goo blog サービス終了のお知らせ 

sugiyukumamani

ただ かぜがふいているだけ・・・。  
  

風聞草 ( 54 )

2009-06-02 | 風まかせ
  <オイルサンド>

 石油の枯渇が叫ばれるなか、北緯57度。カナダ・アルパータ州
北部の町、フォートマクマレーに世界が注目する。「オイルサンド
という粘りの強い油と砂とが混じった地層が一帯に広がっている
ためだ。製油所の技術者は「ここで起きているのは現代のゴール
ドラッシュ」という。実際オイルサンドは「黒い金」とよばれる。

 2002年末、カナダのオイルサンドは原油の埋蔵量に算入される
ようになった。原油の高値傾向で採掘コストの高いオイルサンド
も採算が取れはじめたからだ。カナダの原油埋蔵量は35倍の1780
億バレルとなり、世界21位からサウジャアラビアに次ぐ2位に踊
りでた。

 しかし、オイルサンドは湯で砂と油を分離するため、生産段階
で、従来の2から3倍のエネルギーがかかり、より二酸化炭素を多
く出す。排水池の管理の不十分な所では油や水銀、揮発性の有毒
物を含み「川や湖を汚染し、住民に健康被害が出ている」という
告発もある。「ダーティーな(汚い)石油」だ。
 
 カナダは京都議定書で、日本と同じ「温室効果ガスの90年比
6%削減」を義務ずけられているが、オイルサンドの影響も大き
く政府は「削減目標は守れない」と断言宣言した。

風聞草 ( 53 )

2009-06-01 | 風まかせ
   <石油がなくなる>

 石油がなくなるーという議論は第1次オイルショック以来ずっと
ある。人類は1兆バレル石油を使ったと推計されている。石油メジ
ャー・PBの統計では残る埋蔵推定量は1兆2379億バレル(2007年)
富士山をひっくりかえし杯に見立てると、その8分1程度の量だ。

 石油の枯渇は当然のことだが、「なくなる」というのはあまり
説得力がない。一滴でも残っていれば「なくなった」といえない
からである。私たちの日常に影響する石油問題とは、じつは石油
のピークアウトである。たえず増大してゆく石油需要に、供給が
追いつかなくなる日のことである。その日はいつか・・。多くの
専門家が10年以内だという。

 石油の生産量がある時期をピークに減少に転じる「石油ピーク」
はいつくるか、それを境に価格は跳ね上がる、「すでにきた」、
「10年代半ば」、「30年代前後」から「オイルサンド」があるので「当
面こない」など諸説ある。
 
 石油の採掘が本格的に始まったのは19世紀後半。同じ時期、ガソ
リン車も登場した。第2次世界大戦後、生産量は急激に伸び、1945年
に26億バレルだった世界の生産量は2007年には289億バレルとなって
いる。

風聞草 ( 52 )

2009-05-31 | 風まかせ
  < たかが割り箸・・>

 大阪市立大(大阪市住吉区)の学生食堂。トレーをもった学生たちが
会計待ちの列をつくるレジカウンターに3種類の箸が並んでいた。箸袋に
入っていない裸の割り箸、箸袋に広告の入った割り箸、プラスチックの
箸。裸の割り箸は、間伐材で作った割り箸だ。

 たかが割り箸、されど割り箸である。間伐材で作った割り箸の使用量
は「目標達成に必要な間伐量に対してごく一部かも知れないが、間伐の
必要性を多くの人に知ってもらえる効果」も貴重ではないだろうか。

 多くの生物が絶滅し、干ばつや洪水が広がり、食料不足に陥るー科学
者でつくる国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」が地球の
平均気温2度程度上昇を温暖化に伴う被害が拡大する分岐点として報告を
まとめてから2年。
 イギリスの科学顧問主任が、地球温暖化は「テロより恐ろしい脅威
である」と宣言している。

 しかし、政治が議論を戦わせ、科学者が熱心に訴えても、私たちはそれ
ほど以前と変わらない生活をつづけている。そして車に乗ったり、飛行機
に乗ったり、電気をつけたり、いくつもの日常的な仕事をするたびに、ま
た、わずかだが二酸化炭素は確実に空中に吐き出されている。

風聞草 ( 51 )

2009-05-30 | 風まかせ
 <カーボンオフセット>

 間伐材使用の割り箸の話の前に少し時間をいただきます。
現在、日本では一人当たり年間10トン(環境白書・2008年版より)
の二酸化炭素(CO2)を排出している。
 カーボンオフセットは出してしまったCO2を別の削減活動にお金
をだすことで「オフ(相殺)」する考え方だ。まだ、耳なれない
言葉だが、ヨーロッパなどでは広まっているそうだ。昨年の暮れに
オフした年賀状を買った方もいらっしゃることだろうが。つまり、
発生したCO2をクリーンエネルギー事業などを支援したり、植林
森林保護などによって打ち消し削減しようとするもの。

 割り箸の話である。国産割り箸は輸入品よりどうしても高く
なる。国産割り箸を普及させるために箸袋に広告を入れて差額
をまかなおうとする取り組みもある。コンビに大手の「R」では
ガムの広告の入った間伐材割り箸を使い始めた。ファミレスの
なかにも広告の入った間伐材割り箸を採用しているところもある。

風聞草 ( 50 )

2009-05-30 | 風まかせ
< 間伐材割り箸で森を守る>

 最初にお断りしておきたいのだが、間伐材を使用した割り箸は
他にもあるのだろう、私が知らないだけだ。今回は、山林保護
や山間地の活性化に取り組むNPO法人「樹恩ネットワーク」が普及
に取り組む間伐材で作った割り箸について書く。

 山林は間伐をしなければ根元に日光が入らず木がよく育たない。
だが、輸入材に押されての国産材の需要減や人手不足が響き、間伐
が進まず荒れてしまう森が増えている。林業不振で荒れる山を守る
一助で1998年に始めた。

 この割り箸は、徳島県三好市の通所授産施設「セルプ箸蔵(はし
くら)」で製造している。木のにおいが香る作業部屋で10代から
60代までの約40人ほどが職員と1日5万膳を作る。間伐材からとれる
端材を近隣の製材所から買い取って割り箸に加工し、樹恩の仲介で
全国64の大学生協などに年間1千万膳を販売している。

 輸入割り箸の一般的な価格は、箸袋なしのもので1円前後だが、
セルプ箸蔵のものは2円ちょっとと値ははるものの、環境問題への
関心の高まりから注文は増えているという。

 セルプ箸蔵のほか2003年には埼玉県熊谷市、2008年に群馬県桐生
市でも製造が始まった。

風聞草 ( 49 )

2009-05-29 | 風まかせ
   <間伐で温室効果ガス削減も>

 森林を間伐すれば、木がよく育って二酸化炭素(CO2)をよく
吸収し地球温暖化防止にもつながる、荒れた森林の整備だけで
なく温暖化防止の観点からも重要性が高まっている。

 京都議定書の第1約束期2012年までに、1990年比で温室効果
ガスを6%削減しければならないのだが、実は、減らす6%の約
3分2にあたる3,8%は、国内の森林が吸収するCO2の量を増やす
ことでまかうことになっている。

 ただ単にも森林があればいいというわけではない、管理が行
き届かず荒れている山林などを間伐などで整備し、木がしっかり
育つ環境を新たに整えた分だけが、基準年に比べて増えた吸収量
として認めてもらえる。つまり、日本が他国と交わした約束を守
れるかどうかは、間伐が進むかどうかにかかっている(つづく)。

風聞草 ( 48 )

2009-05-29 | 風まかせ
   <低炭素社会・・・>

 京都議定書の第1約束期間が昨年から始まり、日本は2012年
までの5年間で、CO2などの温室効果ガスの排出量を基準となる
1990年比で6%減らさなければならない。

 政府や企業はCO2の排出量をどれだけ下げる、それにはいくら
かかるといった議論をつづけている。大幅な削減の仕組みは任せ
ておくしかないが、一般家庭にも節電などを呼びかけている。ま
ずは1人の人間として自分の出したCO2に責任を持ちたい。

 「小さいことからコツコツと・・・」、どこかで聞いたような気も
するが。無理をせずにエコをしながら「低炭素な未来を」。割り箸か
らはじめてみよう。
  
  <森守る「間伐材割り箸」>

 林野庁などによると、日本で使われる割り箸は、年200億膳を
越えるという。98%が中国からの輸入だが、中国製でも材料は
中国材とは限らない。森林破壊につながるとして、割り箸が、
やり玉に挙げられれ、マイ箸を持つ人も多い。一方で、国内の
森を間伐して出た端材でつくる「間伐材割り箸」が注目されてい
る。割り箸のほとんどが輸入だから、国内材を使えば海外の森を
傷めることもない(つづく)。

風聞草 ( 47 )

2009-05-28 | 風まかせ
< 各国の中期目標 >

 連邦議会下院本会議で6~7月に審議される「20年に05年比20%
削減、50年に05年比83%削減」の温暖化対策法案は、オバマ大統領
が示した中期目標「20年に05年比14%削減」をやや上回る内容だが
最終的には数々の妥協を積み重ねる形になると見られる。オバマ大
統領が唱えている「20年に05年比14%削減」は基準年を変えた90年
比では、当時の米国の排出量とほぼ同じレベルにすぎない。今回の
20%削減も「その分を割り引いて判断する必要がある」。

 欧州連合(EU)は、「20年に90年比で20%削減」としているが
途上国も含めてすべての国が包括的な削減に合意すれば、自らの
目標を「30%減」に引き上げるとした事実上の幅をもたせた目標
となっている。

 カナダは06年比20%、オーストリアは00年比5~15%の削減目標
である。

 日本政府は、6月上旬、官房長官ら関係閣僚の会議を開き、中期
目標設定の詰めの作業に入る。麻生首相は6月前半に中期目標を
決めると表明している。

 

風聞草 ( 46 )

2009-05-27 | 風まかせ
   <米国の温暖化対策>

 温室効果ガスの世界最大級の排出国であるアメリカでは、
国際的にも注目されている「米グリーンエネルギー・安全保障法案
とよばれる温暖化対策法案が提出され、このほど連法議会下院の
委員会を通過、6~7月から下院本会議で審議される。

 オバマ大統領が唱えている政策は、戦前の大恐慌時のニューディ
ール政策にちなみ「グリーン・ニューディール(緑の内需)」と呼ばれる。
今後10年間で15兆円を自然エネルギー、省エネ、エコカーなどに投入
し500万人の雇用(グリーン・ジョブ)を生み出す、温暖化対策をテコ
に経済を再生させようという政策だ。

 環境エネルギー革命で新たに成長する産業分野を作り出し、雇用
を増やして温暖化対策をすることが狙いである。

 だが、成立に向けては、大恐慌以来という経済停滞のなかでハー
ドルは高く、委員会でいくつもの妥協が行われた(つづく)。

風聞草 ( 45 )

2009-05-26 | 風まかせ
   < 温室効果ガス削減中期目標 >

 専門家グループが提示した6つの選択肢は以下の通りである。
(いづれも90年比でどれだけ減らすかーということ)。①、4%増
ー現状の削減努力を継続ー、②、1%増~5%減、③、7%減、
④、8~17%減、⑤、15%減、⑥、25%減。

 政府はこの6つの選択肢を4月に公表し、東京・名古屋・大阪
などで開いた「温室ガス削減中期目標国民との意見交換会」で
計1000人の意見を聞いた。さらに「積極的に意見を言う人だけ
では国民の意識はわからない(政府関係者)」と5月に4000人を
対象に世論調査を実施した。
その結果が、「地球温暖化問題に関する懇談会」で示された。
 
 中期目標をきめることに「関心を持った」との回答は8割りを超えた。
その選択肢に対しては「7%減」が45%と一番多かった。「4%増」は
15%、「25%減」は5%であった。
 「6つの選択肢のなかから、数値に幅のある2つをのぞいた4つについ
ての質問では、「4%増」(15,3%)、「7%減」(45,4%)、「15%減」
(13,3%)、「25%減」(4,9%)、「わからない」(20,9%)であった。
 調査は、内閣官房による面接調査。20歳以上の4000人を無作為に
抽出し、1222人が回答したーと報じられている。