加藤敏春ブログ:21世紀の経済評論を語る!

2000年度東洋経済・高橋亀吉最優秀賞等を受賞。地域通貨「エコマネー」提唱者。

「双子の赤字」に陥る日本経済:経常収支も赤字に

2006-04-07 00:52:41 | Weblog
 現在日本経済は膨大な財政赤字をかかえていますが、ここ5年から10年のうちには経常収支も赤字となり、アメリカのように「双子の赤字」状態になることが濃厚です。その原因は、家計貯蓄率の急速な低下と企業部門が抱えている大幅な資金余剰の解消にあります。
 04年度の家計貯蓄率は2.8%で、03年度の4.1%に比してさらに低下傾向にあることが確認されました。かつて日本の家計貯蓄率と言えば10%以上が当然で、70年代には20%を超えたこともあったことからすると、隔世の感があります。ちなみに、1月末に発表されたアメリカの05年の家計貯蓄率はマイナス0.5%で、日本も家計貯蓄率がゼロあるいはマイナスになる事態を覚悟しておかなければなりません。
 国内のIS(貯蓄・投資)バランスと財政収支のバランスは、恒等式により経常収支バランスとイコールとなりますので、財政収支がマイナスの下での国内のISバランスのマイナス化は、必然的に経常収支がマイナスとなることを意味します。
 しかも日本とアメリカの決定的な違いは、円はドルとは違い基軸通貨ではないということです。経常収支がマイナスとなっても海外から資金が流入し対外債務の支払いに不安のないアメリカと、そうではない日本とでは大きな違いがあります。日本では海外からの資金調達が困難となり、金利が急上昇する可能性が高いのです。このことに関しては、従来あまり警鐘は発せられていませんが、十分認識すべき問題です。
 

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