メイキング・オブ・マイマイ新子

映画「マイマイ新子と千年の魔法」の監督・片渕須直が語る作品の裏側。

貴伊子の家の中の中の中

2009年09月24日 16時05分39秒 | mai-mai-making
●貴伊子の家の内側を調べ、
 その内側に置くガス冷蔵庫を調べ、
 冷蔵庫の内側の構造を調べた。


 貴伊子の家、埋立地の社宅の外側は実際の姿がわかりましたが、内側がわかりません。

 ここはひとつ事実を離れて、ちょっと大胆な翻案することにしました。
 玄関から内側は東京・小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」の建物を参考にすることにしたのです。
 はじめは吉祥寺の旧・山本有三邸なども考えてみたのですが、考えるだにちょっと立派な洋館でありすぎました。
 ちょうどいい家はなかったっけ、と思い出したのが、昔からの散歩コース・江戸東京たてもの園でした。ここには、色々な時代の家屋が復元されていて、その一軒、「田園調布の家」は大正末年頃の瀟洒な郊外住宅です。「戦前の中流階級」というイメージにぴったりでした。
 この家のドアや窓枠は白いペンキ塗りで、埋立地の社宅の家屋が元々は白っぽいペンキ塗りだったらしいこととマッチしてちょうどいい感じです。そんなふうに、使えそうなイメージを採集して、防府の埋立地の社宅に移植するわけです。
             
             
             

 貴伊子の家の内側は「田園調布の家」からかなりイメージをいただいていますが、台所にはさらにガス冷蔵庫を追加して置くことにしました。実際には埋立地の工場内は電力が豊富だったので、あったとしても電気冷蔵庫だったのではないかとは思うのですが、けれど、実は監督の子ども時代の昭和30年代に家で使っていたがガス冷蔵庫だったのでした。

 ガス冷蔵庫は、東京・小平市の東京ガス「ガスミュージアム」に実物がありました。ここにも出かけて外観をスケッチしてきたのですが、その内側、中で炎が燃える口火のあたりの様子がわかりません。
 またまた古本屋を漁って、当時のガス会社のパンフレットを見つけ、その中に図があったので、ようやく内部構造の詳細を絵に描けるようになりました。

             
             
             

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