《ニューヨーク直行便!》

NYでエディター&ライターとして活動しているアベカスの、
見たまま感じたままの私的ニューヨーク・レポートです。

ボランティアを通して垣間見る、アメリカの教育制度 【その1】

2005-04-29 | 教育

…と書くと、とてつもなく壮大なトピックで、これだけで1つ論文が書けそうな気がしますが、
まぁブログなんで、細かいリサーチは抜きにして、日頃から思っていること書きます。

実はひょんなことから、今、ある小学校のためにボランティアワークやっています。

この小学校は、経済的に私立に行くことが困難な子供たちに、質の良い教育環境を提供することを目的に、昨年9月に開校した独立系の学校です。

ご存知の方も多いと思いますが、アメリカである程度の学歴を手に入りたければ、莫大なお金が必要です。アイヴィー・リーグまもちろん、そこそこの大学に行ける人は、一握りのお坊ちゃま&お嬢さまだけ。その登竜門はまず名門小学校への入学です。

ここら辺は日本も一緒だと思いますが、違う点はここからです。
日本では、公立学校で充分な教育が受けられますよね。
だから小、中、高とずっと公立でも将来的に何ら問題はないし、公立大学でも名門はたくさんあります。

一方、ニューヨークですが、一般的に公立学校はよくないです。
治安のよくない地域の高校なんかは、崩壊そのもの。
いや、中にはいい公立もありますよ。でも”基本的に”公立はダメです。
なんで親は年間200万円以上もの学費を払ってまで、わざわざ子供を私立の小学校に入れるのです。

じゃ、お金がない子供たちは???

当然、よい教育を受けるチャンスは皆無。
教育がなければ、いい仕事には就けない。
よって、何世代たっても貧乏はずっと貧乏ってな図式が崩れないわけです(※注釈下)。

そんな中、アメリカの教育制度をなんとかしたいと、ある教育者が学校を作りました。

経済的に私立が困難な家庭の子でも、ある程度の学力と親の協力体制があれば、授業料を心配せずに、質の高い教育が受けられる。

それが、今私がお手伝いしている【ハーレム・エピスコポ小学校】です。

学校の運営費はどこからくるのかというと、すべて寄付金から。

アメリカ、特にニューヨークには、お金持ち&教育熱心者がわんさかいるので、一人につき千ドル単位の寄付金がくることも珍しくないのですが、9月からはじまる来年度分の運営費を捻出するために、1年に1度の大きな【資金集めパーティー】を開催しています。

私の役目は、今年のパーティーが来月12日に予定されているので、募金していただける会社を探すことです。この学校に関わっている日本人は私だけなので、一応日系企業を中心に当たっています。

そのレポートをしようと思ったんですが、つづきは後日…。

(※例外もあります。公立の学校に行っても出世できなくはありませんが、ただし全体から見て一握り。今回は一般的な話をしていますので、ご了承を!)


後ればせながら、新生・MOMAへ

2005-04-25 | NY よもやま話
先日、福岡時代の上司がNYに遊びにやってきて、ぜひ行きたいというので、
私も便乗して行ってきました、新生・MOMA(近代美術館)に。

移転前のクイーンズには何度か足を運んだが、
昨年末にミッドタウンにリニューアルオープンしてからは、全く行けてなかった。
いや、よく前は通るのだけど、入口にできる尋常じゃない長蛇の列を見ると、すぐには行く気になれなかったのだ。

で、今回はそのミニレポート。
特に印象に残った建物とランチのこと、書きますね。

ここはご存知の方も多いですが、日本人建築家・谷口吉生作。

天井は高く、空間を生かしたゆったりした作り。
窓枠は広くとられ、たっぷりの光が建物いっぱいに降り注ぐ。

展示室内も広々とし、ゆっくりと作品が鑑賞できるつくりだった。
でも、おもしろいことに、作品同様に、大きな窓枠から外の風景を鑑賞する(覗き込む)人多数!

そこからは、隣のビル(多くは移住用のアパート)が目の前に迫ってくる感じだ。
つい最近、近くの住民から「オープンして以来、観光客にずっと観察されているようで、落ち着いて生活できない」とMOMAに苦情が入ったそうだ。
その気持ち、わからなくもないが、すでに建ってしまった今、
MOMAとしても、どうすることもできないだろう。

ちなみに、ランチは、2階のイタリアンカフェにて。
そこで食べたパニーニとターキーサンドはおいしかった。
だいたいアメリカで食べるサンドって、「質より量」なんですが、ここはお上品な量で、質もグー!
20~30分ぐらい待ちましたが、待ち甲斐のあった味でした。

ある不法移民のハナシ

2005-04-14 | NY よもやま話
今日、ある南米出身の女性に話を聞く機会があった。
なかなか興味深い話だったので、今日はそのことについて書こうと思う。

その女性は、エクアドル出身のMさん。
現在30代半ばの彼女は、10年前の1994年にニューヨークにやってきた。
不法入国で。。。

エクアドルっていう国は日本にはあまり馴染みがないが、
Mさんによると、貧富の差が激しく、強盗集団が街中をはびこっているようなところなんだとか。
金品もの、例えばゴールドのイヤリングでもつけていようものなら、耳ごともぎとられるというから、恐ろしや!

そんな国にいても埒があかないということで、10年前に彼女は国を捨てた。
夢の地・アメリカへ行こうと決めた。

しかしビザがない。正式に取得する手段もない。
彼女がとった手段は、”不法”入国。

無事国境を突破できれば、新天地アメリカが待っている。
しかし掴れば地獄。
強制送還はもちろん、二度とアメリカには戻ってこれない。
人生かけた、決死の覚悟だったという。

彼女がとったルートはこう。
まず、飛行機でエクアドルからメキシコへ。
そこからアメリカ西部の国境近くの街サンディエゴに、
なんと”歩き”で入国したらしい!!

昼間は見張りの警官がいるからと、深夜決行。
3時間、暗闇の中を延々と、いつ掴るかわからない不安を抱えて歩き続けたという。

もちろん仲介役として彼らを手助けし、商売にしているブローカーがいるわけだが、
その料金は10年前で500ドル。
今じゃ、軽く1万2千ドル(だいたい140万円ぐらい?)はかかるだろうとのこと。
物価も日本とは大違いだろうから、私財を全部なげうった決死の逃避行だよね。

さてMさん。無事入国できたはいいが、サンフランシスコでは移民への風当たりが強かったらしく、その後ニューヨークに移住してきたとか。現金払いのハウスクリーニングの仕事で生計を立て、同じエクアドル人の夫と4歳になる娘とつつましく暮らしている。

7年前にグリーンカード(永住権)を申請したらしいけど、10年たった今も降りてないらしく、未だ不法滞在の身。

でもそんな話をしてくれるMさんの表情はなぜか明るかった。

********************************************************

ニューヨークに来るまでは、気にもしなかったことだが
実際住んでみて、この街は移民たちのパワーで成り立っているところだなぁとつくづく感じる。
南米、中国、インド、パキスタン…。
街角のデリ、スーパー、レストランetc…と様々なところで、
金持ちの白人たちが敬遠する仕事を、移民たちが日々汗水流しながら働き、
きらびやかな表舞台を支えている。

そしてあることを考える。
この中のどのくらいの人が、合法的に滞在できるビザや市民権を持っているのだろう、と。

不法滞在者が多いというのは、ニューヨークで本当によく聞く話だ。
アメリカ政府にとって、不法”入国者”は頭の痛い話だが
大都市における不法”滞在者”は別だと思う。
なぜならニューヨークぐらいの規模の街は、移民なくして、もはや機能できないだうからね。
だから政府も彼らを、放置し、逆にうまく利用しているのである。

不法滞在者からすれば、社会保障も健康保険もない。
未来もない。あるのは、ちょっとばかりのお金と家族だけ。
それでもやはり貧しい自国よりはマシだと、
ビザなし移民が、今日もアメリカに大挙する。

Mさんの笑顔が、何よりもその皮肉な現実を語っていた。

ヨガとヒップホップが合体したんだとさ。

2005-04-08 | ヨガ in NY
先日のロイター通信のニュースに、Yogi(ヨガ行者)もぶっ飛びの記事が載っていた。

ラッセル・シモンズっていうヒップホップ系のプロデューサー(デフ・ジャム・レコードの創設者)が
ヨガとヒップホップを合体、融合させたビデオ「ヨガ・ライヴ」を先週リリースしたとか!

ヨガとヒップホップの融合?!?!?!?!
果たしてヨガとヒップホップの精神がどのように融合されたのか、あたしにゃ疑問だが、
そのアイデアには久しぶりに感動さえ覚えました。

そしてこの記事読んで、先日Integral Yogaのインストラクターに教えてもらったことを思い出す。
Yogaっていうのは、サンスクリット語(古代インドの言葉)でunit、つまり「結びつき」とか「組合せ」みたいな意味らしいんですよ。だから、呼吸の仕方とかポーズの1つ1つとか、視線とか合唱とか、それぞれに、それはそれは深~いふか~い意味があり、それらが1つにユニットして、やっと大きな意味になるんだとか。ヨガって実に奥深いもんなんですね。

で、先述のシモンズさんが、どこまでヨガを心得ているかはわからないのだけど、少なくともヨガ行者には予想だにしなかったコラボレーションであることは間違いないでしょう。
まぁでも、融合という意味では、本来のヨガの大義を成しているわけで、
新しいヨガのスタイルってことで、これもありなんでしょうね、きっと。

余談だが、全米のヨガ市場っていうのは、今や30億ドルのお金が動くメジャー市場なんだとか。どうりで、ニューヨーク市内にも数え切れない数のスタジオがあるわけだ。恐るべし、ヨガ・パワー!

※ 写真は、Integral Yoga。1階には、ヨガに関するありとあらゆる書籍やグッズがズラリと並んでいる。30年以上の歴史があり、ニューヨークでは先駆け的存在のスタジオ。ハーサヨガという種類のヨガで動きもゆっくりなので、年配の方もよく見かけます。

地下鉄MTAに、ワシ怒る

2005-04-06 | NY よもやま話
ニューヨーク市の地下鉄(MTA)のトークンブースが
”またまた”かなりの数、閉鎖されることになった。
人件費削減の名目でね。

トークンブースって、チケットを売っているだけじゃなくて
夜間とか人がいることで、犯罪防止にもなってると思うんですよ。
ホームへの入り口に人がいなくなるってことは
それ以外にも、本当にほんと~に、不便なことが起こるうるんです。

一度なんて、メトロカード(定期券)を改札機にスライドしていたとき
たまたま相性悪くて「Try again」と何度か出たので、スライド繰り返したら
最後にゃ「Just Used」(使用済)って表示されたことがあった!
カ~ッ!!!
この場合、ブースに人がいれば事情を説明して入れてもらえただろうに
誰も係員がいなかったので、あたしゃ20分も待つ羽目になったのさッ!
(ちなみにメトロカードは、複数人が同じ定期を使えないように、一度使用すると20分くらい使えないようになっている)

ほんでもって、これも最近の話だが、
通勤ラッシュ時に、456というマンハッタンの東側を縦に走っているラインが
電気系統の関係で故障、運航中止になってしまった。
通勤時間の運航中止は、なんとも痛すぎました!
(日本ではまず考えられないけど、こんなことがたま~に起こってしまうのがニューヨーク)
私は約束の時間があったので、タクシーを拾おうと外に出るも
みんな考えることは一緒。
まったくイエローキャブはつかまらず、結局バス+歩き、しかも大遅刻をくらってしまったのだった。

なのになのに、どんどん値上げするMTAはひどい!
私がニューヨークに来た頃は60ドルちょっとだった30日有効のメトロカードが、
この3年の間に2度も値上がりして、今じゃ76ドル。

値上げするからには、それなりの質とサービスの向上がないと
納得いかねぇーーーよォ!!

※写真は、私がよく利用するダウンタウン「ユニオンスクエア」駅前。夕方近くになるといつも誰かがパフォーマンスしていて、見物客でごった返す。