酔いどれ烏の夢物語

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僕らの空に花が咲く

2023-06-09 20:55:08 | ポエム

 

     

   僕らの空に花が咲く

あの日 確かに僕らはここに居た

真夏の夜空に咲く花を

みんなでそれを眺めていた

祭り囃子の音 香ばしい匂い

綿あめの甘い匂いに心が躍った

でもあの夏は帰らないと感じていた

 

学生だからこそ僕らは楽しめた

あの頃 それぞれの進む道を信じて

たゆまなくそれを全うした

大人の世界に身を投じて

初めて知った苦い思い

僕らはもう子供では居られない

 

あの日 誓った僕らの友情は

真夏の あの夜空に舞い散った

毎年減っていく顔ぶれ

夢が崩れる音 悲しい思い

せめて君だけは夢を捨てないで

僕が君を 支えていくから

 

出逢い そして別れの時を

誰もが予感していただろう

それでも僕は信じたかった

あの日 確かに僕らはそこに居た

夢と希望に満ちていた

ありふれた現実を打ち砕こうと

 

神様どうか僕らの未来を

いつか 君に話そうとしていた

僕の想いを今打ち明けよう

情けなくて恥ずかしくて

笑い話で良い 僕はピエロで良い

誰よりも君を 愛していた

 

それが 僕の真実だから

あの日 夜空に咲く花を見ていた

一人も欠ける事無く居られると

信じて疑わなかった 君はまだ 

僕の傍に居てくれるかな

今年も僕らの空に 花が咲く

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 掌

2023-06-09 10:37:41 | ポエム

     

       

僕の掌は他人より少しだけ大きい

けれどこの手に掴めるものは

決して多くは無いと知っている

それでも大切なものを一つだけ

たった一つだけ守りたいと思った

確かにそこにあった大切なものは

いつの間にか僕の掌の中から

霧のように消えてしまっていた

 

君の掌は大きくてとても暖かい

その手をしっかり掴んでいれば

きっと幸せになれると信じていた

それなのにいつの間にか僕は

君の手を放してしまっていた

二人だけの大切な時間は

あたかも幻のように消えた

僕が君を傷つけたあの日から

 

君の掌は優しくてとても暖かい

僕の掌はとても冷たくて

二人で手を繋いでいると丁度いい

そんな風に笑っていた君の

笑顔がすごく嬉しくて

毎日会えるのが楽しみで

もう一度君に逢いたい

君が僕を許してくれるなら

 

僕は自分の掌をじっと見つめた

何がいけなかったのだろう

どうして僕は嫌われたのだろう

どんなに考えても分からなくて

今はただ逢いたくて

あの日別れた場所にいた

どんよりとした空から

冷たい雨が降り出した

 

僕の掌は他人より少しだけ小さい

だから多くのものは掴めない

けれど傘を持つことは出来る

雨が降る中立ち尽くす君を

冷たい雨から守る位なら出来る

顔を上げた君の涙を拭う事も

僕より大きくて泣き虫の君を

抱きしめてごめんねと言った

 

 


酔いどれ烏の夢物語 雨

2023-06-07 05:06:57 | ポエム

   

      

いつもより少し早く目覚めた朝

コーヒーを準備して朝食を作る

ベーコンエッグとサラダ

それと何時ものトースト

おはよう とまだ眠そうな君

外はどんよりとしていて

どうやら今日は雨になりそうだ

 

今日は早いんだねと淹れたての

コーヒーをカップに注ぎながら

君が微笑む何時もの風景

今日の予定を確認しながら

二人で朝食を食べる

外を見ながら君が呟く

また今日も雨が降りそうだ

 

後片付けをしていると

キッチンの窓を雨が叩く

今日は仕事が早く終わるから

外食にしようと君が言った

そういえば久しぶりだ

雨はあまり好きじゃないが

傘を並べて歩くのも悪くない

 


酔いどれ烏の夢物語 後悔

2023-06-05 05:03:08 | ポエム

     

    後悔

ある日の早朝 僕は目覚めた

とてもとても嫌な夢を見た

あの人が暗闇の向こうへと

どんどん歩いて行く

僕はそれを引き留めようとする

けれどどうしてか声が出ない

あの人は一度だけ立ち止まり

振り返って僕を見て笑った

その笑顔はとても寂しそうだった

 

目覚めた僕は シャワーを浴びた

あの嫌な夢を払拭するように

彼のその寂しそうな笑顔が

頭から離れない

あの人はいつも感情を見せない

辛い時も哀しい時も一人で

周りに心配かけない様に

それを見るのは僕には辛かった

僕が頼りになれる人間だったなら

 

あの夢の様に 彼は姿を消した

誰にも言わずたった一人で

何が彼をそうさせたのか

何を背負っていたのか

せめて僕にだけは話して欲しかった

二人で過ごした時間は少ない

それでも僕を信じて欲しかった

今はただ彼が幸せであります様に

僕には祈る事しか出来ないのだ

 

 

 


酔いどれ烏の夢物語 たった一人の

2023-06-01 18:19:40 | ポエム

   

   たった一人の

それはまるで目に見えない糸で

手繰り寄せられたような瞬間で

僕と君がこの広い世界で出逢った

例えば空に雲があるように

例えば海に波が立つように

ごく自然な出逢いだった

 

躊躇する僕の背を押すかのように

彼は僕の顔を見て微笑んだ

君がこの広い世界でたった一人の

乾いた大地に降る雨のような

暑い日差しを遮る木陰のような

孤独を取り除いてくれる人

 

まるで一人で踊るワルツのように

クルクルと目まぐるしく

繰り返す出逢いと悲しい別れ

そんな僕に春を告げる花のように

そよそよと頬を撫でるそよ風のように

僕に未来を与えてくれた人