ある夏の夜のこと
主人の実家に里帰り
いつものように仏間に三人
川の字になって就寝
当時 子供はまだ赤ちゃんで
主人は酒に酔いつぶれ
私も疲れて夢の中
早くから 深い眠りに就いていた
浅い眠りに変わった午前二時
時刻を告げる時計の振子が
やたらと大きく響きだし
自然と目を覚ました
辺りを見渡し 何故か溢れ出る脂汗
じわじわと近寄る何かを感じて
ぞわぞわと全身の肌が総毛立つ
その時
生温かい風が吹いて来たかと思うと
一瞬のうちに体が硬直し
凄い力で 誰かに押さえつけられてるような
息苦しさの中をもがいてた
すると
目の前にあるふすまが
そろりそろりと開いて
見知らぬ女の人がひとり
すーっと入ってくるなり
仏壇を指さし
低く唸るような声で
「ここを開けてください・・」
あまりの恐怖に気を失った私
でも すぐに目を覚まし
二度目の強い金縛り
同じように ふすまがそろりそろりと開き
三人の女性が すーっと入って来て
仏壇を指さし 唸るように
「ロウソクに火を灯してください・・」
「お線香をあげてください・・」
またもや恐怖に気を失うも
容赦ない力で すぐさま起こされ
今までで一番強い金縛りが私を襲う
恐怖におののいてると
目の前のふすまが
ドーッ!と開いて
たくさんの人たちが
こちらを見ずに一気に入って来て
仏壇に吸い込まれるように消えていく
ぶつぶつ発する声は次第に大きくなり
お念仏のように
私の耳に焼きついた
「手を合わせてください!」
気が付いたら朝
早起きしていた義理の兄に
このことを告げたら
「あっ! 今日はじいちゃんの命日やった!」
・・・・・
ご先祖様の声を聞いたのは
後にも先にも
この時 ただ一度きり
どうして 嫁の私に教えてくれたのか
不思議でなりません・・
今日からお盆ですね・・
今年は父の初盆なので、只今制作中の精霊船を、15日の日に流します。
今回は、実際に体験した話しです。
皆さんにも、こんな不思議な体験があるのでしょうか・・
風香・・