<2050年に世界人口の40%が深刻な水不足に陥る>
・(思い込み):温暖化で北極の水が溶け、海面水位が上がるほどなので、将来的に地球の水資源は豊かになるだろう。
(検証):(このまま行けば人類の4割以上が水不足に)
・我々は普段、水道から飲料として、または生活用水として当たり前のように水を得ている。水は、人間の生活にとっても、生命維持活動にとっても、絶対に必要不可欠な資源だといえる。しかし、その水が、将来的には地球規模で不足するかもしれない。
OECDの調査によれば、2000年時点で世界の水需要は約3600k㎥だったが、2000年から2050年までの間に製造業に使われる工業用水が+400%、発電用の水が+140%、生活用水が+30%ほど増加し、水需要全体で55%も増加すると見込まれており、その結果として2050年時点で深刻な水不足に陥る河川流域の人口が、世界人口の4割以上である39億人にも達する可能性があるというのだ。将来的に人類が水不足に見舞われるかもしれないという予測は、OECD以外にもユネスコやアジア開発銀行なども発表しており、信憑性が高い。
(安定的に水を供給できる体制づくりが急務)
・今後、地球上の多くの人々が水不足に陥ることになれば、それが紛争の火種になる可能性もある。実際に2010年からナイル川の水資源を巡ってエジプトとエチオピアが対立を続けている。人類は、今後数十年をかけて地球上のできる限り広い範囲に対して安定的に水を供給できる体制を整備する必要がある。
<研究開発費の対GDP比率がもっとも高い国はイスラエルだ>
・(思い込み):(研究開発費のGDPに対する割合がもっとも高い国は、もっとも研究開発費の高いアメリカだろう。)
・(検証):(研究開発に巨額を投じるイスラエルの真意)
・国の研究開発費の多さを比べた場合、アメリカが毎年計上している額は5400億ドル以上に上り、約4960億ドルの中国と差が縮んだものの首位となっている(ちなみに、日本は約1760億ドルで3位。いずれも2017年の統計データによる)。しかし、研究開発費の対GDP比となると、その順位は大きく様変わりする。なんと首位は、イスラエルなのだ。イスラエルは、これまで研究開発費のGDPに対する割合がもっとも高い国に何度も選ばれており、2015年のデータによれば、研究開発費が対GDPの4.27%に上っていたという。
研究開発費自体の規模は、2016年で130億ドル程度とアメリカや日本に比べればかなり少ないが、それでもイスラエルの人口がわずか902万人、国土面積は四国とほぼ同じ大きさしかないことを考えれば、イスラエルという国の予算がどれほど研究開発に傾斜しているかがわかる。
(世界中から研究者が集まる新規事業国家)
・また、イスラエルは「新規事業国家」としてもよく知られている。つまり、ゼロからイチを生み出すスタートアップ企業を多く生み出しているのだ。あまり知られていないが、私たちの身の回りには、イスラエルで生まれた技術が溢れている。たとえば、VR、自動運転車画像認識チップ、ZIP圧縮技術、CT診断装置、USBメモリ、ドローン、プチトマト、3Dプリンター、レーシックなどは、実はイスラエル発の技術なのだ。
そのため、イスラエルには世界中から優秀な技術者が集まっているだけでなく、多くのグローバル企業が最先端の技術を求めてイスラエルに研究拠点を置いており、今やシリコンバレーにも匹敵する技術力を誇っているといわれる。
イスラエルと周辺のアラブ諸国との間の緊張関係が続く限り、イスラエル国民は自分たちの国と民族を守るために、常に経済成長を続けて国力を維持しようと、小国ながらも人類の最先端を行く技術を生み出し続けていくのかもしれない。
<世界のCO2排出量は減っていない>
(思い込み):(国際会議の場でCO2削減問題が話し合われており、大気中のCO2量を減らすため、各国は最大限の努力をしている。)
・(検証):(急ピッチの工業化がCO2排出量を増やしている)
・世界のCO2排出量は増加し続けているが、その一例として気象庁が2018年に発表した岩手県大船渡市三陸町綾里における統計を展示しよう。綾里での1987年度のCO2量は351.4PPMであったものが、2018年には412.0PPMと過去最大の数値となっている。
さらに、ほかの観測場所においてもCO2量は増加し続け、過去最大の数値となっている。もちろん日本だけではなく、この状況は世界でも同様である。大気中のCO2は温室効果ガスとして作用し、温暖化現象や異常気象を引き起こす大きな要因である。
・では、なぜこのようにCO2量が増え続けているのだろうか。その原因の一つとして中国やインドといった国の急激な工業化を挙げることができる。先進国によるCO2排出量が規制によって少なくなっても、今まで多くのCO2を排出することがなかった国がCO2を大量に排出するようになり、世界全体では排出量が増えているのだ。この状況を打破するためには新興工業国のCO2排出量の削減が絶対的に必要となる。
(十分な対策を取らずにCO2を大量に排出している国がネック)
・EUなどの先進諸国は地球環境問題に真剣に取り組み、CO2排出量の削減を行っているが、アメリカはトランプが大統領になってから、CO2排出量削減対策を放棄する方向に向かっている。
さらに、中国、インド、ブラジルなどの新興工業国は急速な工業化のみを進め、環境問題を二の次にしている現状がある。
・だが、各国がエゴを押し通すことによってCO2排出量は確実に増加し、早急に世界的な対策を取らなければ取り返しのつかない状況に陥る一歩手前にあることを、我々はしっかりと理解しなければならない。
<2100年以降は、人口は増えない>
・(思い込み):(発展途上国がこのまま経済的に豊かになり続ければ、世界人口は際限なく増加するはずだ。)
(検証):(世界人口は2100年までに109億人まで増加)
・1927年には20億人だった世界人口は、その60年後の1987年には50億人に、2019年には77億人に達するというペースで急速に増え続けている。さらに国連は2019年に、世界の人口は2050年までに97億人、2100年までに109億人に増えるだろうという推計を発表した。この推計を聞くと、誰もが「増えた人口に耐え切れず、地球上の全資源は枯渇してしまう!」と一抹の不安を感じざるを得ないだろう。
ところが、上述の国連による推計では、次のように続く。サブサハラ・アフリカでは2050年まで人口が倍増するが、世界人口は2100年頃にはピークを迎え、少子高齢化などの影響によって人口増加率はゼロ成長となり、その先は減少するようになるというのだ。
ちなみに、その頃には、人口減の国や地域は約6割に上るようになるという。
将来的にある時点から世界人口が減少し始めるのは間違いなさそうだが、だからといって安心はできない。2050年までの人口の5割超を、インド、ナイジェリア、パキスタンなどの9カ国の人口が占めるという。特に人口増加が著しく、21世紀を通じて人口が増え続けると見込まれているのは、サブサハラ・アフリカである。
(人口の増減は国によって偏りが生じる)
・つまり、サブサハラ・アフリカのような後発開発途上国の多くの地域では急速な人口増加が続く一方で、先進国においては少子高齢化の影響によって次第に人口減に傾く国が増えていくことになる。
推計によると、2100年にはアフリカで人口が0.61%増加する一方、アジアは0.39%減、ヨーロッパで0.14%減となるという。その場合、人口が増え続ける途上国と、人口が減り続ける先進国との間の経済面や衛生面における格差をどうするのかという問題が浮上することになるのだ。
<電気を使えない人は全世界人口の約20%しかいない。>
(思い込み):(世界にまだ後進国も多く、いまだ電気を使えない人々が大勢いる。)
(検証):(電力消費量は一貫して伸び続けてきた)
・宇宙から夜の地球を眺めた写真を見たことがあるだろうか。夜の闇の中で、都市部や道路沿いが明るく輝いている映像だ。
・そんな写真を見たことがある人の多くが、世界にはいまだに電気を使えない人が大勢いるのだという感想を抱くかもしれない。しかし、実際には現時点で世界人口の約80%が電気を使うことができているのである。
(電気を使える地域にはいまだ偏りがある)
・世界の国や地域がどの程度「電力化」されているのかを見る電力化率はどうだろうか。
先進国全体ではすでに99.9%が電力化されており、無電化地域に暮している人の数は100万人程度である。それに対し、南米は電力化率が95%で無電化地域人口が2400万人、中東は電力化率が91%で無電化地域人口が1900万人、アジアの発展途上国は電力化率が83%で無電化地域人口が6億1500万人、アフリカの北アフリカは電力化率が95%で無電化地域人口が100万人と、極めて高い割合で電力化されているものの、サハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカ)は、電力化率はわずか32%、無電化地域人口は5億9900万人にもおよぶ。実に、サブサハラ・アフリカの68%の人口が電気のない暮らしを余儀なくされているのである。
・特にサブサハラ・アフリカにおける電力化率の改善は、同地域における人口増加率や水資源の不足などと合わせて、人類にとっての大きな政策課題の一つとなっている。
<アメリカにおける政権交代は経済政策の違いから起きる>
・(思い込み):(アメリカでは大統領の力が強大だ。そのため、有権者は大統領候補者を基準に政治政党を決めている。)
(検証):(二つの政党の経済政策の違いが投票行動に影響を与える)
・アメリカの二大政党の経済政策はまったく異なる特徴を持っている。民主党の経済政策は基本的に経済に国家が介入し、経済的流れを政府がコントロールし、企業よりも国民一人ひとりの利益を優先する。それに対して共和党は政府が経済に介入することをなるべく避け、企業の成功が国家の繁栄につながると考える。さらに、経済格差は当然と考え、企業への統制は行わない政策を取る。
(自由経済優先の共和党と平等主義優先の民主党との差異)
・共和党は経済的自由主義を優先するため、国内の企業に対しても税率を低くし、経済発展を促そうとする。一方、民主党は税負担の公平を主張し、利益の上がっている企業はそれだけ多くの税を払い、貧しい国民はより少ない税で済むようにすべきであると考える。こうした違いは経済政策全般におよぶ。
・自由競争の勝者が個人として多くのモノを所有すべきであると考えるのが共和党の経済的自由主義政策である。それに対して民主党は自由よりも平等を優先するために、経済への国家介入を行って格差社会をなるべくなくそうとする。
つまりは、共和党と民主党の経済政策の違いは、自由を優先すべきか、それとも、平等を優先すべきかという民主主義の二つの根本原理のヘゲモニー問題という側面もあるのである。
<教育を受けられる子どもは増加している>
(思い込み):(発展途上国ではいまだ学校に通えない子どもが多く存在している。)
(検証):(国連が掲げた就学率向上という目標)
・2000年9月、ニューヨークの国際連合本部で開催された、189の国連加盟国が参加した国連ミレニアムサミットにおいて全会一致で「ミレニアム宣言」が採択された。人類が21世紀を迎えるにあたって「平和で繁栄した公正な世界をつくり出すこと」や「貧困をなくすこと」などを目標として、世界各国が団結して取り組んでいくことが宣言されたのである。
・「ミレニアム開発目標」では、「極度の貧困と飢餓の撲滅」や「ジェンダー平等の推進と女性の地位向上」などが定められた。その中で、教育に関して定められたことは、「2015年までに、すべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする」というものだった。
1991年時点では、初等・中等教育への就学率は先進地域で96.3%、開発途上地域で79.8%、サハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ・アフリカ)地域で53.5%と、先進国と途上国との間には大きな隔たりがあったのだ。
(就学率は向上しているがいまだ課題も残る)
・しかし、国際的な努力の結果、世界の初等教育を受けられない児童数は着実に減っていき、2000年に1億人だった児童数は2012年までに5800万人に減少させることができた。開発途上地域全体の初等・中等教育への就学率は200年には83.5%だったものが、2012年には90.5%にまで上昇。約9割の子どもたちが初等・中等教育を受けられるようになった。
また、特に劇的に就学率が向上したのがサブサハラ・アフリカ地域で、2000年には60.3%の児童しか初等・中等教育を受けられなかったのが、2012年には77.9%にまで上昇している。
<世界は殺人犯罪に溢れていない>
<世界人口の7割以上が神を信じている>
<カンガルーはオーストラリアでは害獣として駆除されている>
<世界でもっともプレーされているスポーツはサッカーではない>
・日本バレーボール協会によれば、全世界でもっとも競技人口が多いのはバレーボールだという。
・競技人口1位はバレーボールの約5億人、2位がバスケットボールの約4億5000万人、3位は卓球の約3億人、4位はサッカーの約2億6000万人。
『未来の中国年表』
超高齢大国でこれから起こること
近藤大介 講談社 2018/6/20
<2018年 中国でも「人口減少時代」が始まった>
・長年にわたる「一人っ子」政策が、少子高齢化時代を大幅に早めてしまった。しかも日本と違って、国の社会保障制度が十分に整っていないまま少子高齢化へと突入することになる。
(出生数が1786万人から1723万人へ)
・少子高齢化が世界で一番進んでいるのは日本だが、中国は日本に遅れること約30年で、同じ道を歩んでいる。
・ところが、全面的な「二人っ子政策」元年とも言える2017年に出生数は増えるどころか、63万人も減少してしまったのである。
(「子育てする20代女性」が600万人も減っている!)
・出生数が減少した主な原因は、ひとえに一人目の子供の出生数が減少したためだ。
・それにしても、一人目の子供の出生数が、日本の3年分近くに相当する年間約250万人も減少するというのは、尋常な社会ではない。いったい中国で何が起こっているのか?
(人口激増を懸念した鄧小平)
・そして食糧を豊富にするためには、できるだけ多くの人々を、農作業に従事させる必要があった。古代から中国大陸において戦争が絶えなかったのは、一つは土地の争奪が原因だが、もう一つは人間の争奪戦だった。
・こうして中国は、憲法で家庭の出産数に制限を設けるという、世界でも稀有な国家となったのだった。
(日本の人口よりも多い「中国の一人っ子」)
・2010年の時点で、全人口13億3972万人中、一人っ子の数は、すでに1億4000万人に達していた。これは日本の総人口よりも多い数だ。
(親と祖父母が子供を徹底的に甘やかす)
・一般に、中国が日本を反面教師にしている事柄が二つあると言われる。一つは日本のバブル経済の崩壊で、もう一つが日本の少子高齢化である。
・特に、中国の人口規模は日本の11倍にあるので、近未来に人類が経験したことのない少子高齢化の巨大津波が襲ってくるリスクがあったのだ。
(激論!「二人っ子」は是か非か)
・こうして2016年元旦から、「人口及び計画出産法」が改正され、中国は全面的な「二人っ子政策」の時代を迎えたのだった。
(子供を生まなくなった3つの理由)
・①子育てコストの上昇、②公共サービスの欠如、③出産観念の変化(夫婦二人きりの生活を楽しみたい)
(病院の診察整理券を狙うダフ屋たち)
・私が北京に住んでいた頃は、病院の「挂号」(診察の順番を示す整理券)を確保するために夜明け前から並んだり、「挂号」を高く売りつける「黄牛」(ダフ屋)が病院内に跋扈したりということが起こっていた。
(貧富の格差が定着する)
・だが中国は、依然として世界最大の発展途上国であり、あらゆるものが未整備のまま、少子化に突入したのだ。
<2019年 首都・北京の人口もごっそり減る>
・自然減に加え、習近平政権の複雑な思惑と極端な政策により、この年から北京は大きく姿を変えていく。
(2万2000人の減少)
・21世紀に入って17年目にして、初めて北京市の人口が減少したのだ。
(北京の人口が減る本当の理由?)
・北京市の人口がマイナス成長に転じたことは、北京市の人口は発展の変動の趨勢にマッチしたもの。
(3億人の出稼ぎ労働者)
・「農民工」の都市部での悲惨な状況は、たびたび社会問題となってきた。
・彼ら全員に大都市の戸籍を与えていけば、大都市はすぐにパンクしてしまう。だがそうかといって、「現代版アパルトヘイト」と揶揄される中国の戸籍制度は、隣国の北朝鮮を除けば、世界に類を見ないものだ。
(「特大都市」「超大都市」への移転はより厳しく)
・北京市の戸籍改革計画では、「中心部6区の人口を、2020年までに2014年比で15%減らす」としている。
(自治体が住人を選抜する!)
・習近平政権による戸籍改革で、もう一つ興味深いのは、「積分落戸」と呼ばれる新制度の導入である。これは、「特大都市」及び「超大都市」の戸籍を取得したい中国人を点数づけして、自治体が選別するというものだ。
(「第二首都」誕生)
・一つめは、「第二首都」の建設である。
(「低端人口」の一掃が始まる)
・その出稼ぎ労働者たちのことを、「低端人口」(下層の人々)と呼んでいるのだ。
・「低端人口」は、北京市内に数百万人いるとも1000万人近くいるとも言われた。
(本地人と外地人の分断)
・「『低端人口』を追い出さないから、北京の街は汚いし、人騙しは跋扈するし、治安も悪い」
(「拆拆拆」される人々)
・これによって、合法と違法の間のような、道路に少し張り出した店舗やレストランなども、すべて撤去させられてしまった。中国語で「撤去する」という動詞は「拆(チャイ)」と言うが、「拆拆拆」という言葉が、たちまち北京で流行語になった。
(20年前にタイムスリップ)
・つまり、北京の街並みは、20年前にタイムスリップしたのである。
・「低端人口がいないと、ゴミの回収から宅配便の配達まで何もできなくなってしまうことが分かった。それが春節の後、彼らを黙認するようになった」
<2020年 適齢期の男性3000万人が「結婚難民」と化す>
・適齢期の男性が適齢期の女性よりも圧倒的に多い社会が到来する。「剰男」(余った男)たちが選ぶ3つの道とは?
(「一人っ子政策」最大の副作用)
・だが、そうした歪みの中でも看過できない「副作用」が、男女比率の歪みである。
(女性100人に男性118人)
・嬰児の性別の話に戻ろう。中国の農村部では、女児が生まれた場合、役場に出生届を出さなかったり、間引いてしまったり、業者に売りつけてしまったりということが横行した。何と言っても、欲しいのは跡取り息子なのである。
・世界の出生数を見ると、男子が女子より多いのは各国に共通な現象で、国連では「102から107の間」を正常な国家と定義づけている。
・だが、時すでに遅しだった。中国は2020年には、結婚適齢期とされる20歳から45歳までの人口で見ると、男性の数が女性の数よりも、3000万人も多い社会となってしまうのだ。
(「持ち家のない男」は話にならない)
・中国の女性は、マイホームを買えて、「家を成せる」男性と結婚したいのである。
(国策ドラマだった『裸婚時代』)
・2011年春、中国全土で『裸婚時代』というテレビドラマが大ヒットした。「裸婚」とは、何とも意味深な漢字だが、「裸一貫(無一文)で結婚する」という意味である。つまり、究極のジミ婚である。
(「お一人様の日」で大儲け)
・それは、「1」が4つ並ぶ11月11日を、「お一人様の日」と定めて、結婚できなかったり、彼女や彼氏がいない若者たちに、24時間限定の大規模なセールを行ったのである。
(「超男性社会」の近未来)
・重ねて言うが、2020年の中国には、20歳から45歳までの男性が、同年齢の女性より3000万人も多いという、人類未体験の「超男性社会」が到来する。
・将来は「アフリカ系中国人」という人々も、普通に目にするようになるかもしれない。
(同性愛大国への道)
・近未来の中国で起こるであろう二つ目の現象は、男性の同性愛者の増加である。
・「人民解放軍の若い兵士たちの中には、大量の同性愛者がいる」
・社会主義国の中国では、例えば、人民解放軍などの組織では同性愛は禁止しているが、それでもいまどきの若者たちは、意外にあっけらかんとしている。そもそも中国人は他人に無関心なこともあって、同性愛の青年たちは徐々に表に出始めてきているのである。
(「空巣青年」の「孤独経済」)
・第三の現象は、「空巣青年」の増加である。
・日本語の「空き巣」とは無関係で、親元を離れて大都市で一人暮らしをしている若者のことだ。
<2021年 中国共産党100周年で「貧困ゼロ」に>
・北京から農村に追放されて貧しい青少年時代を送った習近平は、農村の貧困層の支持を盤石にし、長期政権を実現させるため、ありとあらゆる手段を使って脱貧困を目指そうとする。
(中国の「中流」「貧困ライン」の基準)
・長い演説の中で、これでもかというほど「脱貧困」を力説したのだった。
(3000万人の「最貧困層」を3年でゼロにする)
・貧困家庭が政府から生活保護を受けるには、地元の役場へ行って、年収が2300元(約3万9000円)以下であるという「貧困証明書」を入手しないといけない。この年収2300元という基準は、胡錦涛時代の2011年に定めた。「貧困証明書」の様式は各地域によってまちまちで、個人がいかに生活が苦しいかを記述し、役所がそれにハンコを押す。
・習近平主席が言う「貧困を撲滅する」という意味は、「貧困証明を取る人をなくす」ということである。「貧困証明書」取得者は2017年末時点で、約3000万人いる。そこで、2018年から毎年1000万人ずつ減らしていき、2020年にゼロにしようという計画なのだ。
(習主席の「貧困」体験)
・「私は前世紀の1960年代末、まだ十何歳で、北京から陝西省延安市近郊にある梁家河という寒村に派遣され、そこで7年間、農民をやった。貧困に喘ぐ村民たちとともに穴倉で生活し、土坑の上で寝た。何ヵ月も、一切れの肉さえ食べられないありさまだった。私はその村の党支部の書記になり、中国の庶民たちが何を求めているのかを理解した」
(毒食品問題の深層)
・胡錦涛時代に政権幹部から、「中国は1割のヨーロッパと9割のアフリカだ」という話を聞いたことがあったが、まさに言い得て妙だった。
・数年前に日本で問題になった中国産毒食品の氾濫は、まさに貧困の為せるわざである。
(「貧困地区の大開発」を利用して利権づくり)
・ともあれ江沢民政権は、西部大開発の名のものに、西部地域を巻き込んだ大規模なインフラ事業などを推し進めていった。
(「鬼城」が全国あちこちに)
・中国全土に点在するこのような「鬼城」は、大きな社会問題になった。さらに問題なのは、それらの建設費用の一部が、地方幹部の懐にキックバックされたことだ。
(農村を一変させた通販サイト)
・習近平政権になってから始めた貧困撲滅の試みを、二つ紹介した。一つはアリババが始めた農村版の「農村淘宝」である。
(最貧困地域をITの牙城に)
・貴州省のような貧困地域でも、3分の2もの地区で深刻な腐敗があったこと自体驚きだが、ともかく腐敗が蔓延しない監視システムを作った。
その上でIT企業を誘致し、省の振興を図った。
(貧困を脱することができない村は潰す)
・脱貧困が可能と判断した村と、不可能と判断した村である。まず、不可能と判断した地域では、村人たちを早期に脱貧困が可能と思える地域まで引っ越しさせる。
(貧困層を養う5つの政策とは)
・第一に、インタ―ネット通販と農村を結びつける。第二に、1万の村の村民を100の都市の家政婦にする貧困層扶養計画。第三に、対外投資を行う企業に、農村の人々を海外に派遣する労働者として雇ってもらう。第四に多国籍企業に労働者として雇ってもらう。第五に、国境地域の貿易に貧困地域の人々を巻き込んでいくのだ。
<2022年 大卒が年間900万人を超え「大失業時代」到来>
・国が豊かになるにつれて大学生の数は今後も増え続ける。だが、高度経済成長が終わりつつある中、巨大な雇用を創出できなくなると…………。
(世界の大学生の2割は中国人)
・2017年9月現在、中国の現役大学生は3699万人に上り、世界の大学生の2割を占めるという。
(卒業生も日本の14倍)
・2022年に卒業生の数が990万人になれば、2017年時点の日本の16倍である。
・大卒者に対する社会の需要に対して、供給側の大卒者が不釣り合いに多いという意味だ。
(毎年1500万人の新規雇用が必要?)
・いくら中国が日本の25倍の国土を擁しているからといって、800万人もの卒業生に見合う職場など、あるはずもない。加えて、2017年には48万900人もの海外留学組が帰国している。さらに高卒や中卒を含めれば、毎年1500万人規模の職場が必要だ。これは東京都の人口よりも多い数である。
(新規就業者数1351万人のカラクリ)
・「2017年の都市部での新規就業者数は1300万人を超え、2017年12月の都市部の失業率は4.9%と、5%を下回った」
・一つは、「滴滴出行」という新興IT企業の存在である。別名「中国版ウーバー」だ。
(多すぎた運転手)
・そのため、大都市では戸籍を持たない運転手の進入を禁止した。この措置によって8割方の運転手が、再び失業してしまったのである。
(「1日に1万6600社が誕生」。だが、その大半は………)
・1日当たり1万6600社ということは、年間600万社!
・だがその一方で、100社創業すれば、そのうち90社から95社くらいは、いつのまにか雲散霧消しているのである。創業とは、死屍累々の残酷な世界なのだということを、深圳を視察して思いしった。
(「一流大卒」以外は結構厳しい)
・おそらく半数近くの大学卒業生が、自分が望むような職場を得ていないのではないか。
(エリートは国家公務員を目指す)
・当時は、学生たちに圧倒的人気だったのが国家公務員で、続いて国有企業だった。
(公務員「給与外所得」の実態)
・そもそも国家公務員が最も人気が高いのは、国有企業以上に安定性があるからだ。さらに、多額の「給与外所得」が見込めるということもあった。
(贈収賄で1日平均842人を処分)
・「この5年間で、154万5000件を立件し、153万7000人を処分した」
(究極の失業対策は「海外への人材輸出」か)
・今後も中国の大卒は増えていくことが見込まれるため、ますます「学歴通脹」(学歴のインフレ)が深刻になっていくのは自明の理だ。中国政府はこの問題を解決するため、海外への留学と海外での就業を奨励していくだろう。
<2023年 世界一の経済大国となり中間層4億人が「爆消費」>
・国際化やIT技術の普及によって、中国人が消費する金額・物量は驚異的な勢いで今後ますます膨らみ続ける。そしてそれは同時に、究極の監視社会にもつながるのか?
(1日で3兆円近くを売り上げるイベント)
(ユニクロもシャープも大儲け)
(悲願を達成した日)
・そして、2010年に日本を抜き去った中国が、次に見据えているのが、トップに君臨するアメリカなのである。
(その日は「2023年から2027年の間」)
(莫大な消費力――4億人の中間所得者層)
(「爆消費の時代」を予測する)
(中国人観光客の誘致は死活問題に)
(5年後の銀座の姿を知る方法)
・私が常々、念頭に置いているのは、「現在の韓国が、5年後の日本」ということである。
・つまり、5年後の銀座の様子を想像したければ、ソウルの明洞を見学しにいくとよいということだ。
(急成長を遂げる中国の「出前」ビジネス)
(クレジットカードは時代遅れ?)
(スマホ決済の履歴で個人に優劣がつけられる)
(『1984年』ビッグブラザーの恐怖)
・ただ、一つだけ警告しておきたいのは、こうしたスマホ決済から応用されるサービスの進化は、国家が国民のプライバシーをすべて管理する社会に直結するということだ。
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