東日本大震災から3年半が経ちました。
私は繰り返し被災地に足を運び、救援・支援とともに教訓を学んできました。代表質問で、その教訓を区の震災対策に生かし、防災計画に反映するために提案しました。
その一部要旨をご紹介します。
被害を最小限に抑えるための震災予防を
家具転倒防止補助の充実を
●ぬかが=仙台市では過去の教訓を生かし、「腰以上の家具は転倒防止」と対策を強化し津波以外の死者はゼロに近いものだった。足立区でも、いっそうの啓発の強化と妊産婦など家具転倒防止補助の拡充、家具のガラス飛散防止支援を行うべき。
○答弁=助成対象者の拡充を行う考えはない。家具のガラス飛散防止支援は検討する。
防災学習センターを
練馬区立防災学習センターを調査。お金をかけずに工夫で「わが町の防災」がわかり、住民の防災活動の拠点になっていました。
●ぬかが=練馬区などは区立の防災学習センターがあり、誰もが必要な防災情報を目で見て丸ごと体験できるようになっている。区は来年度に庁舎内にある防災センターを改修する予定だが、足立区でも「住民の防災力」を日常的に高められる、防災学習センター機能の導入を行うべき。
○答弁=避難訓練に職員が出向いているので、その考えはない。
冷たい答弁
すでに5区はセンターがあります。庁舎はお金をかけても、区民が体験できる場すら拒否して、よく「震災の死者ゼロをめざす」などといえたものです。
地域版防災マップを
●ぬかが=また、防災マップを改善し、「自分の街」がわかる地域版マップを各地域ごとにつくることを支援すべきではないか。
○答弁=地域住民による地域版防災マップの作成を支援していく。
興野一丁目防災広場存続を
●ぬかが=都の木密不燃化10年プロジェクトによる、特定整備路線や都市計画道路整備により防災広場、防災公園がつぶれてしまうケースが相次いでいます。興野一丁目、関原三丁目など、木造密集地域における貴重な緑地空間を確保する立場を明確にすべき。
○答弁=木造密集地域の公園等は、憩いの場であると共に一時集合場所になるなど地域の貴重な空間。密集事業等を活用した緑地空間の確保に努める
いざという時の生きた対策を
「防災無線」聞こえない対策
●ぬかが=広島市の土砂災害では、「防災無線が聞こえなかった」ことが被害を大きくしたといわれている。足立区でも防災無線が聞こえない地域が多数あり、日本共産党区議団はこの解決を求めてきた。一刻も早く具体化すべきだがどうか。また、現在防災無線の内容を聞ける専用ダイヤルは、殆ど知られていない。聞こえるエリアでも、聞き逃した場合などに対応するため、一層の周知をはかるべき。
○答弁=H28年に予定している無線のデジタル化による機器更新に合わせて、音響状況の改善や個別受信機の配備に加えて、携帯電話等の活用、多角的な伝達手段を検討する。テレフォン案内は周知をはかる。
災害時受援計画つくります
●ぬかが=区は多数の自治体と協定を結んでいるが、いざというときのに駆けつけ、どういう事務をしたらいいのかという整理が困難。
神戸市では東日本大震災の教訓から、例えば応急危険度の調査にどのぐらい人数が必要か、区の職員では対応できず応援者に委ねる事務の棲み分けや地図もそろえておく、などの「災害時受援計画」を策定している。足立区でも早急に具体化し計画に盛り込むべき。
○答弁=来年開催予定の第2回防災会議で、受援計画も含めた地域防災計画の修正案を示し進める。
174か所の防災井戸、有効活用します
●ぬかが=練馬区では民間の井戸所有者が区と協定を結び、いざという時に区民の誰もが利用できるように、看板も掲示し、どこに井戸があるか、わかるようになっている。足立区にも174か所の防災協力井戸があるが、区民から見ればどこにあるか一切わからない状態で、いざという時に有効に機能しない。可視化の改善が必要。
○答弁=所有者の承諾が得られた井戸から、順次、現地の表示と共に区ホームページや防災ナビへの掲載等を検討する。
西新井本町など広域避難場所の改善を
●ぬかが=広域避難場所は「火災などから逃れる」目的で、東京都が指定している。しかし例えば、西新井本町は近くの火災の危険性が高い木密地域を通って1・5㎞歩く平成江北公園が避難場所です。このように避難場所が現実的でない地域もある。いっそうの改善を。
○答弁=避難は、火災の発生場所や風向き等を判断して、目指す避難先や経路を変える等、臨機応変の行動が必要。その選択肢を増やすために、避難場所の追加指定も都に働きかける。
犠牲の大きい災害弱者対策充実を
聴覚・視力障がい者対策充実を
●ぬかが=東日本大震災で障がい者が犠牲になった割合は、通常の2倍、ひどいところでは6倍。
東日本大震災の教訓
●聴覚障がい者協会の調査
「津波が来ることもわからなかった」「避難の方法も判らなかった」「唯一の情報手段TVも見られない」「避難所も混乱しており情報が得られない」「一人取り残された」などの実態
●視覚障がい者福祉協会からは「盲導犬の拒否」「トイレへ自由にいかれない、食事の配給にならべない」「情報保証が全くない」などの実態
(これを示して)震災時の聴覚・視力障がい者への情報提供施設の整備や仕組みづくりを抜本的に強化すべき
○答弁=あらゆる広報手段を使用するとともに、障害者団体等の協力による個々の支援を行う。今後も災害時要援護者対策の強化をすすめる。
軽度の認知症や精神疾患を患っている高齢者への対応
●ぬかが=
被災地の避難所の実態
●末期がんの患者が、音楽室に体育用マットに毛布だけのところで汚物まみれのまま寝かされる
●「高齢者が夜中に『俺の懐から財布を取った!』と突然大声を出す」「火を気にして石油ストーブの火を消して歩き、周りの人を火傷させた」
(この実態をしめし)第一次避難所である学校でも、軽度の要介護者などが生活できるよう段ボール等による簡易ベッドなども備蓄するとともに、軽度の認知症や精神疾患を患っている高齢者への対応も検討すべき。
○答弁=小・中学校等にはベッド等がある保健室や武道場等の畳敷きの部屋もあり、配所の必要な避難者には、これらの部屋を充てるように避難所マニュアルに定める。
医療と薬の対応
●ぬかが=慢性疾患用医薬品、精神疾患用医薬品、抗てんかん薬など、非常時における「薬の入手方法」や「病院」の情報提供を、平時から当事者に行い、不安や心配をへらすべき。透析患者・産婦への対応も明確にすべき。
○答弁=医療救護所の設置予定場所や、薬の入手に関する問い合わせを平時から周知する方法等について、今後、災害時医療救護活動協議会に課題提起し、その検討結果を反映する。透析患者や妊婦を含めて専門的な医療支援が必要な方には、区外も含め、対応可能な病院等への搬送を含めた体制を案内・周知する。
区の職員の役割
●ぬかが=岩手県大槌町では、職員削減を進めてきたことが震災時の人手不足に拍車をかけた。多くの公務員は、その使命感から家族の安否もわからないまま不眠不休で救援活動にあたった。全体の奉仕者、公務員の定数削減をこのまますすめることは、通常業務に支障をきたすとともに、いざという時も大変なことになりかねない。見直すべき。
○答弁=その考えはない。
続いて明日は、放射能対策の質疑をご紹介します