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泡盛なかゆくい

第一期・泡盛マイスターがお届けする、沖縄やアルコールに関する日々雑感。

ニッカウヰスキーの創立当時の写真

2010年12月05日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
母の実家が余市にあったので、自分がまだ小さい頃に、何度か行く機会がありました。

小学3年生の夏休みの長期滞在時、叔父がニッカウヰスキーの余市工場に勤めていたので、夕方に叔父のいる工場に顔を出して、リンゴジュースをごちそうになったりするが楽しみでした。母の実家からニッカウヰスキーまで歩くにはかなり距離があると思っていたのですが、久しぶりに余市に顔を出したら、なんと目と鼻の先だったので、子どもの距離感というのは大人とだいぶ違うんだな、というのを実感した次第です。

ニッカウヰスキーについては、さまざまな情報がネット上にありますので、あえてここで説明するまでもないのですが、創業者の竹鶴政孝さんが居なかったら、サントリーの山崎蒸留所も立ち上がっていなかったかもしれず、日本のウイスキーはもっと違うものになっていたのかもしれません。そして、ニッカウヰスキーが余市で誕生しなかったら、この私もこの世に存在していなかったかもしれない、という事実を、つい先日に知りました。

母方の祖母は余市の生まれで、創業したばかりの大日本果汁株式会社に勤めていました。大日本果汁とは「日」と「果」、つまり今のニッカウヰスキーの前身の会社です。ニッカウヰスキーが何故、大日本果汁という会社だったのか。ウイスキーは蒸留してから出荷まで何年も寝かせなければならず、ウイスキーが熟成するまでの収入源として、余市の名産品であるリンゴを使ってジュースを製造していたからとされています。

祖母はニッカで働いていた際に、私の祖父にあたる男性と出会い、樺太にて結婚式をあげたそうです。そこで母と叔父さんの二人の子どもを授かるも、若くして旦那さんを亡くします。かなりの若さで亡くなったそうで、当然ながら私は一度も祖父とお会いすることもなく、残念ながら顔すら知りません。その後、太平洋戦争が激しさを増してきたのを受けて、樺太から余市に戻り、女手ひとつで気丈ににも二人の子どもを育てたのだとか。昔話を聞けば、祖母は今では想像できないほどの苦労をされていました。

竹鶴さんの妻にリタさんという女性がいました。リタさんは、竹鶴さんのスコットランド留学中に知り合った女性で、周りの反対を押し切って祝福されることなく結婚、誰にも見送られることなく日本に一緒に連れて帰ったそうです。このあたりのエピソードは、「バーテンダー」というコミックスの16巻でも語られていますので、興味がある方はご覧ください。ニッカウヰスキーの敷地内に、旧竹鶴邸があります。私は先日初めて実物を見ることができたのですが、当時にしてはかなりモダンな洋館だったことでしょう。遠い異国から一緒に来日したリタさんのために、竹鶴さんがリタさんの故郷であるグラスゴーの生家を模して建てた家なのだそうです。日本でのリタさんの暮らしは、戦争の影響もあってかなりの苦労があったときいています。

そんなリタさんの暮らしを支えるべくお世話をしていたのが、私の祖母でした。
「え、リタさんって、あのリタさん?」と驚いていたら、叔父や叔母が当たり前のように「そうだ」と言います。

そして、その祖母が先月、90歳で他界しました。

娘である私の母を10年ほど前に亡くし、親より先に逝く子どもはなんと親不孝かと、仕切りに悔しがっていたそうです。
私は、そんな祖母の葬儀で数年ぶりに余市に降り立ち、祖母の人生にまつわるエピソードを知ったのでした。

葬儀がひとしきり終わり、帰り際に駅前にあるニッカウヰスキーに立ち寄りました。歴史館の中に創業当時の写真が飾ってあり、その古い写真の中に、私の母の面影に似た女性がいました。「これがバアちゃんだよ」「本当だ、お母さんにそっくりだ」写真を前に、一緒に葬儀に同行していた父とそんな会話をして、自分がこの世に生を受けたきっかけ、人の出会いの奇跡というのをまざまざと実感したのでした。

先日、喪中ハガキを投函し、今年もあと一ヶ月を切りました。年末年始はカレンダーを見るとやけに短いのですが、ニッカで手にいれたシングルモルトでも傾けながら、静かに過ごせたらと思っています。
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シングルモルトのある風景

2010年09月19日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
ウイスキーの生産量を地域別にみると、第1位はスペイサイドなのだそうです。100%アルコール換算にして、約1.7億リットル。これは地球上で作られるウイスキーの約6割近くになるんだとか。第2位がハイランドで7,600万リットル、第3位がアイラで1,600万リットル。3位のアイラは、スペイサイドの1/10程度しかないことになるわけですね。

それなのにアイラのシングルモルトを前に、私はこの日本からはるか遠くにある、その行ったことのない島に特別な思いを馳せるわけです。特別な観光名所があるわけでもなさそうで、おそらく日本からはいくつかの空港を経由して渡ることができるそのウイスキーの島に、ただ「行ってみたい」「見てみたい」「味わいたい」という欲求にかられているのは、多くのシングルモルト愛好家にとって共通なのかもしれません。この本の存在がそれを証明しているように思います。

DVDブック「シングルモルトのある風景 ―アイラ、それはウイスキーの島」
文 山岡秀雄 写真 渡辺裕之

この「シングルモルトのある風景」では、各蒸留所の主要モルトを紹介しながら、蒸留所をめぐるエッセイが書かれています。また、蒸留所を中心にアイラ島のいろんな景色を眺められるDVDが付いています。映像を見てもやはりアイラ島に行った気持ちにはなりませんが、アイラへ憧れる気持ちをとことんくすぐられる内容になっています。

アイラ島は、地図でみるとエディンバラとグラスゴーを直線で結んで、そのまま西へ移動して大西洋に面したところに位置する島です。ボウモア、ラフロイグ、ラガーブリン、アードベッグ、キルホーマン ...地図にはシングルモルト好きにはたまらない名前が並びます。今年のウイスキーマガジン・ライヴ!では、あざとくもH.I.Sが「シングルモルトの旅」というツアーを準備してチラシを配っていた記憶がありますが、確かスペイサイドとかの蒸留所を巡るだけでアイラ島までは行かない内容でした。ツアーだけで20万円ぐらいだったような。旅先での生活費やお土産代まで考えたら、倍は欲しいところ。時間もお金も、相当に余裕がないとアイラ島には行けないわけですね。

お金を稼いでいるときは時間がない、時間があるときは稼ぎがない、そんなもんですよね。
元気に生きているうちに、アイラ島までぶらりと行ける贅沢ができるようになるといいのですけれど。
それとも簡単に行けない島だから、こんなにまで憧れるのかなぁ。

このブログ「泡盛なかゆくい」をスタートして丸5年が過ぎました。
とびとびで記事がアップされる度に、いつも読んでくださっている方には感謝申し上げます。
ご存じ最近は書く量も減ってしまっていますが、飲む量は減っていないのでもう少し続けさせてください。
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マッカラン アンバーリキュール

2010年06月07日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
マッカラン蒸留所が作るリキュール「アンバー」には、2010年2月に開催されたウイスキーマガジン・ライヴで出会いました。

そもそもマッカラン蒸留所がリキュールを作っていたことを知らなかったのですが、イベント会場でtwitterで来場者を探していたところ、「河内屋さんのブースでアンバー飲みました。美味しかった」というつぶやきを発見したのがきっかけです。

河内屋さんのブースに立ち寄ると、確かにそこに琥珀色のリキュール「アンバー」がありました。さっそく試飲させてもらうと、メープルシロップのような甘いフレーバーが口に広がりました。ベースはもちろんマッカランなのですが、メープル以外にも、くるみとナッツの芳ばしさが加わっていて、何とも言えない上品さがあります。聞けば、地元ではフルーツやパンケーキ、アイスクリームなどにかけて食べる方もいるようですが、値段も5,000~6,000円と結構高めなので、好奇心はわかりますが、ちょっともったいないかもしれません。

マッカランとアンバーリキュールで、ラスティネイル風のカクテルが作れるかもしれないなーと想像したりしながら、その後、1本買い求めてみました。アンバーリキュールは、一時期、品薄になっていたようですが、最近はまた入荷しているようなので、今が買いどきかもしれません。

美しいシェイプのボトルを眺めながら、しばらくはストレートでちびりちびりと食後酒として楽しむつもりです。
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ザ・グレンリベット ナデューラ16年

2010年02月07日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
自分の誕生日が近づいていることもあり、今年はどんな酒を買ってもらおうかと物色がスタートしています。ふと気づけば、昨年の誕生日に買ってもらったシングルモルトについて、まったくブログで紹介していないということに気づきましたのであわてて1本のレビューを書こうと思いました。

・グレンモーレンジ シェリーウッド フィニッシュ
・グレンリベット16年 ナデューラ
・クラガンモア12年
・ダルモア12年
昨年の誕生日プレゼントにこれら4本を買ってもらったわけですが、この中で最も私の評価が高かったのが「グレンリベット16年 ナデューラ」でした。

歴史ある実力派の蒸留所として知られるグレンリベットですが、ナデューラ16年は、2006年にリリースされたファーストフィルのバーボン樽のみからボトリングされたカスクストレングスです。ナデューラとは、ゲール語で「ナチュラル」という意味です。ナデューラは英語読みで、ゲール語だと「ナータラ」と読むのだそうです。バニラや蜂蜜等のフレーバーが前面に出ているのは、ファーストフィルのバーボン樽のおかげだと思われます。

カスクストレングス以外に、「ナチュラル」を示す情報がラベルにあります。ノンチルフィルタード、つまりチルフィルターをしなかったという情報です。同じ蒸留酒である泡盛と同じですが、蒸留した原酒は冷却すると溶けこんでいる油性成分が飽和状態になって白濁してきます。この白濁を防ぐために、あらかじめ冷却して濾過してしまうことをチルフィルターと言います。泡盛なら米、ウイスキーなら麦といった原料に由来するのが油性成分ですので、チルフィルターをしてしまうと軽い風味になって、旨味やコクが薄れてしまいます。このナデューラ16年は、ノンチル、つまりグレンリベットそのままの濃厚な香味を感じることができるというわけです。

ナデューラは、バッチナンバーによってアルコール度数が異なるようで、私が手にしたのは57.6度。もともとのグレンリベットが、やわらかくさっぱりしたシングルモルトであるのに対し、ナデューラ16年はバランス良く、本来のグレンリベットの持つポテンシャルをアンプリファイアした商品に仕上がっています。しかも度数の高さは、まったく感じられません。フレッシュな花蜜にオークの芳ばしい香り、さわやかで上品なハチミツのような甘みと、押し寄せてくるナッツとスパイスのフィニッシュ。いつまでも味わっていたくなるような余韻の長い香気は、わずか一杯で十分に満足させられる完成度の高さです。しっかりと香りが堪能できるテイスティンググラスで味わうと、もっともっと満喫できることでしょう。

バーでナデューラを注文するときは、最後の一杯にすることをオススメします。先にナデューラを味わってしまったら、他のシングルモルトに浮気できなくなっちゃいますので。
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球磨焼酎 遊木ー高田酒造場

2009年12月13日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
12月8日、昨年に引き続き日本経済新聞社の主催による「本格焼酎・泡盛の夕べ」という大試飲会に参加してきました。夕方16時から19時までとあって、普通に仕事をしていたら参加ができないと思い、午後半休をいただくことにしました。といっても、16時までブラブラしているのも面倒だなと思い、結局15時半まで会社で仕事をして、それからの出発となったのでした。

聞けば今年は2,800人ほどの応募があり、抽選で800人が招待されたとのことです。私は今年で3年連続で入場ハガキをいただいたので、申し込んだら全員ハガキが届くんだろうなと呑気に思っていたのですが、お友達が当選しなかったんだと仰る参加者もいまして、今年の最後の運を使い果たしてしまったのではないかという気持ちになりました。そういえば、まだ年末ジャンボ宝くじを買ってない...。

今年の「本格焼酎・泡盛の夕べ」は、ブース出展31社、商品出展7社でした。沖縄県からは、久米島の久米仙、瑞泉酒造、比嘉酒造、そして酒造協同組合のブース出展でした。瑞泉の梅酒が美味いという評判をあちこちで耳にしたので、初めて瑞泉の梅酒を試飲してみたら、これが実に美味い。他にも梅酒を持ってきている酒造がいくつもあり、参加していた女性たちの多くは、焼酎そっちのけで梅酒ばかり飲んでいるように見えました。

そんな試飲コーナーで、今年一番とも言える酒との出会いがありました。
熊本県から出展されていた高田酒造場さんの球磨焼酎「遊木(ゆき)」です。

写真にもあるように、高田酒造の十二代目のお父さんと、将来に高田酒造を継ぐために東京農大で醸造学を勉強中の娘さんと、お二人でブースを切り盛りしていらっしゃいました。十二代目の啓世さんも同じく東京農大のご出身のようで、親子二代に渡って同じ教授にお世話になられているそうです。酒造所の方が東京農大で勉強されたという話をこれまでにも聞いたことがありますが、親子二代に渡って同じ師を持つ...というのは珍しくないのでしょうかね。

「出展されている酒造さんはみんな大手で、自分たちみたいな小さい蔵が出て来ちゃってスミマセン!」ともの凄く控えめな発言をする十二代目でしたが、立ち居振る舞いは芳醇な澄み切った香りの完全手造りの焼酎たちを引っさげて自信に満ちあふれているように見えました。聞けば、日経新聞社の方が高田酒造の酒をとても気に入ってくださって、熱意にほだされての出展だったとか。その方のおかげで、私は高田酒造さんと出会うことができたわけで、これも今年の最後の運とも言えるかと。

さて「遊木」ですが、球磨焼酎の原酒を5種類の樫樽で貯蔵したものです。夏場でも涼しい石蔵に、ホワイトオーク樽、リムザンオーク樽、コニャック樽、シェリー樽、スコッチ樽の5種類の樽で寝かせ、最終的にはブレンドして出荷されているのだそうです。まさに樽の「木」で「遊んだ」酒というわけです。ブランデーのようなバニラフレーバーに包まれた米焼酎で、やわらかさを感じる25度はストレートで味わうのにちょうどいい。手で少し温めながら香りの変化を待つとマーマレードやチョコレートのような香りがうっすらと表に出てくるようです。同じく樽貯蔵に「Oak Road」という37度の銘柄もあるのですが、こちらはよりブランデーっぽさが強く、米焼酎としての存在感をマスクしてしまっているように感じました。私個人的には「遊木」の方をお勧めしたいです。

長期貯蔵とのことでキレイな琥珀色をしていたので「かなり色出てますけれど、国税庁の審査は大丈夫だったのですか?」と聞いてみると、娘さんと二人で「そーなんですよ。これ、ちょっと濃いかなーと話をしてたんですが、審査はちゃんと通ったので大丈夫です」とのことです。出荷量も限られているようですが、東京なら日本橋と玉川の靍島屋なら買えるそうです。ぜひ機会がありましたら、皆さんもお試しください。
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NO MUSIC, NO LIFE. NO MUSIC, NO WHISKY.

2009年11月14日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
冷たい風がときおり吹くようになったこの季節、街の居酒屋では「角ハイボール」旋風も一段落したかのように思われます。ハイボールが与えてくれる清涼感が恋しくなるのは夏の気候であり、今の気候にはあまりしっくりこない印象があります。角ハイボールのプロモーションを成功させたサントリーは、これからの季節にどのようなプロモーションを投入するのか。その答えが出ました。

NO MUSIC, NO LIFE. NO MUSIC, NO WHISKY

サントリーとタワーレコードのコラボレーションによる「ウイスキー×音楽」をテーマにした企画。まさに「音楽なければ、ウイスキーじゃない」。寒くなってインドアになりがちな夜に、個性あふれるアーティストの音楽を聴きながら、シングルモルトを楽しんでみては?という提案です。

アーティストとシングルモルトの組み合わせは、以下のとおり。

山崎まさよし × 山崎
Port of Notes × 白州
坂本龍一 × ザ・マッカラン
斉藤和義 × ボウモア
The Ska Flames大川毅&Oi-SKALLMATESワタル・バスター × グレンフィデック
EGO-WRAPPIN’ × ラフロイグ

各々のアーティストが自身で指名した銘柄なら、もの凄い嗅覚というか、自分の素性をよく分析している芸術家だなぁと思いますが、仮に「企画」としてアーティストとシングルモルトの個性を組み合わせているのだとしたら、すばらしい企画人です。まさに秀逸なマリアージュです。

タワーレコードと言えば、もともとアメリカのレコード専門店ですが、私のようなアラフォー世代にとっては輸入レコードの老舗として学生時代から散々お世話になったショップのひとつです。すでにアメリカでは廃業になってしまって、日本では完全にアメリカ法人から独立した法人として経営されているのも知られるところです。タイトルにある「NO MUSIC, NO LIFE」はタワーレコードのキャッチコピーで、通販サイト@TOWER.JPを運営しているその会社の社名は、その頭文字から株式会社NMNLとなっていたりします。

サントリーとのコラボレーションでは、NO MUSIC, NO WHISKYと変化球になっているわけですが、確かに音楽とシングルモルトというのは、非常に相性がいい。泡盛なら、仲間でワイワイ語り合いながら飲むのが似合います。ハイボールも同様。一方、シングルモルトというのは、みんなでワイワイ飲む酒にしては、少々、酒自体が語りすぎる気がします。内にこもると書くとちょっと語弊があるかもしれませんが、どちらかと言うと、私などは自分に向き合うときの酒になっています。音楽ならBGMとして「流す」のではなく「聴く」という行為に似ているというか。過去にミュージシャンとウイスキーという組み合わせの広告もあったかと記憶していますが、それぞれの個性と個性をぶつけた企画は、なかなか新しいのではないかと思います。

さて、泡盛だったら、何とコラボレーションするのが相応しいでしょうかね。
懐かしい写真がつまったアルバムをめくりながら、古酒をちびちびと飲んだりするのをイメージしてみたのですが、そうなると何だろう、やっぱり古くからの友人や仲間の顔が浮かんできますね。泡盛には、孤独が似合わないのかもしれませんね。

NO MUSIC, NO LIFE. NO MUSIC, NO WHISKY @サントリー
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新幹線ホッピー

2009年09月23日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
シルバーウィークは、みなさんいかがお過ごしでしたか。
私は久しぶりに妻の実家に帰省しておりました。

行きの新幹線がちょうど昼どきだったこともあり、東京駅に隣接する大丸デパートで帰省土産を買いつつ、お弁当や飲み物を仕入れることにしました。例によって「よなよなエール」でも買おうかなと思っていたわけですが、なんとホッピーセットが売られているではないですか。ホッピー瓶2本+合同酒精の甲類焼酎とプラコップ2個がワンセットで約500円。しかも何故かプレミアムホッピー(55ホッピー)。デパートで売るからには、ノーマルホッピーではいかんということかなぁ、だったら焼酎はなぜキンミヤにしないんだ? このキッティングを企画した人はホッピーを愛していないな! などと思いを巡らせつつも、物珍しげにこのホッピーセットを購入することにしました。

ひとしきりの買い物を終えて、まもなく引退がささやかれる500系のぞみに乗車して数時間の新幹線移動です。後半はどうせ居眠りだと思いつつ、横浜を通過したあたりから酒盛り開始。テーブルにホッピーセットを並べたあたりで、隣のおじさんの目線が気になります。プラコップには、ちゃんと焼酎を注ぐ目安の★じるしが印刷されていてありがたい。一応、冷蔵コーナーにあったとはいえ、十数分持ち歩くだけでも温度があがります。ホッピーは三冷が美味しいわけですが、こういうときは雰囲気、雰囲気とばかりに、ちょっとヌルめのホッピーを片手に、猛スピードで流れて行く景色を眺めながら一杯。RF1で買ったお惣菜をつまみに「ん、いいじゃない」と言うと、妻はちょっとあきれ顔をしていました。

プレミアムホッピーは、通称「白ホッピー」と「黒ホッピー」の中間に近い色みで、ふっくらとしたロースト香で、ホッピーシリーズの中でもっともビールっぽい仕上がりに感じます。ラベルにはわざわざ麦芽100%、海洋深層水仕込と書かれているあたり、こだわりのホッピーのようです。その昔、ビールは贅沢品で、ホッピーは安価な代替え品としての位置づけで飲まれていたようですが、いまどきのホッピー好きはビールの代替えとして飲んでいるのではなく、ホッピーが好きだから飲んでいる人が多いと想像しています。あえてビールに近づける必要もないのになぁと思いつつも、あっという間に1本空いてしまいました。

近いうちに「ちゃんとしたホッピーを」飲みに出かけよう、という気持ちになりました。

結論その1:ホッピーは、やはりきっちり冷やしてから飲むほうが圧倒的に美味い。
結論その2:新幹線は意外に揺れるので、プラコップは不安定で危ないから、ホッピーセットは新幹線移動には向かない。
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秩父蒸留所 ベンチャーウイスキー

2009年08月23日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
お盆休みと言えば、いつもなら普通に仕事をしておりましたが、今年は珍しくお盆に少しだけ休暇を取りました。社会人になってお盆に休むのは、初めてのことかもしれません。社会人18年目にして、やっとサラリーマンらしくなったということでしょうか。

休暇の日程が一緒になった妻が、埼玉県は秩父にある阿左美冷蔵の「天然氷のカキ氷」を食べに行きたいと言いました。そのカキ氷は、テレビでも紹介され、フリーペーパーのR25でも紹介され、しかもお盆期間とくれば大混雑だろうと思ったのですが、秩父なら「イチローズモルト」で有名な秩父蒸留所があるな、よし行ってみるかと、帰省渋滞に巻き込まれるのを覚悟で秩父までドライブすることになりました。

一杯のカキ氷(うまかったですよ)を食べるためだけに、泣きそうになりながら炎天下に2時間ほど行列に並んだ後、秩父蒸留所がある「みどりが丘工業団地」をカーナビにセット。2008年に稼働したばかりの新しい蒸留所なので、ナビに電話番号を入れても、住所を入れても目的地として見つからないのですが、そこは田舎道ですからなんとかなるだろうと工業団地だけを目印に行ってみることにしました。

工業団地入口の信号を曲がると、いかにも工業団地らしい大きな建物が並びちょっと不安になります。数分ほど車を走らせると、すぐにキルン塔らしき建物を見つけることができ、無事に秩父蒸留所に到着です。受付らしき建物の前に車を止めると、数名のスタッフが仕事をしている様子。お盆は休みかもしれないな、カキ氷が主目的なので到着時間も読めないしと、連絡もせずに行ってしまったため、見学はさせてもらえないと断られてしまいました。小さい蒸留所なので、見学に同行してくださるスタッフさんは仕事をやりくりせねばならず、あらかじめお願いしておかないといけないとのことです。せっかくなので、建物の外からでもいいので覗かせてくださいとお願いして、窓越しにデジカメで撮影したのがこのポットスチルの写真です。

スコットランドのフォーサイス製のストレートヘッドのポットスチルが2基、いずれも2000リットルの容量だそうです。左が初留釜で、右が再留釜です。「小ぶりながら実にセクシーだ!」と興奮しながら、窓越しにポットスチルを撮影していたら、妻が「まったく酒呑みの趣味はよくわからない」と呆れていました。ウイスキーは貯蔵されるエリアの自然環境の影響を直接に受けます。秩父は山に囲まれた盆地で、四季の気温変化も激しいですし、朝晩の寒暖差も大きい地域です。そんな自然環境にある工業団地で熟成される「秩父の」ウイスキーは、はたして一体どんなウイスキーになるのでしょうか。

いま流通している「イチローズモルト」は、ベンチャーウイスキー社長の肥土伊知郎氏の実家である「羽生蒸留所」が経営が傾いて廃棄するはずだった400樽の原酒をなんとか引き継いで育てたもの。国産ウイスキーが水割りでの飲みやすさを追求したものが多い中、イチローズモルトは、高級なお香を思わせる香りに、ほのかな甘さが感じられる個性的でしっかりした味わいのウイスキーです。2008年2月にはイギリスの専門誌「ウイスキーマガジン」主催のコンテストで、21年以上熟成部門などの2部門でベストシングルモルトに輝いた実績があります。

私の住むさいたま市と秩父はちょっぴり離れていますが、同じ埼玉県つまり「地元のウイスキー」です。地元に蒸留所がある、というのは、酒呑みとしては何はともあれ応援したくなるというものです。今回、秩父で美しいポットスチルを見ることができて、やっと沖縄に住む泡盛愛好家と同じ気持ちになれた気がしました。将来、秩父蒸留所からどのようなウイスキーが誕生するのか、今から楽しみにしたいと思います。
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角ハイボールのプロモーションに学ぶこと

2009年06月20日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
ずっと昔のピークを境に下がりっぱなしだったウイスキーの国内出荷量が、この不況の中で出荷量がプラスに転じているそうです。そのきっかけとなっているのが、サントリーが仕掛けている「角瓶」のプロモーションです。

もともとウイスキーは、50代~60代男性を中心としたマーケットで、飲み方も食後にロックで一杯といったものでした。今回、サントリーが考えたのは、まずターゲットとなる年齢を下げるということ。狙いは20~30代の男女。そして「今夜もまず角ハイボールから」という、食後ではなく一杯目からウイスキーをハイボールに(ウイスキーのソーダ割)して楽しもう、という提案が行われました。

酒をたくさん飲む場所として、最初に居酒屋を攻略。店内にシズル感たっぷりの「角ハイボール」のポスターを貼ることや、自動で角ハイボールを絶妙のバランスで仕上げる専用マシンを開発して店に置いたり、角ハイボール専用のジョッキグラスを作るなどが行われました。こうした結果、あちこちの居酒屋で、ターゲットと角ハイボールとの接点が作られて行きました。

次に料理との相性を訴求。高層階のバーで、若者が来店するやいなや角ハイボールと一緒に、アジフライやポテトサラダなど、いろんなつまみを注文するというTVCMが流れるようになりました。角ハイボールが、若者が普段から好むつまみとも合うことを伝えつつ、ここでも食後酒ではなく、食中酒としての存在感をアピール。また、新宿歌舞伎町には、たこ焼き専門店の「築地銀だこ」とのコラボレーションで、たこ焼きをつつきながら安価に角ハイボールが飲める店をオープンするなどの展開も行われました。こうしたサントリーの動きは、マスコミの情報発信のネタとなって報道されるようになり、広く一般に「角ハイボール」が認知されるようになっていきました。

さらに、飲み屋で「角ハイボール」を体験し、その香りのよさや味わいに「うまい」と思った人の囲い込みが始まりました。サントリーが次に打った手は「角ハイボールの家呑み」提案でした。ターゲットが頻繁に利用するコンビニで、手頃に楽しめるように「角ハイボールキット」を展開。角瓶+ソーダ+専用グラスが、リーズナブルな値段で提供されるようになりました。

大型スーパーでは、ラベルの黄色で統一感を持たせた「角瓶」コーナーを展開。単純に角瓶とソーダを一緒に並べて陳列するのではなく、地域にあわせた特産食材と一緒に、やはり食中酒として角ハイボールを飲もう、という提案を行っています。

ウイスキーと接点の乏しかった世代には、シングルモルトとかブレンデッドとかのこだわり要素をあえて見せずに、飲み方提案を一本で貫く。酒のようなウンチクの多い趣向品を、ひたすらシンプルに体験させる。角瓶と言えば、サントリーの歴史を語るのに相応しい商品ですが、そういったブランドの積み重ねもほとんど前に出さない。これが「ウイスキー・ハイボール」の今の流行りを作っているのではないかと思います。泡盛業界にとっても、サントリーのこうしたマーケティング活動は、ものすごく参考にすべきヒントがあると思いまして、このエントリーを書いてみることにしたのですがどうでしょう?

ここまで読まれた方で、マーケティングを仕事にしている人から見れば、サントリーの取り組みは、なーんだ、あたりまえじゃんか、と思われることだらけかもしれません。実は私もそう思っていました。

ただ、こういうマーケティング活動を徹底的に本気で仕掛けようとすると、やっぱり予算の問題であったり、途中どうしてもブレて軸足が定まらない経営トップが存在していたりで、想像以上に実行しきるのは大変なんだということも身体で理解しているというか。だから、仕掛け側にいる方(存じ上げませんが)を、似たような仕事をしている者として尊敬し、また羨ましくも思っています。

サントリーが仕掛けているコンテンツで、唯一の違和感は、TVCMのような高級そうなバーカウンターに「小雪」が絶対にいないことぐらいかな(笑)

仕事帰りに、小雪みたいなキレイな女性をカウンター越しに眺めながら角ハイボールを傾ける。
まさに夢のようですね。サントリーさん、次の一手として、そういう店をぜひ。
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甲乙混和わさび焼酎 つんと

2009年05月24日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
焼酎ブームが一段落したと言っても、次々とユニークな商品が投入されるとあって、まだまだ目が離せない焼酎ジャンルですが、「国産本わさび」を原料にした焼酎「つんと」がサッポロビールから発売になりました。アルコール度数20度と低めで、四合瓶でも1,000円程度とあって、気軽にすいすいロックで飲む焼酎として重宝しそうです。

わさび焼酎というので辛みがあるのかと思いきや、辛みはまったくありません。生わさびをすりおろしたときの、あの清々しい香りがほのかに鼻をくすぐります。安曇野の大王わさび農場で、葉わさびの香りを吸い込んだ記憶が甦ります。もともとの「わさび」は、食材の特徴をリセットするイメージがあります。例えば、脂ののった刺身や、クセが強い青魚など、わさびは後味をさっぱりすっきりさせてくれる存在です。そんな繊細な「わさび」の特徴を焼酎に加えているわけですが、乙類焼酎だと一次仕込み原料の香りが勝ってしまうので、この「つんと」は甲乙混和になったのではないかと推測されます。

私は、居酒屋などで飲んでいる途中、刺身の横でおろしたてのわさびが余っていると、取り皿の隅にわさびだけを盛って、酒の合間にわさびをつつくことがあります。鳥わさなどで添えられるわさびなども同様です。これまでも、和食料理と焼酎、そしてわさびの組み合わせは、料理の味わいと焼酎の飲み心地を引き立てるように思っていました。「つんと」は圧倒的に和食に、しかも魚を使った料理に合います。刺身、煮付け、塩焼き、いずれにも良さげ、つまり家呑みにぴったりな焼酎ということになります。

これからの季節、「つんと」を冷蔵庫でキンキンに冷やして、旨い魚料理と一緒にストレートで楽しんでみてはいかがでしょうか。
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