加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「愛・地球博」は歴史に新しいページを残せるか?(その5):「新しい文化」の創造」はできるか②

2005-08-17 04:20:49 | Weblog
 私は、堺屋太一氏は今でも20世紀的な文化にこだわっており、「愛・地球博」の真価を見落としているのではないかと考えています。まず、堺屋太一氏が言う「新しい文化の創造」とはどのようなものなのか、それを見て見ましょう。

ー大阪万博では、どんな文化を生み出したか。
「大阪万博では、岡本太郎の太陽の塔、丹下健三の独創的な建物、森英恵の個性的なコンパニオンファッションなど、固有名詞で呼べるものがたくさんあった。愛知万博には固有名詞で呼べるものがごく少ない。文化というからには固有名詞がギラギラと存在していなくてはならない。・・・・・・
 それまで仕事着=外出着と部屋着という2種類しかなかった着服の文化に、カジュアルウェアという存在を認識させた。カジュアルウェアというものが広く行き渡るのは万博以降なのです。また、食べる姿は人様に見せるものではないという意識を劇的に変化させ、ガラス張りの店で食事をするというファーストフードの文化を発信し、定着させる端緒となった・・・・」

 ここで強調されているのは「固有名詞」のエリートが創造する文化と一般大衆の「大量生産、大量消費に、そして大量廃棄」の”文明”です。これは明らかに20世紀的文化や文明を「新しい文化」として堺屋太一氏が思い描いていることを象徴しており、そこには、21世紀の文化の創造主体である「市民」や「持続可能な環境文化の創造」といった視点が欠落しています。また、20世紀末から21世紀にかけて急速にわれわれに生活に浸透したインターネットに関する言及も一切ありません。
 ここで私は、地球温暖化防止、レジ袋削減などの環境保全、持続可能なまちづくり等の21世紀における課題に関して、21世紀初の国際博覧会である「愛・地球博」において壮大なる実証実験が行われている市民プロジェクト、地球市民村、EXPOエコマネーなどの「市民関連プロジェクト」の意義、成果に着目したいと思います。この「市民関連プロジェクト」こそが、堺屋太一氏の言う20世紀的な文化ではなく、これからの21世紀的な文化を騒動する先駆けであると確信しているからです。
 残念ながら首都圏における「愛・地球博」への関心度は低く(ちなみに「愛・地球博」への入場者のうちおよそ8割は中部3県の人々)、「愛・地球博」における様々な催しやプロジェクトのうちでもこの「市民関連プロジェクト」の意義や、真価を評価している人は非常に少ないのが実情です。

 そこで私は、8月23日(火)14:00-18:00、東京御茶ノ水において、(財)2005年日本国際博覧会協会・(特)エコミュニティ・ネットワーク・明治大学地域人材開発研究センター主催、経済産業省、(独)中小企業基盤整備機構、東京新聞など後援で、「愛・地球博」との連携一大イベントを企画いたしました。8月23日のシンポジウム(8月2日には市民パビリオンにおいて、先行して「地球の愛し方:アピール編」を開催)では、「愛・地球博」の開催意義と今後の展開についての基調講演とともに、市民プロジェクト、地球市民村、エコマネーなどの関係者によるパネルディスカッションを行い、さらに最先端の映像コミュニケーション技術を活用して万博会場と東京会場を結び、対話(日中学生交流を含む)を実施することとしております。
 テーマは、「『市民力』を『環境力』・『文化力』へと発展させて、いかに国際的ムーブメントを創造するか」です。関連情報はhttp://www.ecommunity.or.jp/ev20050823.htmにあります。入場無料ですので、皆様の参加を期待しております。

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