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固定IPアドレスとISPの発信者情報開示

2010-10-08 21:20:18 | つぶやき
実務に携わっている人ならみんな知っていますが、ISPが「動的IPアドレス」と「時間」からユーザを特定したがらないのは。
それらが「通信の構成要素」でありそれを知得することは「通信の秘密」の侵害になるからです。

実際に捜査機関等からの法律上の「照会」には通信の秘密を侵害してまで応じることはできないという理由で断っています。

じゃ、捜査機関はどうするかというと、受忍義務があるとされる裁判官が発する「差押令状」をもって、強制的にログを差押さえるという手順を踏んでユーザの特定を行います。

総務省の電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(の解説)の15条の解説(3)がなかな難解ですが「他方、個々の通信とは無関係の加入者の住所・氏名等は、通信の秘密の保護の対象外であるから」というところ、ちょっと覚えておいてください。


「動的IPアドレス」と「時間」は「個々の通信に関係する」から通信の秘密にあたります。
じゃ、固定IPは…
実は「通信の秘密」にあたりません。つまり「基本的に法律上の照会権限を有する者からの照会に応じることは可能」なのです。


「法律上の照会権限」ってなに?というのは法律に詳しい人ならよくわかると思いますが、刑事訴訟法や弁護士法に基づく照会などがあたります。

問題にしたいのはここです。
弁護士法の照会は弁護士が所属弁護士会に申請して弁護士会から公私の団体に対して「この情報をくれ」という手続きなのですが、これは弁護士が受任した案件の調査に広く使われています。また基本的他に守るべき法益(通信の秘密とか)ない限り拒めないとされています。
というところで、アダルトサイト主催者が弁護士を使って固定IPアドレスからユーザをISPに弁護士会を通して照会するというのが、行われてしまう可能性があります。というか多分やられます。

これって非常に危険じゃありませんか?

今までISP各社は長年の知見を積み重ねて(時には横のつながりを通して)対処してきてはいますが、NGNv6サービスで固定IPアドレスとユーザ情報をひも付けられるNTT東西・GW3社は実はこういった知見にかなり乏しいと見られます。なんたってISPとしての活動は0なんですから。
長年の議論を踏まえた対応ができるのか、という危惧があります。

また既存のISPだって実は拒める理由は非常に限られています。今まで固定IPについては「通信の秘密ではない」と判断してきたのですから。
普通の商取引で債権差押訴訟とかなんとか理由としたら、ISPだって普通に照会に応じてしまうでしょう。
ただ「半固定」という処に一縷の望みがありますが。

フレッツネクスト(NGN)でIPv6の固定的払い出しが始まるのは早ければあと6ヶ月。法曹界・通信行政・警察行政・通信事業者での対話と整理が求められます。





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2 コメント

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VNEもちゃんと考えてるよ (ある関係者)
2010-10-09 18:47:00
本件、ご懸念の事理解しますが、vne3社にはisp経験者も多くおりabuse業務を担当した人間もアサインされております。
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考えるだけでなく解決してくれるといいんですが (こん)
2010-10-09 20:06:08
少なくともそのうちの一社は法務部門を持っていない(!)と言っていましたので。
# 契約審査どうしてんだろう
## 誇張かもしれませんが。

VNEにabuse関係者いても「固定IPとプライバシーというか架空請求問題」って多分解決しません。
abuse業務して社会・業界情勢を知っていて、総務省や警察関係につながりがある方がきちんと議論をリードして行かなければならないと考えています。でもそういう人って案外少ないんですよね。
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