ください↓クリック
http://mogura-no-mogu.blog.so-net.ne.jp/moguranomogu-ep1

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鶏口舎で用いている一位材の解説

2016年08月06日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)
この記事は、木工玩具制作ユニット「ピノッキオ」の
リーダーである韮澤やすおみが寄稿させて頂きます。


鶏口舎さんが用いている一位(イチイ)の無垢材ですが、とても素敵なストーリーがあります。
この一位で制作依頼したお客様が、さらに作品を気に入るのではないか?
と考え、この記事を企画しました。


★そもそも一位は高級無垢材
一位の無垢材は高級であり、銘木と呼ばれます。
その由来は諸説ありますが、平安時代頃からしばらくの間、正一位という高い身分の方が使う笏(しゃく)を
一位の材で作っていたことが由来している、というのは定説です。

さらには、成長が遅いのでなかなか太くなりません。
直径70センチを超えるような一位は大径の部類と言えるでしょう。
直径1メートルまで育てば大変な金額で取引されるものになります。

そして、一位の材は、経年変化により飴色に変色するのですが、その色が素晴らしいと言われております。

そのように、経年変化により素晴らしい色に変化していく銘木は、一位か唐松か?と言われております。
そのどちらも高級銘木。建物だけで坪単価150万円以上かけ、名大工さんが作ってくれるちょっとした高級注文住宅で使われる材です。

日本の文化でよく語られる、「詫び寂び─わびさび」の、「寂び」の世界の材なのです。
春夏秋冬、そのループを何十回も、何十年も越えて、より味が出てくる。通好みの銘木です。

鶏口舎さんは、一位を用いて、「寂び」を味わえる作品を彫っているという訳です。


★鶏口舎さんが使っている一位は、一位の中でも、圧倒的な価値。
先ほど、一位は直径70センチを超えていれば太い部類に入ると伝えましたが、
この一位はなんと!最大部分では直径2メートルもあったのです。
異次元級に太いのです。

幹回り、すなわち外周ですが、このクラスの古い木では、円とは言えない形状に育っているものですが、
直径を2メートルと仮定し、その数字から外周を計算すれば約7メートル程度です。
実際には凸凹していますから、もっと長い数字でしょう。

そんな大きな一位は、かなり珍しいとの事。
過去においてもそこまで長生きだった一位はそうはないと推測されます。
(北海道 八紘の水松は一位であり推定樹齢2000年。岐阜県の治朗兵衛の一位も推定樹齢2000年。
ただし数本の木が融合してしまった合体木であればそこまでの樹齢ではない可能性もある。
外見上は合体木に見える。合体木であれば各木としては細い。
今回のテーマの一位はほぼ単体木でありそれらの名木よりも明らかに太径)


長寿祈念や平和の永続を願うような、そんな想いを作品に籠めるには、この一位が向いているのではと思います。



★ここに至るストーリー。
20年程前に、営林署が木曽の深山(国営林)で発見したこの「大変古い木曽の一位様」。
(以降、大変古い木曽の一位様と呼びましょう)

営林署が発見した時、幹は終わっており、枝が一部生きていたとの事で、長寿を全うした大変めでたい木です。
生きているところを人間にバッサリとやられたのではなく、生ききった木。
第二の人生、木材として下界にやってきた木なのです。

なにしろ巨大だったので、ヘリコプターで移動したとの事。
そして営林署が全国銘木展示会、通称、全銘展に持ち込み競りに掛けたそうです。
その年は岐阜県での開催だったとのこと。

全銘展とは、年に一度の大きな銘木の競りであり、各地の銘木組合が持ち回りで開催されます。

そして営林署も全銘展に出品し、国営林で発見した誰もが驚くような物件を持ち込んでくるとの事。

川越銘木センターの竹田社長が、大変古い木曽の一位様の出品を知り決意しました。
ぜったいに落札すると。銘木屋を営んでいて、そんな素晴らしい一位の木目を見ない訳にはいかないと。
競りが始まり、最終的には三つの業者で競り合ったそうです。
竹田社長はどこまでも競ったそうです。そして、落札に成功したそうです。

さて、ストーリーはまだまだ続きます。

大変大径だったこと、大変長く生きており、一部ダメージがあり、機械での製材が不可能だった為、
手ノコギリだけで、大きな木を製材できる、木挽き(こびき)職人さんに依頼する事になりました。
木挽き職人として世界でも有名な「林 以一(はやし いいち)」先生にお願いしました。

新木場に場所を借り、大変古い木曽の一位様を運搬し、林先生が3週間くらい掛けて挽いてくれたとの事。

なお、この業界の多くの人が、林先生でなければ挽く事は難しいだろうという見解です。

そのような意味で、林先生が挽く事は運命だったのでしょう。


大変腕の良い方ですから、最大限、美しい木目になるように細心の注意を払いつつ挽いてくれたとのこと。

ですから、鶏口舎さんがコレクションとして持っている一枚板は、林先生のノコギリの痕が残っています。
林先生も、こんなレベルの一位の巨木を挽いたのは初めての事であり、
木目は想像以上のもので、その美しさに感動していたそうです。
木挽界の巨匠が感動的というレベル。
この記事の冒頭の総杢盤(そうもくばん)の美しさは、そうは見れないものです。

製材から20年ほどの天然乾燥を済ませ、売りに出されていたものを、僕が鶏口舎さんに紹介しました。
ちなみに、鶏口舎さんが使用している、この、大変古い木曽の一位様は、林先生が木挽きしてくれた状態から、
さらに僕が、一つ一つ、時間を掛けて製材しているんですよ。



★皮があります。ここで公開しましょう。
樹齢2000年程度と推測される巨木。その外周の一部となる皮を撮影しました。
一部ではありますが、巨木の迫力を楽しむ事が出来ます。









★日本の有史を見守ってきた一位様
この大変古い木曽の一位様は、2000年程度、木曽の深山で生きていたのですから、日本の有史を見守っていたと言えます。
弥生時代、古墳時代、奈良時代・・・鎌倉時代・・・江戸時代・・・明治大正昭和。
そして平成初期に、木曽の深山で長寿を全うした樹です。





この木目を見ていると、祈りたくなるようなそんな気持ちになるものです。
鶏口舎さんは、この一位で、お地蔵さんやクロス(十字架)を彫っていましたね。
分かります。そのような作品を彫るべき材。


★作品として転生
寿命尽きるまで、どんな台風にも、天変地異にも負けなかった大変古い木曽の一位様。
鶏口舎さんの手を通して、新たな姿に転生し、皆さんに愛されていく・・・。
とても素敵な事だと思います。

ぜひ、かわいがってあげてくださいね!こんなにドラマティックな材はそうはありませんよ!
そして冒頭でも伝えた通り、一位の材は寂びるほどに飴色になり、さらに味が出てきます。
素晴らしい高級材です。

この一位には、強風や台風などの天変地異と戦い、生き抜いてきた痕跡が各所にあります。
樹齢300年や500年の若い木ではないので、材の全体がドラマティックです。

2000年程度も生きていた大木だった為、台風などで大きく振られた痕跡があるわけですが、年輪が少々剥がれたり、
繊維に少し剥がれがあったりします。

寿命尽きるまで、どんな台風にも、天変地異にも負けなかった一位。

何というのでしょうか、質の悪い外国産の材にヒビが入っているような、
ガッカリな傷やヒビではなく、その生命力へ畏敬の念を覚えるほどの“痕跡”なのです。


そんな痕跡を活かした作品も作りたいと鶏口舎さんは語っておりました。
僕も楽しみにしております。そのような木彫り作品を僕は見た事がありません。
そこに目がいく鶏口舎さんは、僕の想像を超える作家です。

そういう域の無垢材だからこその趣。

鶏口舎ファンの皆様も、ぜひ、そんなあたりも楽しんでみてくださいね。




★資料1
大変古い木曽の一位様の直径は2メートル弱。
最も外側では7センチで210本程度の年輪を数える事が出来ます。
内側では1ミリに1.5〜3本程度というのが平均的な数字です。



こちらは、さいたま市立博物館に展示されている松です。
直径2メートル程度です。解説によると年輪の数は310本。樹齢は310年を少し越えたくらいです。




樹種や環境の違いで、同じような太さでも樹齢が全く異なります。


★資料2
盆栽の一位です。樹齢80年を越える品です。山採り素材をベースに数十年持ち込んだ品。
おそらくは岩盤の上で生きていて、冬には雪が積もり、埋れたところより上が枯れてしまい、
そんな事を数十年繰り返していた時に盆栽人に発見され下山してきたのでしょう。

洞(うろ)の一部に年輪を数える事が出来ます。数えた限りで80本くらいの年輪があります。
高さ1メートルくらい。僕で四人目の所有者となります。




大変古い木曽の一位様は、こんな樹形だったのでは?と想像しております。
一位は、通常1000年も生きれば凄いレベルです。
それが2000年程度も生きていたので、とても一位には見えないほど立派な樹形だったそうです。

一位の盆栽は大変成長が遅いです。しかし、生命力がとても強いです。挿し木の活着率が大変高いです。
静かに、永く生きていくタイプの樹です。立派な盆栽になるには数十年掛かりますので、数的にあまり多くありませんが、日本最高峰の盆栽展“国風展”では毎年必ず一位の銘樹が出品されております。

どちらかといえば、直射日光が終日当たる場所ではなく、朝から午前中の陽と水を好みます。

土の表面が乾いたら鉢にも葉にもたっぷりと水やりします。
丁寧に可愛がっていると葉が良い色になってきます。
森などで一位の実生を見つけたら、鉢植えで育ててみると良いでしょう。
上手に剪定していけば、いつかはこんな盆栽に育つ事でしょう。

こちらの盆栽の銘(名前)ですが・・・・
一位盆栽:銘「少々古い一位様」です。
以上です。

寄稿:ピノッキオ韮澤やすおみ

★その他の材も解説しております。
鶏口舎で用いている天然木曽檜材の解説(クリック)
鶏口舎で用いている台湾檜、台湾紅檜材の解説(クリック)

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樹齢1000年のイチイでお地蔵さんをつくる

2016年05月10日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)

樹齢1000年以上の一位(イチイ)を仕入れました

イチイの木の説明はブログ内のこのページに書きました↓クリック
http://blog.goo.ne.jp/keikousha/e/0d652ed4b4db34b482732784a19ab06c

画像提供 ピノッキオさん

ただこのイチイ、普通のイチイではないです

ピノッキオさん経由の、川越銘木センターさんからの仕入れです
川越銘木センターさんのホームページ←クリック
に、このイチイについての説明があります
川越銘木センターさんで売っているイチイの共材になります

下記に川越銘木センターさんのHPから文章を抜粋しました


垂涎の銘木。巨匠・林以一先生の手仕事で木挽きした逸品。

このイチイ(一位)は、岐阜の深山からヘリコプターで搬出されたものを当社が営林署の競売で落札したもの。数十年前の話です。

樹齢は、年輪の数は数えていませんが、関係者の間では国内最長寿と言っても誰も異を唱えないだろうといわれた長寿で巨木のイチイでした。

1000年は軽く、2000年以上は間違いないであろうイチイ(一位)。成長の遅いイチイで巨木。
原木の迫力は競り会場でも異彩を放っておりました。

中は空洞でその外側から上手に製材する必要があり、機械製材では不可能という事で、木挽き界の巨匠、
林以一先生にお願いして挽いていただきました。約一か月ほどのお時間。林以一先生は当然にご記憶にあるでしょう。

手ノコギリのみで製材しております。林以一先生は世界にも通用する巨匠ですから、
その林以一先生の手仕事作品となれば価値がさらに高まるものです。 レアの中のレアな銘木です。



そして、イチイ(一位)といえば、銘木マニアが最終的に辿り着く木材として有名ですが(クロガキも)、
そのイチイの中でも驚く程に長寿であった為に、玉杢がここまで美しく現れています。
さすが、林以一先生。長年の経験で見極めて下さった結果でしょう。


小さめのお地蔵さん、犬張り子、招きねこと作る予定があります
小さいものは何点か作るつもりです
値段は、仕入れ値がヒノキの何倍もしますので、
少し高くなります


そして、ピノッキオさんに製材してもらっている途中です
貴重な材なので、すごく慎重に無駄がないように
考えて製材をしてもらっています
今後、このようなイチイを手にいれることは
できないと思うので…

実はこのイチイは、昨年の夏にこのイチイのサンプルの材をもらって
彫ってみて、感激して、いつか買おうと思っていた材です

作品を作るのが楽しみです




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ヒノキ

2016年05月04日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)
ヒノキ(ヒノキ科ヒノキ属)

福島県南部から鹿児島県の屋久島に自生するほか、
北海道と沖縄を除いた地域に広く植林されている

*生活に密着した香り高き友人*

常緑の高木で最大樹高40m胸高直径3mに達する

ヒノキはマツやスギと並んで、日本人に最も親しまれている
針葉樹のひとつである
ヒノキの木材は緻密で堅く、腐りにくいので、身の回りの
建築建材あるいは器具材などによく用いられており、
「日本書記」にも宮殿にヒノキを使うことが記されている

高級材の代表として、建築、家具、仏像彫刻、曲げ物、
桶、風呂桶などの浴室用品などに利用される
とくに材の白さが好まれて、神社仏閣などの
建築用材として欠かせない
「火の木」が名前の由来で、火を起こすのに
利用された
最近では、材や精油に含まれる鎮静作用を利用した
リラクゼーショングッズもつくられている

木曽にはほとんどヒノキだけの林が大規模に広がっている
それは江戸時代に木曽の五木とよばれる針葉樹
(ヒノキ、サワラ、クロベ、アスナロ、コウヤマキ)
が保護され育成された結果である

木曽からヒノキが搬出されるようになったのは
鎌倉時代から
14世紀半ばには伊勢神宮の遷宮用材にも選ばれ、
豊富秀吉は木曽谷を直轄領にして、木材を
築城に利用したという
尾張藩は資源確保のため、木曽山林などの一括管理に
乗り出し、ヒノキの優良林を指定して住民の立ち入り
を禁止する「留山」を設けた
この保護政策が今ある木曽の天然ヒノキ林を生んだといえる


参考 「日本の樹木06 ヒノキ」

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