移ろいゆく季節の中で
忘れ去られてゆく歴史
何一つ 罪なきものの
命の証を語り続けて・・
八月の青い空
あの日も同じ 蝉の声
変わりない
明日があると信じてた
つぶらな瞳 無邪気な笑顔
一瞬の熱線と爆風に
すべて壊され 引き裂かれ
焼きつくされた黒い夏
試練だなんて言わないで
運命だと片付けないで
何が悪い 何がおかしい
一目瞭然わかること
争いなんて 争いなんて・・
学校もなくなって
友達もいない
父さん 母さん 真っ黒焦げで
それでも 生きようと必死で・・
倒れた人の呼ぶ声に
そのまま水を与えたら
ありがとう・・って
次々に息絶える
地獄とは こんなものかと
その時はじめて知った
生き残った家族も
黒い雨に濡れながら
日を追うごとに
ひとり ふたり消えてゆく
兄さん・・
姉さん・・
辛かったね
苦しかったね・・
最後には誰ひとりいなくなって
私 ひとりぼっち
それからがむしゃらに生きて
必然的に
語りべという道を歩む
体にも心にも
深い傷を負いながらも
残されたものの使命
あの日の悲しみ 深く刻んで
ひとりでも多くの心に
戦争の悲劇を伝えたい
命の重さを伝えたい
自由の素晴らしさを伝えたい
白髪になっても 今もなお
記憶が鮮明に生き続ける限り
命枯れるその日まで
語りべとしての
使命を全うしたい
あなたに
そして 世界に
輝く未来を残すためにも・・・
広島、長崎に原爆が投下されてから65年目になります。
今年亡くなった私の父も被爆者でした。
父の体験談など、周りから聞かされる話はすべて身も凍るほど。
このことは、私から娘へ・・娘から子供へ・・
決して忘れ去られることのないよう、語り繋いで行かなくてはと思います。
風香・・