ひいちゃんと約束したけん
明日はマリア様の前で待ち合わせ
浦上天主堂のすぐ傍で
みんなと鬼ごっこばするとよ
空襲警報は怖かけど
みんなと一緒やけん だいじょうぶ
ひいちゃん 早く来るとかな・・
それとも 私が早かかな・・?
明日は八月九日
天気予報は晴れ
兄ちゃん達は虫取りばするって
今頃 虫かごば作りよる
母さん 夜なべで縫物仕事
父さん 疲れて夢の中
姉さん 好きな人の写真見て
私はなかなか寝付けきらん
だって
明日が楽しみで楽しみで
仕方なかとやもん
ひいちゃん・・
いっぱい遊ぼうね・・
いっぱい話そうね・・
いっぱい いっぱい・・
もう寝むか・・
おやすみなさい
明日もいい日でありますように・・・
明日、八月九日は、長崎に原爆が投下された日。
沢山の尊い命が一瞬にして消えてなくなりました。
その中には、幼い子供達も・・
11時2分に鳴らされる平和の鐘と共に、手を合わせ祈りを捧げたいと思います。
( ※ 浦上天主堂→うらかみてんしゅどう )
風香・・
手を振るあなたに
泣き顔は見せまいと
唇かみしめた
遠い夏の日
あの日以来
あなたの面影探し
夏が来るのを
ひたすら待った
子どもの笑顔で暮らしをつなぐ
残してくれた 唯一の
二人の絆の証
どこで何をしてるの?
元気でいるのか
それさえ分からず
時は過ぎてゆく・・
祈り虚しく
届けられた封書に
あなたの写真と
哀悼の文(ふみ)
夾竹桃の花
実れば いつも傍に
あなたがいる
そんな気がして
人目を忍んで どれほど泣いた
泣けば還ってくるわけもなく
辛いのは あなたも同じ
見守っていてください
弱い私を
この子らの未来を
空の上から
空の上から・・
涙を笑顔に変えて、戦地へと送り出す女性の務め。
でも、その胸の内は、計り知れない恐怖と不安に満ちていたものと思われます。
祈り虚しく、蛍となって還る無数の魂・・
その悲しみを受け入れながら、懸命に生き抜いて来たであろう女性の強さ、ひた向きさが、
今の私には、とても眩しく思えます。
風香・・
移ろいゆく季節の中で
忘れ去られてゆく歴史
何一つ 罪なきものの
命の証を語り続けて・・
八月の青い空
あの日も同じ 蝉の声
変わりない
明日があると信じてた
つぶらな瞳 無邪気な笑顔
一瞬の熱線と爆風に
すべて壊され 引き裂かれ
焼きつくされた黒い夏
試練だなんて言わないで
運命だと片付けないで
何が悪い 何がおかしい
一目瞭然わかること
争いなんて 争いなんて・・
学校もなくなって
友達もいない
父さん 母さん 真っ黒焦げで
それでも 生きようと必死で・・
倒れた人の呼ぶ声に
そのまま水を与えたら
ありがとう・・って
次々に息絶える
地獄とは こんなものかと
その時はじめて知った
生き残った家族も
黒い雨に濡れながら
日を追うごとに
ひとり ふたり消えてゆく
兄さん・・
姉さん・・
辛かったね
苦しかったね・・
最後には誰ひとりいなくなって
私 ひとりぼっち
それからがむしゃらに生きて
必然的に
語りべという道を歩む
体にも心にも
深い傷を負いながらも
残されたものの使命
あの日の悲しみ 深く刻んで
ひとりでも多くの心に
戦争の悲劇を伝えたい
命の重さを伝えたい
自由の素晴らしさを伝えたい
白髪になっても 今もなお
記憶が鮮明に生き続ける限り
命枯れるその日まで
語りべとしての
使命を全うしたい
あなたに
そして 世界に
輝く未来を残すためにも・・・
広島、長崎に原爆が投下されてから65年目になります。
今年亡くなった私の父も被爆者でした。
父の体験談など、周りから聞かされる話はすべて身も凍るほど。
このことは、私から娘へ・・娘から子供へ・・
決して忘れ去られることのないよう、語り繋いで行かなくてはと思います。
風香・・
ぷくぷくりんご りんごっこ♪
ころころ ころころ転がして
ころころ ころころ転がって
あいたた ごっつん ごめんなさい!
りんごに頬ずり ごめんなさい
ぷくぷくりんご りんごっこ♪
ころころ ころころ転がって
けらけら けらけら可笑しくて
思わず指をつっこんだ
りんごはびっくり 大慌て
ぷくぷくりんご りんごっこ♪
ころころ ころころ転がして
もうそろそろとママが言う
まな板とんとん 美味しそう
大きなお口で いっただっきまぁ~~~す!
ぷくぷくりんご りんごっこ♪
ころころ ころころ転がして
ころころ ころころ転がって
まあるい笑顔で笑い合う
まあるい心で笑い合う
まあるくなって笑い合う
つたい歩きが出来るようになった孫のりゅうちゃん
今は、なんでも新鮮で興味津々
リンゴを転がして、けらけら笑って元気元気
りゅうちゃんに笑顔いっぱいもらってるよ!ありがとう・・
風香・・
辛かったね・・
苦しかったね・・
まだ小さいのに
痛みを受けるには
幼すぎて 残酷過ぎて
神様がいるのなら
どうして・・
暗闇の中で目を覚まし
ママ・・!って
何度も何度も叫んだんだよね
こんなに幼い心と体で
弟のことを守ろうとしたんだよね・・
心優しきご近所の方が
あなたたちを救ってあげようと
何度も電話したのに
どうして・・
どうして!!
マリア様・・
この子らに何の罪があるのですか?
どうして 痛みを受けなくてはならないのですか?
重荷を背負わなくてはならないのですか?
せめて
せめて
胃袋に入りきれない程の
ご飯をいっぱい詰め込んで
天国へ旅立たせてあげて欲しかった
ひもじかったでしょうに
苦しかったでしょうに
悲しくて 悲しくて
涙が止まらない
マリア様・・
今のこの時間にも
小さな膝を抱えて
ひとりぼっちで
涙を流している子がたくさんいると思います
その子たちの心の叫びが
あなたに届きますように
抱きしめていてくださいますように
繰り返す心に
目を覚まさせてあげてください
同じように苦しんできたならと
想像力に 心に働きかけてください
命が どれほど重いものなのかを
自らの経験で考える力をお与えください
こんな悲劇が繰り返されないように
私達も心配ります
心砕きます
あなたとともに
ひとりひとりに愛情を注いで・・
辛かったよね・・
苦しかったよね・・
どうか
どうか
やすらかにお眠りください・・
繰り返される虐待の悲劇・・
今回の事件は防げなかったのでしょうか・・
毎日毎日、胸が張り裂けそうです。
今の法律では、また、同じ悲劇が繰り返される。
法律の改正を切に願います。
風香・・