泡盛なかゆくい

第一期・泡盛マイスターがお届けする、沖縄やアルコールに関する日々雑感。

Loch Dhu(ロッホ・デュー)The Black Whisky 10y

2006年07月23日 | スピリッツ/リキュール/ウイスキー/焼酎
余市にいる叔父から小分けで譲ってもらったというウイスキーを父が我が家に持ってきました。ウイスキーといえば「琥珀色」ですが、このウイスキーは、ぱっと見、オートバックスなどのカー用品やさんに展示してある「交換が必要なオイル」のように真っ黒でした。その名も「Loch Dhu(ロッホ・デュー)The Black Whisky 10年」。光にかざしてみても透過することのないほど真っ黒な、シングルモルトウイスキーです。

製造はスペイサイドのMannochmore(マノックモア)蒸留所。1971年に創業し、一度1985年に休業、1989年から再開している蒸留所です。

トップノートは、まずバニラのような甘い香りと干し葡萄の果実香が感じられます。香りからして濃厚さが漂っています。パレートは、ねっとりと黒飴のような香ばしい甘さがまとわりつき、フルーティさと相まってフルーツケーキのような優雅さ。案外さっぱりとしつつ、余韻ではモルトの甘い芳香が感じられます。かなり個性的な香りと味であることは間違いないでしょう。正直、旨いというよりは面白いと言ったほうが誤解が少ないかもしれません。あまり多くの銘柄を知るわけではありませんが、シングルモルトとしてはかなり異端児かなと思います。度数は40度です。口腔がほわっと温まるのは一瞬だけで、非常に穏やかでオイリー。これならウイスキーが苦手な人にも飲みやすいかも。特にバーボン好きの人には、すんなり受け入れられるかもしれませんね。

いろんなリカーショップのウイスキーのコーナーを眺めてきましたが(高くてあんまり買えない)、こういうウイスキーがあるのは知りませんでした。こういう出会いがあるからお酒は楽しいなと思います。

さて、このLoch Dhuですが、断片的な情報で定かではありませんがすでに製造を終了していて、オークションなどでは高騰しているとのこと。もしかしたら、もはや簡単に手に入らないウイスキーかもしれませんね。いやはや父はとんでもないウイスキーをもらってきたものです。しかも、これ私へのプレゼントだったらしく、父はそのまま置いていきました。大事に飲もうと思います。
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キンミヤ焼酎+黒ホッピー

2006年07月18日 | その他
相変わらず下町のもつ焼き屋などを尋ねる日々が続いておりますが、すっかり定番になってしまった黒ホッピーでも店によって何かが異なることに薄々感づいていました。酔っぱらっていても、探究心はこれっぽっちも曇りません。ホッピーが同じなら、違うのは焼酎のほうだということに気がついたのは、割と早いほうでした。というか、真っ先に気がついても良いものを、やっぱり酔っぱらっていたのでしょうね。

ベースになる焼酎は、甲類焼酎です。ホワイトリカーとも呼ばれる無味無臭な焼酎と言えばよいでしょうか。連続式蒸留機で蒸留されるので、成分はほぼアルコールと水だけで、いわゆる乙類焼酎(本格焼酎)のような個性がないのが特長です。結果としてホッピーやチューハイなどのベースに適しているというわけです。そんなわけで、甲類焼酎はどれも似たようなものだと思い込んでいたこともあって、真面目に商品比較をしたことがありません。ホッピーを飲むたびに「焼酎は何使ってるの?」と尋ね、一部の店を除いて、宝焼酎かキンミヤ焼酎の2種類に大別できることが判りました。そして、私が「旨い」と思っていたホッピーの店はすべて「キンミヤ焼酎」を使っていることにも気がついたのです。となれば、家ホッピーは、キンミヤ焼酎+黒ホッピーで!と探してまわったところ、家の近所の大型スーパーに入っているカルディコーヒーでセットで売っているのを見つけることができました。

私は普段からがぶがぶビールを飲むわけではないので、ジョッキグラスを持っていません。いろいろ迷ったあげく、ギネスのグラスを冷凍庫で冷やし、キンミヤ焼酎と黒ホッピーを冷蔵庫で冷やすこと2晩。とうとう家ホッピーを堪能することができました。氷は入れずに、キンキンに冷えたグラスに、やっぱりよく冷えた焼酎に黒ホッピーを勢いよく注ぎます。ジョッキほどの容積のないギネスグラスでは、黒ホッピーが中途半端に余ってしまい、ほどなく中途半端な2杯めに突入。この季節ですから、すぐにヌルくなってしまい、2杯めの途中からは氷も足してしまいました。念願の家ホッピーは気分的には楽しげでしたが、やはりガツ刺とかもつ焼きがアテにないと寂しいものだなという結論に至りました。

近々、常温に戻したキンミヤ焼酎をテイスティングしておこうと思います。他の甲類焼酎との違いがちょっとでも感じられれば良いのですが、やっぱり難しいのかなぁ。

ちなみにキンミヤ焼酎は、正式名称「亀甲宮焼酎」で株式会社宮崎本店とい三重県にある酒造で作られています。この宮崎本店では、日本酒、甲類/乙類焼酎、ウイスキー、みりんなどの製造も手がけているのだとか。Webサイトを見ると麦焼酎と米焼酎に加えて「ごぼう焼酎」なども作られているようで、なかなか面白いなぁと思いました。
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米島酒造 古酒 美ら蛍(ちゅらほたる)

2006年07月17日 | 泡盛
「泡盛なかゆくい」というブログなのに泡盛関係のエントリーが減ってきてますねぇ、と知人にかなり痛いところを突かれてしまったので、久しぶりに泡盛のネタで書こうと思います。決して泡盛への興味を失ってしまったとか、最近は泡盛を飲んでないとかそういうことではありません。理由は「ただ、何となく」だと思います。

沖縄に住んでいれば、泡盛マイスター協会が主催する酒造所見学にもブラッシュアップセミナーにも、泡盛マイスターが企画するイベントにも参加できるのになーと思いつつ、私はこじんまりと地道な啓蒙活動を続けています。焼酎が好きな人から「泡盛の味はよくわからない」と言われたりして、好みをヒアリングしながら近い銘柄を教えてあげたりするのですが、なんだかんだと買おうと思ってすぐに買える銘柄じゃないと意味がないので、わりと近所のリカーショップの品揃えは把握するようにしています。本土に流通している泡盛って案外偏っていて、それでも数種類から選べるので数年前から見れば買い求めやすくなったのですが、やはりまだまだ選択肢が限られていますね。

前置きが長くなりました。とうとう昨年に久米島に行った際に買ってきた米島酒造の「美ら蛍」の封を切りました。初めて久米島に行ったときにはあった米島酒造の「久美の月」は数年前に終売となり、「美ら蛍」として新たに生まれ変わりました。終売の情報が入ったときに、親友Mクンの奥さんのお名前が「久美」さんなので「あるうちに買っておけよ」と伝えていたのですが、とうとう手に入らなかったとのこと。もともと「久美の月」も「美ら蛍」も大量生産ではないので、久米島以外ではなかなか見かけないというのが実情です。「美ら蛍」は、月と龍と久米島ボタルあしらった優雅なラベルデザインで、まず一目で気に入りました。

「美ら蛍」は、まずふっくらとチョコレートのような甘い香りとかすかな柑橘類の甘酸っぱい香りが感じられます。年数表示のない古酒でしたが、実にまろやかなコクが感じられます。常温でも良いのですが、やや冷やした水を少しだけ足して(8:2ぐらいで)口に含んで味わうと香ばしい香りと甘みがより伝わってきます。デイリーで飲むのがちょっと惜しくなるような泡盛です。あと数年ほど寝かしておいたら、もっともっと旨い酒になっているのだろうなぁと想像が膨らみます。久米島に行ければ簡単に手に入ると思いますけれど、本土のどこかの沖縄料理屋さんでもし「美ら蛍」を見つけたら一度はぜひ味わってみてください。

関東地方はまもなく梅雨明けらしいです。沖縄は一足先に夏真っ盛り(台風も大変そうです)。きっと久米島のイーフビーチやはての浜は、今日もありえないほど美しいブルーに輝いているのでしょうね。夜の散歩で、水平線ぎりぎりまで膨大な数の星が瞬いているのを見て心から感動したのも久米島でした。
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沖縄食堂(生活情報センター)

2006年07月08日 | 沖縄
関東近郊に住む泡盛マイスター4名で昨年の11月27日に受けた取材が、とうとう書籍になりました。生活情報センターさんから出版された「沖縄食堂」です。

「沖縄食堂」は、題名のとおり東京近郊の沖縄料理屋さんの紹介が中心で、私たちが受けた取材の様子はカバーページを入れて3ページです。対談全体から見れば、ほんのわずかな部分を切り取った感じに編集されています。泡盛とはどういうお酒か、から始まって、普段どういう楽しみ方をしているか、古酒と一般酒の違い、古酒の熟成について、などいろいろ話を盛り上げるためのネタ振りを編集の人が行って、私たちマイスターがそれにあれこれ答えていくという取材でした。それが編集されて本になったら、わき道に逸れた話題がずらりと並び泡盛マイスターっぽくない(?)コメントだらけになっていました。確かにいわゆるお酒の本ではあまり書かれていない切り口のお話でこれはこれで面白かったのかもしれませんが、いわゆる泡盛大好きな仲間たちの酒盛りの様子でちょっと恥ずかしい。何が恥ずかしいかって、いつもの飲んでる自分そのままだったので(笑)。写っている写真がかろうじて真面目な顔で掲載されていて、それが救いになっているかも。

それにしても東京近郊だけで、こんなに沖縄料理屋さんがあるとは思ってもいませんでした。掲載されている中で行ったことある店が半分ぐらいでしょうか。会社の近所にも沖縄料理屋さんがあるので転職直後に顔出したりしていましたが、古酒しかなかったり、ちゃんぷるーの盛りがこじんまりしていたりで値段ばかり高いので最近はすっかりご無沙汰しています(この店も掲載されています)。泡盛の種類が迷うほどずらりとメニューに並んでいるのも、ここ数年の焼酎ブームのおかで珍しくなくなりました。むしろ、どういう料理が出せるか、これがお店を選ぶポイントになったりするような気がします。

特に東京は飲食に関しては選択肢が多い。昨日はベトナム料理、今日は中華、明日はイタリア料理、明後日はブラジル料理、そんなことを気軽にできる状況下で、沖縄料理を選択してもらうことは結構大変なことだと思うのです。実際、来日したアメリカ人に「東京は世界中の料理が楽しめる都市だ」と言われたことがあります。しかし「沖縄食堂」を読む限りでは、東京における沖縄料理もここ数年でだいぶ定着したのではないでしょうか。

那覇市安里の有名店「うりずん」が東京進出のニュースを見ました。来年4月にオープンする新・丸の内ビルディングの5階に入るのだそうです。安里と同じクオリティで、値段も多少は高くなるのでしょうが大きく変わらないのであれば期待が持てます。泡盛百年古酒元年の認知もアップ、会員数の大幅増が狙えることでしょう。しかしカウンター越しに代表の土屋さんの笑顔が見えたり、沖縄サンドリンクの西村社長が隣の席で飲んでいたり、他、そばのテーブルで著名な方が泡盛片手に楽しそうにしていたり、そういうシーンはさすがに東京店では味わえないでしょうから、やはり安里のうりずんがいいなぁと思ってしまうのでしょうね。

初めて沖縄を訪れたとき「泡盛はきつくて飲めん」と思っていた私を変えたのは「うりずん」で飲んだ咲元8年古酒でした。
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夏のおつまみといえば、枝豆

2006年07月04日 | その他
2006年6月発売の「Dancyu」は、カレー&ビール特集。フライドポテトの美味しい作り方など、ビールに合うつまみのレシピが掲載されていますが、「そんな作り方、知ってるよ~」と思いながら読むと意外や意外、ひと手間惜しまずに調理するとグンと美味しくなる秘訣が書かれていたりします。そして、同じく紹介されていた枝豆のレシピ。豆が大好きな私は「Dancyu」に書かれているとおりに調理してみました。

枝豆と言えば、ゆでて塩振って、ただそれだけだと思うじゃないですか。ゆで加減にいろいろあったり、塩にもこだわったりと割とそんなレシピかと思いきや、「Dancyu」掲載のレシピは、沖縄風に言えば「枝豆イリチー」という感じでしょうか。これがまた、ほっくり豆の甘みそのままに、実に美味な仕上がりとなりました。

以下、Dancyuに掲載されていた枝豆のレシピの引用。
・枝豆を塩でしっかり揉んで、産毛を取り除きます
・よく洗い、適宜塩を振ってなじませます
・軽く熱したフライパンに投入し、から炒りをしたあと、弱めの中火で蓋して3分。
・蓋を取って、強火で焼き色を着けつつ、塩で味を調節

フライパンに中華鍋を使ったり、塩に「ぬちマース」を使ったりしながら、これが実に美味しい枝豆になりました。
枝豆と言えばビールでしょうが、最近はウイスキーハイボールや泡盛ハイボールが私にとっての定番です。

ちなみに「ぬちマース」について。ベンチャー高安という沖縄の製塩メーカーの商品なので、沖縄の方にとっては珍しくない商品だと思いますが、ご存じない方のためにちょっとだけご紹介いたします。

普通は海水を取水できる海岸地域に製塩工場を作りますが、なんとベンチャー高安の製塩所はさとうきびの丘のど真ん中にあるビニールハウスです。製法もちょっと変わっていて、微細霧化した海水に温風を吹き付け、水分だけを気化させるという「瞬間空中結晶製法」という作り方だそうです。軽い水分が気化して、重いミネラル成分は塩として落下してできるというもの。以前にテレビでその様子を見たことがありますが、ミネラル世界一の塩としてギネスにも認定されているそうです。通常の製塩では、長時間沸騰させるため、ミネラルの多くは結晶化する前に気化してしまいます。「ぬちマース」の場合は、水分だけが気化して、ミネラルが結晶化することで、多くのミネラルが塩にそのまま残るというわけです。お値段はちょっと高めですが、本土の人は「わしたショップ」を覗いていただければ、たぶん手に入るでしょう。

シンプルでありながら、ちょっぴり贅沢なおつまみでした。ぜひお試しあれ。
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