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第3話(1)

 モンゴル騎馬軍団、西へ!(1)

 「隊長殿はいつからこちらへ?」
「20年前のペルシャ侵攻の時からだ。ハン国同士の闘いが起こって、故郷には帰れなくなってしまった。」

(トガン隊長の話 その1)
 私はモンゴル高原の西端、オイラートに生まれた。
部族民のほとんどは羊を飼う遊牧民だ。
3人兄弟の長男として、軍務についている父に変わり、少年の頃から、母と一家を切り盛りしていた。

 広大な草原で馬を狩り、羊を追い回す。
冬の寒さは格別だ。
口にするのはチーズと干し杏、たまの麦ころがしと羊肉。

 太祖チンギス・ハンによりモンゴル高原の諸部族は統一され、強力な国になった。
そして、大ハンは天命により、強力な騎馬軍団を率い、東へ、西へと外征を繰り返した。
ついには、東の金帝国、西のホラズム帝国を滅ぼし、ユーラシア大陸の大帝国になった。

 モンゴル帝国では14歳以上の男子は軍務に服さねばならない。
私は母と弟妹に見送られ、我がパオを離れた。
常に移動しているため、特別な感傷はない。
人は大地から生まれ、大地に帰る。
どこに居ようと大地はつながっている。

 馬と共に、指定された軍団の駐屯地に向かう。
緑の草原に、見渡す限り白いパオが立ち並んでいた。

 新兵が集められる。
皆、14,5歳の少年だ。
最初に、士官から服務規程を説明される。

〇オゴタイ・ハン(第2代ハン、チンギス・ハンの子)への絶対の忠誠
〇上官の命令への服従
〇隊内での傷害、窃盗は重罪
〇脱走、間諜行為、命令不服従、器物損壊は死罪

     
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