マァ坊:今日は僕が親父から受け継いで長年追い足してきたドゥミソースについて聞いてみようと思います。啓坊最近のドゥミソースの調子はどうなの
啓坊:デミソースの調子はすこぶる順調だよ!!でもデミっていうのは世話するのが大変だし、またそれが大切であることが、コックの仕事をして40年近くになるけど、今さらのように感じるね
2~3日に1度はソースをこしては、また新しく牛骨やすじ肉を焼いてミルポワ(玉葱・人参・セロリ等)もじっくり炒めて入れる作業を繰り返しながら常に味を一定に保つようにするのはレシピじゃなくて長年の経験と勘しかないように思うけどマァ坊はどうなの?
マァ坊:全くそのとおりですねぇ。僕も勘を磨くためと楽しみのために以前バス釣り(こっちの方が大)
をしてたんです。親父は親父の僕は僕の啓坊は啓坊の追い足しの方法があって、それを続けていくうちに自分の物になって行くんでしょう
僕が以前神戸新聞の取材でこのソースには先人達の魂が入ってるって言いましたがそうやって今は啓坊の魂がはいってるんでしょうねぇ
啓坊:魂と言うか気持ちは100%入ってるよ!でも手間暇と結構なお金も掛かるんだよね・・・。
必ず朝と晩に沸かさないとならないし、ほらマァ坊だって店が休みの日に来て沸かしてるやんかぁ・・・。
まったくこのソースって世話の焼けるヤツだよねぇ。
でも、これからも毎日々面倒を見続けていきますよ
マァ坊:啓坊ありがとう
親父からの気持ちを受け継いでいって下さいね
ところでソースの呼び方なんだけど啓坊も「デミ」って言うんだね。親父は「ドミ」で僕が見習いの時は先輩達が「デミ」で渡仏した時フランス人達は「ドゥミ」って言ってたけど発音の違いだけで同じ作り方でしたが文字にすると分り難くなるし最初は戸惑いましたよ。
まぁどっちでも良んだけどね。フランスで僕が追い足しのドゥミの事を言うとその店のシェフが「マサァそれはドゥミグラスじゃなくてブレジェールやなぁ。オレがアプランティー(見習い)の時にはあったけど今はどこにもないぞぉ、お前の店はまだ追い足しで作ってんのか
」って言ってたんでそれだけに貴重なソースなんだなぁって改めて思ったよ
フランス料理の歴史にはあまり詳しくないけど親父の貨客船時代にその方法を伝えた人達の作り方をまじめに守ってきたソースなんですねぇ
マァ坊 啓坊:第三弾はミヤコで注文する時にはこう注文すれば得だっていう事についてお話しますのでお楽しみに