ガトゥ・ハロゥ

八犬伝と特撮と山田風太郎をこよなく愛する花夜のブログ。

ワタリ一族 ~【里見八犬伝】~

2006年10月20日 18時05分04秒 | 八犬伝いろいろ
 
(ポプラ文庫 しかたしん著「里見八犬伝」(上・下))


おじさんパワー炸裂の八犬伝

全体を通して出てくるオリジナル要素の一つに「ワタリ一族」と
いうのがありまして。白土三平の「ワタリ」を思い出すか、
又は半村良の「産子山秘録」のカラワタリとか。
私は「ワタリ」のワタリ少年でしたが。彼も下記↓で書いてる
片目隠しキャラでした。「サスケ」のサスケよりもちょっと年上。

「デスノート」でワタリというキャラが出たときに、
忍者か隠密かそれとも特殊能力持ちか? と、名前だけでそんな想像
してみたり。

イラストレーターさん、荘助がお気にらしく彼のカットが多いです。
怒り顔、憂い顔、笑顔。片目隠しキャラ=サンジ(ワンピース)、
ギンコ(蟲師)、ギョウ(神八剣伝)・・・違うな、もっと彼の印象は幼い。
宇宙太(ザンボット3)がもう少し優しくなった感じかな。
はしっこい山猫のようなイメージの荘助です。

自分が信乃ならこの荘助を襲うぞ(笑) 
正義感あふれて頭も良くて理路整然、剣の腕も立つ片目隠れキャラ。
いいねーカッコいいね。でも受けキャラっぽいけどね。

毛野がまた、今時の少年少女って感じでなかなかしたたかで可愛い。
小文吾に対する感情は本物ですか。
男に戻った後も、女装していろいろ問題を起こすので、一応「兄」って
ことで一緒に旅してる小文吾は大変大変で気もそぞろ。
旦毛野としての衣装の入ったつづらを大切にしてるところからも、
女装少年というより、男装してる少女って感じ。

他の八犬士も、若いながらも結構皆したたかで飄々としていて。
特に、少年っぽさの残る悪戯っぽい性格の毛野と道節は格別。

道節が幼いイメージの八犬伝って初めて読んだ。
また、なんというか<陽>のイメージのする少年で。
小生意気な自信にあふれた若様って感じ。特筆すべきは

笑いながら『うん』って答える道節

・・・『うん』ですよ、『うん』。
無愛想だとか人の意見を聞かないとか返事一つよこさない朴念仁・・・な
道節のイメージがガラガラと崩れ去り。

その代わり、大角と現八がやたらとジジむさい。

なんか登場人物が皆々若々しいのですね。
浜路もひなぎぬさんも死なないし。
若若し過ぎて危なっかしい場面も多いけど。その代わり、
現八の義父・見兵衛さんと小文吾の義父・糠助さんが忍者のような
「ワタリ一族」として、それこそ原作のゝ大法師のように犬士達を
陰日なたと助けて支えてくれたり。この八犬伝は、

ゝ大法師=八房

なのでなんとも不思議な存在になってる。
小文吾の設定が大きく変わっているので、ぬいさんいません。なので、
親兵衛も美貌の若尼僧の妙真尼さんに拾われた不思議な赤ん坊という設定。
その妙真尼さんに小文吾の義父である糠助さんは惚れていて、何かと世話を
焼いてあげたり、旅についていこうとしたり。

おじさん達は元気です。特に、無骨で強くて優しい見兵衛さん。
珍しくこの「八犬伝」では、犬士以外のキャラに惚れました。