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日常の中に俺があり、俺の中に日常がある。それは矛盾の中にひそむ真実である。真実を記録する。それは事実になる。

青い夏

2019年07月23日 22時23分45秒 | Weblog
今日は長女カズのテニスの試合を嫁さんと観に行った。

カズが中学校に入学した時いきなりテニス部に入ると言いだした。
スポーツに興味を持つ要素が無かったのでビックリした。
彼女が通う中学校は必ず何らかの部活に入らなければならないので何と無く入ったのだろうと当時は思った。
今日まで俺は娘のテニスの試合を観に行った事が無かった。
初めて観たのだが、結構しっかりやっていた。
芝生のコートを駆け回り白い球を力強く打つ姿を眺めておったのだが何だかよその若い女がテニスをしているように見えて少し寂しくなった。
それは幼い頃「お父ちゃん、お父ちゃん」とお父ちゃんっ子だった娘の姿ではなく一人の大人にみえたからだ。
家ではほとんど会話をする事も無く、バック買ってだキスマイのCD買ってだと生意気な小娘だと思っていたのだが、
毎朝7時前に家を出て行き朝練をずっとやって来たその成果が垣間見れた。
子供ってのは親が育てるもんでは無く、自ら育っていくのだなあと感じた。
都大会3回戦を勝ち上がり4回戦。これを勝てばベスト16ってとこまで来て、その試合を観たかったのだがナッツとジュリーの迎えに行かねばならず試合を観ずに俺は家に帰った。
帰る電車で俺は自身の中学生の時の野球部最後の試合を思い出していた。
エースの大橋が試合前に女絡みのトラブルで先輩にボコボコにされあばらを折ったままマウンドに立った。
俺は6番センターで試合に出た。
区大会初戦。三校での総当たり戦だった。
練習試合では周りの中学には負けないチームだったのだが唯一苦手とするチームがあった。
玄洋中学校だ。
左のエースは球種こそストレートとカーブしか無かったが我々西陵中は左ピッチャーがおらず(俺はサウスポーだったがコントロールが悪すぎてピッチャーにはなれなかった)その投手を苦手としていた。
試合は俺のタイムリーも飛び出し同点のまま延長戦でも決着がつかずタイブレークとなった。
先攻だった俺らは1点を入れた。裏になりノーアウト2塁からゲームが始まった。俺は大橋は打たれないと思い極端な前進守備をとった。
バッターは左のエースだった。
大橋が投げたストレートを打った。ボールは俺のとこに飛んで来た。
低い弾道でセンターを守る俺のとこへボールはやって来た。俺はなぜか一瞬前に一歩踏み出してしまった。
ボールは伸びた。俺は後ろにダッシュで下がりながらボールを追った。
グラブを精一杯高く伸ばした。グラブのポケットの上をボールがかすり俺の後ろへコロコロと転がって行った。
やばいと思った。全速力で走ってボールを握りセカンドの中継に投げた。
ボールは大きくそれてワンバウンド、ツーバウンドして中継のはるか左に転がって行った。
その先で打ったバッターがホームへスライディングして相手チームの全員が輪になって喜んでいる姿が見えた。
すごく遠くに見えた。
そこで俺の中学の夏は終わった。
父ちゃんが「最後の試合ぐらい観に行こうかね」と母ちゃんと一緒に観に来ていた。
俺はおいおい泣いていた・・・・・・・・。

そんな事を思い出しながら電車で家に帰り迎えの自転車で嫁さんからラインで
「負けちゃった〜」
と連絡が来た。
そして娘の夏は終わった。
彼女は今どんな気持ちなのだろうかなど考えていた時、先に書いた俺自身の部活の最後にフラっと観に来た父ちゃんのことを思った。
今の俺と同じような事を思ったのだろうか。
この終わってしまった映画の続きを観たい感覚に似た何とも切ない気持ちになっただろうか。

娘の夏が終わったと同時に梅雨が明けた。
7月23日。青い夏の話。



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