鶏口舎な日々

民芸風の木彫りや招き猫とイラスト雑貨のお店「鶏口舎(けいこうしゃ)」です
制作過程と趣味のうなぎ飼育や日々のあれこれ

鶏口舎で用いている台湾檜、台湾紅檜材の解説

2016年10月15日 | 木彫の話し(道具や材料、木材について)

寄稿:ピノッキオ韮澤やすおみ

今回は、鶏口舎さんが用いている台湾檜(タイワンヒノキ)と紅檜(ベニヒノキ)を解説します。

僕は、鶏口舎さんが使用する木彫材を探したり、見極め買い付けたり、それを製材するお仕事を頂いております。
用材ブレーンといったところでしょうか。
僕自身、木工玩具作家であり、自分のところで使う材も探しているので、
良い材を共有しているともいえます。


台湾檜の犬張子

★まずは台湾檜と紅檜の概要
さて、今回の台湾檜(タワインヒノキ)、紅檜(ベニヒノキ)についての解説ですが、
こちらの材もまた素敵な材であり、鶏口舎さんに納品しておりまして、すでに、
その材の作品を世に送り出していらっしゃるようですね。

台湾檜(タイワンヒノキ)と紅檜(ベニヒノキ)は数千年ほど生きる木です。
日刊林業新聞社 銘木要覧(めいぼくようらん)の解説によると、
確認されている紅檜(ベニヒノキ)の大木は樹高40メートルを超え、
直径は12メートルを超えるそうです!ひえ~!大きい!
紅檜(ベニヒノキ)は東アジア最大の木なのです!この顔文字を使いたくなりますね
(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!!

ぜひベニヒノキで画像検索してくださいね。屋久島の縄文杉の直径が約5メートルですから、
縄文杉を実際に見たことがある方は尚更ビックリな大きさだと思います。
日本の大木が赤子に見えますよ。

さて、台湾檜(タイワンヒノキ)の方ですが、こちらは日本のヒノキと同じような大きさに育ちます。
二千年以上生き、直径が3メートル以上になるそうです。


なお、台湾檜(タイワンヒノキ)と紅檜(ベニヒノキ)は、日本のヒノキの近縁種であり、台湾の固有種となります。

そんな台湾檜(タイワンヒノキ)と紅檜(ベニヒノキ)を鶏口舎さんに納めているわけですが、現物画像を後ほど公開します。

※台湾檜(タイワンヒノキ)
※紅檜(ベニヒノキ)
読み方を覚えましたか?以降読みがなを省略しますので、ここでバッチリ覚えてくださいネ


★現在は入手困難な貴重な木
台湾檜や紅檜。一般のかたの間では、あまり聞きなれない樹種名だと思いますが、
奈良の大仏殿、首里城、明治神宮の鳥居などに使われてきた材です。
日本は早々に大木のヒノキを切り倒し尽くしてしまったので、台湾の山に頼ったのです。

しかし現在は・・・・入手が大変困難です。
乱伐(らんばつ)を避ける為に台湾政府が1992年に伐採禁止を決め、
森林の保護に努めておりますので、素晴らしい材だけれども、
枯れたり強風で倒れるなどのレアケース以外では出荷されない状況です。
しかも、それらの材でさえ、中国や新興国の経済発展に伴い、
競りで日本以外の国の業者が落札するケースが目立ち、日本の業者が輸入できる事がほぼ無い状況です。

僕が鶏口舎さんに納品した紅檜の入手の経緯はこんな感じです。
某政府のとある機関が自らの施設に使うために、某銘木店の倉庫にて発見された事を聞きつけ買い付けに。
全てを買い上げていかなかったので、残った分を販売して頂きました。
伐採禁止は厳格なルールなようです。身内だとしても、伐採を許すような特例が無いのだなと
知ったエピソードとなりました。(詳細は鶏口舎さんも知っています)

★鶏口舎さんに納品した紅檜
では、実物画像を元に、紅檜を先に解説します。
紅檜はその名の通り、台湾檜に比較し材の色がより赤く、どちらかといえば赤身が薄い台湾檜のほうが需要が高く、
かつては台湾檜のほうが高値で取引されていましたが、現在では紅檜も入手困難な為に、
状態の良いものが在庫として残っていれば、高値で取引されています。

紅檜の素晴らしさを画像でお見せしましょう。
こちらが鶏口舎さんに納品したものの一部です。すでにこのサイズに製材済みの古い在庫です。
何かに使おうとこのサイズに挽いたまま、数十年以上、使用されることなく今日に至ったものです。


45センチ幅の柾目(まさめ)の材です。柾目(まさめ)は1本の木の30パーセント以下しか採れない貴重な部位です。
柾目(まさめ)の板は貴重ですからより高値になります。すーーーっと流れる木目です。
しかも、途中で切れておりません。これは素晴らしいですよ。マグロで言えば大トロみたいなものです。
柾目でも途中で斜めに流れて途切れていたら価値が下がってしまいます。
大トロみたいな貴重な部位がよくぞ残っていました・・・


表面を拡大すると・・・・年輪がとにかく続いております・・・・。
45センチの幅の中に何百本の年輪があるのでしょうか?
どなたか数えてみませんか?拡大画像をどうぞ。(僕は途中で数えるのをやめました・・・@@,)


0センチから10センチ


10センチから20センチ


20センチから30センチ


30センチから40センチ


40センチから45センチ。何百年分の年輪があるのでしょうか・・・

比較対象が欲しいですよね?樹齢60~70年くらいの、岐阜県産の植林ヒノキを比較対象として撮影しました。

柾目の板の幅が45センチもあるという事は、相当な大木の証です。
日本の植林ヒノキでは絶対に採れないサイズです。
幅と年輪の数。この差が価値の違いです。


側面はこんな木目が現れています。屋久杉の笹杢(ささもく)と呼ばれる木目に似ています。
ヒノキやスギの大木にはこのような繊細な木目が現れる事があります。


参考までに屋久杉の笹杢の現物です。(柿木司氏の屋久杉成長調査に照らすと樹齢1000~1600年の材)。


★台湾檜について
こちらは少しの量しか確保出来ていないのですが、相当な大木であったことが分かります。



弧の大きさで直径を推定できそうですね。

さきほどもお伝えしましたが、明治神宮の木造鳥居が台湾檜で造られた事は有名な話ですが、
近日、修復の為にその他材となるそうです。台湾檜が入手できませんので仕方がないですね。
日本での大木の乱伐は1000年以上前から始まった訳ですが、当時、正確な国土の地図はなく、
山や大木が無限にあるかのような錯覚をしてしまい、大きな木造建築物を無理して作り過ぎてしまったのです。
そして今、古いものを維持していく事は大事ですが、しかし、現実というものもありますから、
海外の大木に日本文化のしわ寄せを求めるくらいなら、多少の設計のリファインは仕方ないのかな・・・と、
僕個人は思う事があります。

★大切に大切に・・・・
日本は大木のヒノキを切り尽くし、台湾の山に鉄道を作ってまで大木を大量に切り出してきました。
そのような過去の歴史については、ここで語る事はありません。

ただ思う事は、今、残っている台湾檜、紅檜を、作品に転生させたいということ、
みなさんの身近なところで可愛がってもらえたら・・・その木はきっと喜んでくれるだろうということ。
そんな事を鶏口舎さんと、ふわふわと思っています。
残り少ないそれらの材を、大切に・・・ほんとうに大切に、最大限ムダが無いようにしていきたいと思います。

★鶏口舎さんにインタビュー
鶏口舎さんのブログでありながら、鶏口舎さんに取材しちゃいました。

韮澤より:質問
今回の台湾檜と紅檜をどのように感じ、どのような気持ちで制作していますか?

鶏口舎:返答
台湾檜を彫った時の衝撃を今でも覚えています。
いつも使う天然木曽檜とはちがう、圧倒的な魂みたいな
ものを感じました。
紅檜も手に取った瞬間に、作るべきものが、思いつきました。
長く生きてきた木には、何か不思議なパワーを感じます。
彫っていますと、木が私に語りかけてくるような気がします。
その魂を作品に込めて、お守りになるような作品を作りたい
と思っています。

以上にて、今回の記事を終わります。

★あとがき
鶏口舎さんの作品は空気が違う。そのような評価が僕の所へも聞こえてきます。

その“空気”の理由は何でしょうか?

塗りのお仕事も彫りのお仕事もお上手です。そういう技の部分も理由としてあるでしょう。
そして・・・・・大木の材を用いているという理由もあるでしょう。

大木は・・・・・長い年月を、春夏秋冬を、晴れの日を、雨の日を、穏やかな日を、嵐の日を、数百年以上も生きてきました。
その生命力が、作品に宿っているから、何やら空気が違う作品になるのかもしれません。


木は二度生きる、というフレーズを鶏口舎さんは好んで使います。その通りです。
鶏口舎さんが、大木を作品に転生させ、世に送り出し、みなさんのお家で、大木の第二の人生が始まります。

人里離れた山で長く生きていた大木が、作品となって、みなさんのお家でほっこりと第二の人生を始めるのです。

長い年月を生きた木に敬意を籠めて、今日も一生懸命に彫っている鶏口舎さん。大木も喜んでいる事でしょう。

僕も、今後も、一生懸命に材を探し、鶏口舎さんにバトンタッチし続けていきますね。

鶏口舎作品の魅力の神髄に迫る記事にもなりました。それでは今回の寄稿記事を終えます。

今後も、素敵な材を納品した際は寄稿させて頂きます。



韮澤やすおみ(木工玩具制作ユニット・ピノッキオ。もぐらのもぐインターネット絵本作者)

★その他の材も解説しております。
鶏口舎で用いている天然木曽檜材の解説(クリック)
※鶏口舎で用いている一位材の解説(クリック)
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