higher ground

甘いものと政治の話

一瞬にして…

2021-03-30 17:18:02 | 日記

 世界の動きの中で、ずーと気になっていることがある。それは2月1日に起きたミャンマーの軍事クーデターだ。

 ミャンマー(旧ビルマ)はアウン・サン・スー・チーさんの父の故アウン・サン将軍のもと、1948年にイギリスの植民地から独立をする。当初は民主制だったが、1962年に国軍が軍事クーデターで政権を掌握。1988年に民主化運動が発展すると、スー・チーさんを中心に国民民主連盟(NLD)が結成された。1990年の総選挙でNLDは圧勝。しかし軍はそれを認めず、民主化運動を弾圧し、スー・チーさんは15年間にわたり自宅軟禁された。これに対して国際社会は経済制裁を強め一致して圧力をかけた。その結果、軍事政権は憲法制定(国会議席の4分の1を国軍が握る)を経て2010年に20年ぶりの総選挙を実施。スー・チーさんを排除した状態で行われた総選挙は軍政の承継政党が圧勝するが、テイン・セイン政権は民主化改革を進め、2015年の総選挙ではNLDが圧勝し、スー・チーさんは国家顧問兼外相として事実上の国家トップに就き、2020年の総選挙でもNLDは圧勝している。

この民主化に向けた統治を一瞬にして終わらせたのが今回の軍事クーデターだ。

2月1日のクーデター以降、弾圧による死者は500人以上に上っている。

国軍記念日の3月27日には記念式典などがあり、軍部は前夜、国営放送を通じて「これまでの無残な死者の悲劇から、自分も頭や背中を撃たれる危険があると学ぶべきだ」と話し、ミンアウンフライン総司令官は国軍記念日のテレビ演説で、NLDの党首アウンサンスーチー氏による「違法行為」があったため、国軍が政権を掌握する必要があったと強調している。首都ネピドーで開かれた軍事パレードには、ロシアのアレクサンドル・フォーミン防衛次官が出席。中国やヴェトナム、タイからも代表が参加したという。

今回の事態を受け、アメリカはミャンマーとの貿易と投資の協定を停止するなど制裁を開始。イギリス、EU(欧州連合)も、ミャンマー国軍に対し制裁を科している。

これに対してミャンマー軍と親密な関係にあるのがロシアだ。ロシアはミャンマー軍に、軍事訓練のほか、武器も提供している…。

日本はどうだろうか…ミャンマーでは日本が参加している都市開発があり、国軍に利益が流入している可能性も指摘されている。にも関わらず、対ミャンマー制裁に政府は慎重な姿勢を崩していない…。

いまもミャンマーでは市民に対する弾圧…いや虐殺が続いている…政府は国軍に直接的でも間接的でも支援がまわっていないか…きちんと洗い出し、国際社会と連携して国軍に対して圧力をかけていく必要がある。

企業の間でも動きがでてきている。キリンホールディングがミャンマー国軍の市民への弾圧に対して、「当社のビジネス規範や人権方針に根底から反する」として、国軍系企業との提携を解消している。

自由と民主主義を手に入れるためには、小さな一歩を積み重ねていくしかない。しかしそれが崩れ去るのは一瞬だ。

それをきちんと噛みしめておかなければ、いつかは自分のもとへ降りかかることになる。

まずは「暴力」をとめることだ。