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泡盛なかゆくい

第一期・泡盛マイスターがお届けする、沖縄やアルコールに関する日々雑感。

日本酒を、飲んで、酔って、売りまくれ!

2008年05月20日 | その他
テレビ東京という関東ローカルな局ゆえ、このブログの何人の読者のみなさんが放映地域に住まれているのか存じませんが、私の大好きなテレビ番組に「日経スペシャル カンブリア宮殿」(月曜22時~)という番組があります。村上龍と小池栄子を司会に、何かを成し遂げた魅力的な経営者などが紹介されるトーク番組なのですが、番組のコンセプトは「この人の下で働きたい」(そう思うことはほとんどないのですが)。大好きと言い切るぐらいですので、毎週必ず録画してまで見るのは当然のこと、書籍化されれば買って読み返しては「よその社長は良いこと言うなぁ」と経営者の金言を自分の引き出しにしまったりしています。

昨夜、5月19日のカンブリア宮殿のタイトルは「日本酒を、飲んで、酔って、売りまくれ!」。

東京・亀戸に本店を構える長谷川酒店社長・長谷川浩一氏が登場。テーマは、1978年をピークに消費量が減少の一途、造り酒屋の倒産件数も増え、今や瀕死の状態とも言える「日本酒」。その復権を目指して、奮闘している姿が描かれていました。東京駅のエキナカとして注目される「グランスタ」や、原宿の「表参道ヒルズ」に、ちょっと洒落た日本酒メインのショップがあるのは気がついていたのですが、長谷川氏が仕掛人だと知ったのは「カンブリア宮殿」を見てのことでした。

長谷川氏の取り組みを簡単にまとめると、
・地域の酒屋どうしでネットワークを作り、売れるオリジナルの日本酒の開発をメーカーに働きかけ、ディスカウントリカーショップとの差別化で生き残る仕組みを作った。
・若者層に日本酒の魅力を知ってもらうべく、若者が集まる好立地にショップを出店した。
・無名だが可能性のある酒造を発掘。他の酒造との交流を支援して、お互いに学び成長していくネットワークを作った。
・マーケットとしてまだまだ拡大の可能性がある海外への展開。良質な(←これ重要なポイント)酒を初期段階で投入することで、日本酒の存在感と価値を高める。
といったもの。日本酒には割と痛いめに合ってきているのですが、ちょっぴり飲みたくなってきました。

自身の取り組みに対して、長谷川氏曰く「自分一人では成し遂げられない。お互いに助け合う存在になれば、日本酒業界全体が強くなるはずだ」と。長谷川氏がマセラッティを飛ばして地方の小さな酒造さんを訪ねる映像は「ここは笑うところか」と思いましたが(テレビって怖いですね)、その強い信念とメッセージはとても印象に残りました。泡盛業界には、長谷川氏のような存在はいないのか。何かヒントはないか。泡盛マイスター有志で、何かきっかけを作れないものか?と自問自問。確かに自分一人では……一人でも立ち上がれる人は、実に立派です。

村上龍がこの番組の途中で言いました。

最近の若い人は「酔っぱらいたくない」と言う。
希望がないからだ。希望がないと、酒って飲む気にならないんじゃないか。
ちょっと良いことがあるから、楽しい気分だから、今日はちょっと飲もうか、みたいな
「飲もう」と思えるような楽しいことがないんじゃないか。

なんか判る気がするんですね。サラリーマンの酒と言えば、会社や上司への不満やら何やらを酒肴に盛り上がったりすることもあるでしょう(もちろん普通に楽しい飲み会もあります)。偉い人と飲みに行ったなら、どんなに酔ってもついつい気を遣いまくるのはサラリーマンの性。まだ明るいというのに、新橋SL広場でテレビカメラに取材されちゃうようなホロ酔いのサラリーマンなんかをテレビを通じてみれば、やっぱり若い人たちなら「(あんな風に)酔っぱらいたくない」と思っちゃうんじゃないかなぁ、と。

ここ1年間、親しい泡盛マイスター仲間たちの間で、泡盛マイスター協会が著しく信用できないという事態に陥っているのですが、協会への不信感も我慢の限界を越えると、ついに「泡盛が飲みたくなくなった。見たくもない」「このままじゃ、沖縄が嫌いになりそう」と可哀想なぐらいの精神状態になってしまったマイスター仲間がいます。マイスター協会が設立時の「志」をありとあらゆる手段ですり替えて会員をごまかそうが、私個人にとってはもはや見捨てた組織ですので今更どうでもいいのですが、マイスター協会に失望したばかりのときの自分を思い出せば、村上龍の「希望がないと酒が飲めない」という言葉がやけに胸に響くのでした。

たいした希望はなくても、わかりあえる友と旨い酒があれば豊かに生きていけそうです(笑)
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おせち料理の余りものが「どぅる天」に化けました

2008年01月03日 | その他
今日でお正月もおしまい。大晦日に見たニュースでは、首都圏の家庭の20%は「おせち料理を食べない」のだそうです。昔と違って、お正月どこ吹く風とばかりにスーパー・コンビニエンスストアは開いていますし、普段とほとんど同じ生活が営めるとあってか、確かにお正月の実感は薄くなりつつあります。お正月に関係なくお仕事をされている人は増えているでしょうし、家族で働いている人がいれば、そりゃあ正月気分も何も起きないというものでしょう。便利で何ひとつ不自由のないお正月というのも考えものです。

さて、ウチは首都圏の80%のほうに属するようです。妻が美味しいおせち料理をたんまりと作ってくれました。元旦から3日め、いくら美味しいとは言っても、さすがに食べ飽きてくるのはいたしかたありません。そこで残っていた八頭(やつがしら。里芋の仲間)の煮物、筑前煮を加工して、どぅる天っぽいものを作ってもらいました。

今年のおせちは、私の健康を気遣ってか少しばかり薄味に仕上がっていました。この薄味が功をなして、どぅる天っぽい料理を成功させたようです。

レシピは以下のとおり。
1. 八頭の煮物、筑前煮(タケノコ、椎茸、人参、ごぼうなど)を細かく刻みます。
2. フライパンに1を投入し火にかけて、八頭の煮汁を加えながらすりつぶしていきます。
3. 練るようにつぶしながら、塩で味を整えて、水分が飛んだところで火から下ろします。
4. 冷ましてから、小判型に形を整えて、小麦粉をはたきます。
5. 油でさっと揚げて、できあがり。

本物のどぅる天とは、材料もレシピもちょっと違いますけれども、充分に滋味深い味わいになりました。この工程を見て、どぅる天の仕込みって手間がかかってるんだなと改めて思いました。ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、おせち料理の煮物の余りもので作る一品ということでお試しになってはいかがでしょうか。きっとキレイさっぱり冷蔵庫が片づくことでしょう。

ちなみにこのどぅる天が載っている食器は、読谷村にある読谷窯主宰の大嶺實清さんの作品です。一昨年の夏に工房を訪問したらちょうど窯出し直後で、ひと目で気に入って譲っていただいたものです。私たちがこの器を手に入れた直後に、料理研究家の栗原はるみさんがいらっしゃって、これと同じ器や大皿などをお求めになられたようでした。
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泡盛なかゆくい本の販売終了

2007年12月31日 | その他
2007年の最終日、予定どおりに当ブログの新書の販売を終了します。

200冊作って約170冊ほどを、このブログを通じて皆さんにご提供することができましたことを、本当に嬉しく思っています。ご購入いただいた皆様、本当にありがとうございました。

想像以上にちゃんとした本の体裁になっているということで感激してくださった方や、パソコンの画面ではなくて本として手にすると印象が違って楽しめると仰ってくださった方、鞄にいれて持ち運べるので通勤電車で読み切りましたとご報告くださった方、さらには「エントリーのひとつひとつが読み切りなのでトイレ本にぴったりでした」や「次にどの酒を買おうか迷っているときは泡盛なかゆくいを開いて気になったエントリーの酒を買い求めるんだ」「泡盛だけじゃなくて、いろんな酒の話がでるので飽きがこない」などなど。自力で本を作ったおかげでたくさんの方から、ささまざまな感想をいただくことができました。どんな感想でも反応があるというのは本当に嬉しいことで、1月に発売を開始してから今年1年間、本当に私も楽しませていただきました。

残り約30冊は、自分の名刺代わりに配ったりする分として使いきりたいと思います。
うっかり買いそびれていて、どうしても1冊でいいから欲しいという方がおりましたら、ものは試しにご一報くださいませ。そのときの在庫状況によってはお譲りできるかもしれません。

では、2008年が皆様にとってもよい年になりますように。
機会がありましたら、また旨い酒でもご一緒しましょう!
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蔵粋(クラシック)小原酒造

2007年12月30日 | その他
ここ数年、日本酒は身体がまったく受け付けなくなっていたのですが、今年はほんのちょっとなら再び飲めるようになったようです。秋に父のお供で会津方面へドライブに行きました。喜多方から奥会津にかけて点在する観音様を観にいくという目的があったのですが、ついでという感じで喜多方にある小原酒造を見学してきました。ここはクラシック音楽をお酒に聴かせるというので、あちこちで取り上げられた酒造さんになります。

以前にテレビかマンガか何かでも紹介されていた記憶があるのですが、仕込み段階でクラシック音楽を聴かせることによってフルーティな香りと雑味の少ない日本酒ができるとかナントカ。以前から「商品の差別化のための話題づくり」なんだろうなぁと思っていたこともあり、直に説明を聞いてみることにしました。

今回、小原酒造で説明にあたってくれた女性の説明によると、クラシック音楽を聴かせると酵母の醗酵が活発になり、通常の仕込みと比べて約1.7~2倍の酵母密度になるとのこと。ここでは低温発酵で通常の2倍の時間をかけて醗酵させるそうです。タンクに伝わる音響振動が醗酵を促すという話でしたのでタンクを触ってみましたが、音楽の振動が伝わってくるようなこともなく、さほどの音量でもないので、そんなに微かな振動が効果をもたらすのだろうかという疑問を持ちました。しかも銘柄ごとに聴かせる曲が違うっていうのですから、曲ごとに異なる波長の振動が、違う味わいの日本酒を生むという意味になるのでしょうか。見学コースの雰囲気は、クラシック音楽のおかげで、とても和やかでいい雰囲気ではありますが。

クラシック音楽の効果は定かではないにしろ、小原酒造の日本酒「蔵粋」は確かに華やかな香りと澄みきったまろやかさで、まるでワインを飲んでいるかのような味わいです。クラシック音楽を聴かせずに造ったものとの比較を試飲したわけではないので何とも言えませんが、こういう日本酒なら私でも美味しく飲めるなぁという思いを持ちました。

ちなみに銘柄ごとに聴かせている曲は以下のとおりとのことです。

「スーパー大吟醸マエストロ蔵粋」→交響曲第41番 ジュピター
「大吟醸交響曲 蔵粋」→交響曲第40番
「純米大吟醸 管弦楽 蔵粋」→セレナーデ第10番 変ロ長調 グラン・バルティーダ/ディヴェルティメント第17番ニ長調
「吟醸夜曲 蔵粋」→セレナーデニ長調 ボスト・ホルン/セレナーデト長調 アイネ・クライネ・ナハトムジーク
「純米協奏曲 蔵粋」→ピアノ協奏曲第20番/ピアノ協奏曲第27番

最近では、肉が旨くなるってことで牛や豚の飼育場でクラシック音楽を聴かせるところもあるそうですね。
他にもお腹にいる赤ちゃんにモーツァルトを聴かせて胎教なんてのもありましたね。
牛も豚も聴覚を持っているのでストレスを軽減させる効果はあるでしょうし、お腹に赤ちゃんがいるお母さんにとっても、クラシック音楽を聴くというのはリラックス効果がありそうです。

ホントは、クラシック音楽を聴いているのは杜氏さんをはじめ酒造り職人のみなさんで、リラックスして優しい気持ちで造るから旨くなるんだったりして。
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シャトー・モンペラ(CHATEAU MONT PERAT)

2007年11月25日 | その他
そもそも「泡盛なかゆくい」でワインをご紹介するのは初めてなのではないかと思います。実はワインもちょこちょこ嗜みますが、他のお酒たちと違って、ワインの世界をほとんど理解していないのでブログで何かを語るのを自然と避けてきたのも事実です。また、先日に著名なパティシエとご婚約された「血がワインでできている」川島なお美さんのように、ワイン通の人たちが大げさにワインを表現されるのを見ていて、ちょっぴり気恥ずかしく感じたりもしていました。どうしてもお酒ってウンチクが付いてまわるのでしょうが(「泡盛なかゆくい」も稚拙なウンチクだらけですが)、ワインの世界は私から見ると恐ろしいぐらい表現がファンタジーなのであります。

ちょうど世間は、今年のボジョレーヌーボーが解禁になってワイン真っ盛り。紅葉も深まるこの季節は、何故か赤ワインが飲みたくなります。実際にはこの季節になると赤ワインにあう肴が出回るからなのでしょうが、私は昨年のボジョレーの出来もわからない人ですので、今年のボジョレーの出来を味わってみても仕方ないだろうと、違うワインに手を出すことにしました。

会社の同僚が貸してくれたワインを題材にしたコミック「神の雫」に登場する「シャトー・モンペラ」の 2005年を購入してみました。主人公の青年がワインの飲み比べに際し、2,000円代で手に入る「シャトー・モンペラ」はオーパスワン(市場価格で2万円超だそうです)に引けを取らないと大絶賛。「神の雫」で紹介されて以来、一気に人気銘柄になってしまい、今や2,000円代ではなかなか買えないようです。私が買った「シャトー・モンペラ2005」も約3,000円ほどの値段でした。1本の木に6房までと選定されて栽培されるなど想像を超える努力と熱意が注がれていることを考えれば、3,000円で買えるのなら充分にコストパフォーマンスが高いようにも思ってしまったのですが、ワイン通から見るといかがなものなのでしょうか?

開栓した瞬間に力強いアロマが広がります。果物の砂糖漬けのような、野苺とうっすらミントのニュアンスも感じます。口にふくんでみると、もっと複雑にのびのびと広がる完熟した葡萄と木樽の風味。ややラム酒に似た味わいも押し寄せつつ、後味に至るまで非常にバランスが取れています。なるほど、これが「神の雫」で絶賛するワインなのか。家で開けたワインでは(笑)間違いなく最高級で実に旨い。赤ワインが苦手な妻も「あら、おいしい」と声が漏れてしまうほどです。

お酒は個人の嗜好が前面に出ますので、メディアで絶賛されていたとしても必ず旨いとは限りません。自分が旨いと思う銘柄をこよなく愛するのがベストだと思っていますが、「神の雫」がなければ私は「シャトー・モンペラ」を飲むことはなかったでしょう。素直に「神の雫」の作者に感謝したいと思います。

ちなみに私にとっての記憶に残る最高に旨いワインは「DRCエシェゾー」でした。
あれは官能的で爆発的に旨かった。かなりお高いワインですし、きっと二度と飲めないんだろうなぁ。



<新書版「泡盛なかゆくい」。売り切れご免 or 2007年12月31日ご注文分までで販売を終了します>
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Suntory Saturday Waiting Bar "AVANTI"

2007年09月23日 | その他
「やぁ、スタン。ウィスキー、いつもの」「カシコマリマシタ」

こんな会話で始まるTOKYO FM(全国ネット)のラジオ番組「Suntory Saturday Waiting Bar "AVANTI"」。毎週土曜日の17時からON AIRされています。東京元麻布・仙台坂上にあるイタリアンレストラン「AVANTI(アヴァンティ)」のウェイティングバーを舞台に、さまざまなお客さんの会話を常連客の紳士と一緒に聞き耳を立てて楽しむ、という番組です。会話のお客さんの片方は、必ず著名人で、タレントから文化人などバリエーションが多岐に渡っているのが特徴です。冒頭の台詞は、番組のナビゲーション役である紳士が来店したときの決まり文句。毎回、注文するものが異なります。季節にあわせたカクテルやシャンパン、出演者の話題にちなんだカクテルなどを選んで、バーテンダーのスタンに注文をするところから始まるというわけです。ほとんど知られていないカクテルなども、さらりと「カシコマリマシタ。ズイブンナツカシイカクテルデスネ」と言いながらレシピをすらすら語るスタンは、よほどの凄腕バーテンダーなんでしょう。番組の間は、ずっとJAZZが流れ、ビールを注ぐ音やシェイカーを振る音が効果音として流れているので、まさにどこぞの酒場に居るかのような雰囲気で、心地よい時間を過ごすことができること間違いなしです。

実は土曜日の17時にラジオの前にいることが少なく、この番組はときどき買い物途中のクルマの中で聴くことがある程度。私は毎週、通勤途中の電車の中でポッドキャストで「AVANTI」を楽しんでいます。iTunesに登録してあるので、自動でダウンロード、iPodに同期されるようになっています。お酒の話はほとんど出てこないのですが、自分の専門外やもともとあまり感心が薄かった分野のゲストが、魅力たっぷりに持ちネタを語ってくれるので、自分の関心分野を広げたりするのにちょっとだけ役立っています。もし興味をお持ちでしたら、ぜひiTunesをインストールして「一緒に聞き耳を立ててみませんかぁ?」(←これも進行役の紳士の決まり台詞です)。

ちなみに、元麻布の仙台坂上というのは実在する地名ですが、AVANTIという店は実在しません。実在するならぜひ訪れてみたいものですが、やはり架空のバーとのことで実に残念です。ところが、どうやら毎年夏に開催される「麻布十番祭り」に3日間だけ出店されるのだとか。だいぶ雰囲気は違うと思いますけれども、来年こそは祭りついでにAVANTIに行ってみたいものです。

SUNTORY SATURDAY WAITING BAR AVANTI PODCASTING


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「泡盛なかゆくい」開設2周年

2007年09月16日 | その他
今日、2007年9月16日で「泡盛なかゆくい」をスタートして2年になります。

こんなにマイペースなブログでも大勢の人に読んでいただきつつ、よく2年も続いたなぁ(たくさん飲んだなぁ!)と自分でも嬉しく思います。今年はじめに発刊した新書版「泡盛なかゆくい」も、おかげさまで多くの方にお求めいただきました。本当にありがとうございます。どこまで続けられるか、まったく想像もできませんが、これからも宜しくお願いいたします。

最初の1年は比較的に泡盛や沖縄の話題を中心に書いてきましたが、次の1年はウィスキーやビールなどの泡盛以外のお酒にもなるべく目を向けてきました。どんなお酒を飲んでいても、やはり泡盛が自分の中心にあって、泡盛との比較をしてしまった気がしています。このスタンスは、次の1年も変わらないかな。とはいえ、ぼさっとしていると、恐ろしいほどの猛スピードで時間が過ぎて行ってしまうので気をつけなければなりませんね。本に収録したのが最初の約90エントリー、そこからの1年はその約半分ですから第2巻をつくるのはもう少し先になりそうです。なんだ、もっともっと飲まないとダメですね(笑)

泡盛マイスターの認定資格保有者も毎年続々と増えているそうですが、世間での資格の認知そのものはあまり変わっていないような気がします。専門的な勉強をしないと取れない資格にも関わらず、相変わらず「なんちゃって資格」みたいに言われることが多くて、何だかとても残念です。業界内ではマイスターとして活躍されている方がいるのかもしれませんが、私自身このブログ以外は何もしていないので認知向上にはほとんど貢献できていないわけで、ブームで急成長してきた泡盛も2005年以降は前年割れの状態が続いているといったニュースを聞くと正直なところ、ちょっぴり申し訳ない気持ちになります。

本をお求めいただいた方のお手元にはあるかと思いますが、これまで使ってきた私のマイスター名刺が切れてしまいました。単に増刷するのもつまらないと思い、新しくデザインし直して昨日に納品されたばかりです。こういうときばかりは、デザインワークも自由自在にこなせるような仕事をしてきてよかったなと思います。皆さんと今度お会いするときは、完全リニューアルされた真っ青なキレイでカッコイイ名刺(←自分で言ってるし・笑)をお渡しできると思います。

「泡盛なかゆくい」読者オフとか企画してみましょうか。どこかでみんなで一緒に泡盛を飲んだら楽しいと思うんですけれど。


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わかりやすい菌の話「もやしもん」

2007年08月05日 | その他
妻が突然に菌に詳しくなっていました。黄麹菌と黒麹菌の違いや、醗酵と腐敗の違いなどを語り出したので、何かおかしいと思っていたところ、友達から「もやしもん」というコミックを借りたのだと本を見せてくれました。現在5巻まで出ているそうです。私もさっそく読み始めました。

「もやしもん」は、イブニングに連載されている石川雅之氏の作品で、東京にある農業大学を舞台に「菌が見える」という不思議な能力を持つ主人公をとりまく、いわゆる学園物語です。主人公が「もやし屋」こと種麹屋のせがれなので、タイトルが「もやしもん」なのでしょう。種麹屋を「もやし屋」と呼ぶのは知りませんでした。

コミックなだけあって、菌やウイルス類は、かわいらしくデフォルメされて登場します。主人公に常にまとわりついているアスペリギウス・オリゼー(黄麹菌)や酢酸醗酵に登場するアセトベクター・アセチ(酢酸菌)を始め、アスペリギウス・アワモリなども登場します。菌たちの口癖は「かもすぞー」(醸す。繁殖する、醗酵、腐敗させる意)。ちなみに危険な菌の口癖は「かもしてころすぞー」なのが判りやすいです。主人公は菌の会話も聞けるので、カビ菌が「何かかもすものないかなー」「あっちにパンがあったよ」などと主人公を前に相談している様子がかわいらしく描かれています。

泡盛マイスターの勉強をされている方は、ひとまず菌による米の糖化からアルコール醗酵までの過程を判りやすく理解するのに「もやしもん」1巻は参考になるでしょう。さすがにコミックは判りやすいです。どぶろくにおける醗酵と、口噛み酒における糖化の解説がでてきます。これは泡盛の製造工程にも通じますので、すんなり吸収できることでしょう。

もし1巻で「もやしもん」に興味がでてきましたら、5巻まで目を通されるとよいでしょう。酒造りに「菌による醗酵」が欠かせないことから、酒ネタがたびたび登場します。他の菌ネタを含めて楽しく勉強できますよ。ちなみに3巻では、現存していないであろう200年古酒に相当する熟成を人工的に促進させた泡盛が登場します。微弱超音波を泡盛に与えることで、自然熟成の約100倍の速さで熟成が進むらしいという話です。以前に超音波熟成させた焼酎を飲んだことがありますけれども、熟成促進年数は怪しいものの、確かに口当たりがまろやかで尖った雑味が和らいでいるのに感心したことがあります。超音波でアルコールと水の分子が細分化され、会合が促進されるという原理ですから判らないでもないのですが、何だか狐につままれたような気持ちと、年数をかけて生み出されるロマンみたいなものが大きく損なわれるのはちょっと……と思うのでした。


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七賢の甘酒(非売品)

2007年08月04日 | その他
白州蒸留所に向かう途中、中央自動車道須玉I.Cから降りて20分ぐらいのところに「七賢」山梨名醸に立ち寄りました。このブログを熱心にご覧いただいている方なら、「泡盛なかゆくいの人は日本酒は苦手なんじゃなかったっけ?」と首をかしげそうですが、日本酒目的ではなくて蔵元の隣にある七賢が経営する「臺眠」でお昼ご飯を食べるために立ち寄ったというわけです。

席に着くなり1本の水が入った瓶が運ばれてきます。なんと七賢で日本酒を作るときの仕込み水なのだそうです。南アルプス甲斐駒ケ岳の伏流水はひたすらに軟らかく、まずは水だけで感動です。この水なら料理も期待できそうです、とワクワクしていると「雨の日のサービスです」と甘酒が運ばれてきました。氷が浮かんだ冷たい甘酒は初めてですが、口に含むと驚くほど酒粕とお米の甘さがふわりと広がります。酒粕に含まれている醪の粒がうっすらと残りつつ、舌触りのよい爽やかな甘さは、まさにお米のジュースのようです。あまりに美味しいので「この甘酒は売っていないんですか?」と尋ねてみたところ、「これは、あくまでもサービス品なんです」と平謝りされてしまいました。

この甘酒で使われている酒粕は、七賢の酒を作る過程で絞ったときに残ったものですから、さぞ七賢の酒は美味いのだろうなぁと想像が働くものです。1本ぐらい何か七賢の酒を仕入れてみようかと思いましたが、こうなると「自分はなぜ日本酒が苦手になったんだっけ?」という疑問にぶちあたります。青々とした森にしとしと降り続ける雨音をBGMに、美味しいご飯を食べながら悩んだ結果、やっぱり日本酒に手を出すのはやめようと思い至りました(まずは蒸留酒に専念専念っ!!)。

山梨と言えば、やっぱりワインが最初に浮かぶものですから、七賢のような日本酒の蔵の存在は想定していませんでした。今でも七賢の仕込み水と甘酒の美味しさが記憶に蘇ります。次に白州を訪れるときの楽しみにとっておこうと思っています。


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大坊珈琲店

2007年07月01日 | その他
同じ嗜好品でありながらテイスティングやバリスタなどの認知の高さから言えば、泡盛マイスターなどは遠く及ばない「コーヒーの世界」もちょっとだけ覗いてみたいと思います。スターバックス上陸のおかげで「バリスタ」の存在感は確実に増したといっても過言ではないでしょう。泡盛と違って、朝から昼間から気軽に誰とでも飲めるのもコーヒーの良いところですね。

仕事で外出している途中の休憩や時間調整と言えば、かつてはドトールぐらいしか選択肢がなかったのに、最近は都内ならどこに出かけてもスターバックスやタリーズがあって、いつでもコーヒーの心地よいフレーバーが漂う世界に浸ることができます。しかも店内禁煙で居心地もいい。いつかモノは試しに、バリスタの講習会などに出てみたいものです。

コーヒーの世界には、フレーバーホイールという判りやすいチャートが存在しています(COFFEE TASTER'S FLAVOR WHEEL)。泡盛などもこういうのを作っていく必要があるよなぁ、と思いつつも、泡盛の場合、ここまで細分化されたフレーバーを明記するのは結構大変なんじゃないかと、いきなり挫折している自分がいます。

さて、先日の青山での仕事帰り。懐かしいお店に立ち寄りました。
表参道の交差点から外苑前方向に曲がってすぐにある「大坊(だいぼう)珈琲店」です。かれこれ20年ほど昔から近所を通りかかると扉を開けるお店で、かつてはニューヨークタイムズでも絶賛されたことがあるのだとか。当時、私は予備校生でしたので、赤本片手に通った時期もあります。今も昔も、変わりなく美味しいコーヒーが楽しめる、私にとっては青春の思い出たっぷり(!?)の大切なお店です。先日に初めてお店の人に尋ねたのですが、なんと1975年開店とのことです。大坊珈琲店のユニークなところは、豆の量とお湯の量を選んでブレンドを注文するという方式。例えば、豆20gとお湯100ccとか、そんな感じ。つやつや黒光りした深煎りのコーヒー豆を粗めの粉にしてゆっくりとお湯を注いでいきます。普通のコーヒーショップよりも確実に「ぬるめのお湯」で、風味も香りもひたすらに深く優しい。酸味をほとんど感じないのに、あと味がさわやかさを感じるのは、昔とまったく一緒でした。

静かな店内、カウンターで美味しいコーヒーを味わいながら、手持ちの本をめくりつつ1日の仕事を反芻していると、強いまなざしを感じます。大坊珈琲店には1枚の象徴的な絵画が飾ってあります。「大坊珈琲店の午后」という牧野邦夫さんの絵です。大房珈琲店で、じっとこちらを見ている女の人がひとり窓側の席でコーヒーを飲んでいる絵です。見つめ返すと吸い込まれてしまいそうなほど、彼女のまなざしは深く強いのが特徴です。カウンターは満席ですが、彼女以外は人間ではない、というそんな不思議な絵です。

スターバックスやタリーズとは確実に世界観が違うお店です。
行ってみられる方は、ぜひ絵画にもご注目ください。

◆ 大坊珈琲店
港区南青山3-13-20
03-3403-7155
9:00-22:00(日・祝は12:00-20:00)



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