最高のひととき
週末の夜 軽い夕食を終えて
リビングに戻った僕は
照明を暗くしてソファーに座る
テレビをつけてヘッドホンをかける
深夜なのでこれは欠かせない
テーブルの上には数本の缶ビールと
数種類のチーズ それと最近気に入っている
アンチョビを乗せたクラッカーだ
さあ、僕の最高のひとときを初めよう!
目一杯ボリュームを上げたテレビから
流れる映像は世界的に有名なロックバンドだ
もう何度も繰り返し見ている
けれど見るたび僕の心を熱くする
彼らの演奏に観客は皆 陶酔していく
スタンドマイク片手にステージを動き回る
歓喜する観客をまるで煽るように
彼は呼びかける 観客はそれに呼応する
曲に合わせて足を踏み鳴らす
まさに会場全体が一体となり
盛り上がっていく
こんなに素晴らしいアーティストが
今はもういないなんて悔しい
僕は彼らの生の演奏を聴く事は叶わなかった
あんなにカリスマ性の高い人を僕は初めて知った
彼らの新しい曲はもう聞けないけれど
彼らの残した数々の名曲は今もこうして残っている
今夜も楽しいひとときを過ごせそうだ