ようやく涼しくなった大阪市内です。お陰様で、弊Blogも更新する意欲が戻ってきました。
標記の件、米国国立衛生研究所のニュースレターからの転載です。”低炭水化物ダイエット”に大きな?を付与する内容です。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
NIH News in Health(2015年8月31日付)
体脂肪減少に関する、炭水化物と脂質の違いについて
【摘要】
・肥満した成人においては、食事による脂質の摂取を制限する方が、同じエネルギー量の炭水化物の摂取を制限するより、体脂肪の減少に有効であった。
・この研究結果が示すところは、世間一般での常識とは異なり、体脂肪の減少については炭水化物摂取の制限は余り意味が無い。ということである。
【本文】
減量プログラムの選択にあたっては、色々と頭が悩むところである。脂質の摂取を制限することを勧めるプログラムもあれば、炭水化物の摂取制限を勧めるプログラムもある。噂と事実を分離するのは困難だし、ましてや何が安全で有効かを見極めるのも困難である。
米国国立衛生研究所傘下の国立糖尿病/消化器病/腎臓病研究所(NIDDK)に所属するKevin Hall博士が率いる研究グループは、脂質/炭水化物の摂取制限に対する人体の反応を調査した。調査結果はCell Metabolism誌(オンライン版、2015年8月13日付)で発表された。
被験者は男性10名/女性9名だった。そのプロフィールは
・全て肥満者
・平均年齢35歳
・糖尿病は患っていない
・平均BMI(30以上で肥満)は36
である。
被験者は約2週間/回×2回、米国国立衛生研究所の敷地内にある建物で過ごして試験を受けた。そして、建物で過ごす間の被験者の食事摂取/エネルギー消費を測定した。
建物で過ごす2週間の試験期間中、最初の5日間では、被験者は
・エネルギー構成比=炭水化物50%/脂質35%/タンパク質15%
という食事を2,740kcal/日摂取した。続く6日間では、エネルギー量を30%減らした食事を摂取した。その際、エネルギーの減少分を
・1回目の試験期間:炭水化物
・2回目の試験期間:脂質
由来とした。なお、タンパク質の摂取量は変えなかった。
試験期間中、被験者はトレッドミル上を60分間/日歩くという運動をした。そして、エネルギー消費量とそれらの相対的な由来(炭水化物/脂質)の比率を測定した。
炭水化物を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合、インスリンの生成量が減少した。つまり、食事の内容によって代謝に変化が現れたことになる。そして脂肪の酸化(燃焼)が増大すると同時に、炭水化物の酸化が減少した。結果として、体脂肪が平均で53g/日減少した。
一方、脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合、インスリンの生成量/脂肪の酸化に変化は見られなかった。しかしながら、体脂肪は平均で89g/日減少した。これは、炭水化物を減らした食事を摂取した場合の約68%増に相当する。
研究グループは、試験期間が短かったことを踏まえ、今回の試験結果から長期的な効果を予測するのは時期尚早であると指摘している。炭水化物/脂質の摂取量を減らすことに因る長期的な効果を評価するには更なる調査が必要とされている。
Hall博士は、「脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合に比べ、炭水化物を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取することで
・インスリンの分泌量の減少
・脂肪の燃焼の促進
という効果が見られ、結果として体脂肪が有意に減少した。しかしそれ以上に興味深いのは、脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取することでより体脂肪の減少が促進されたという事実である。この場合、摂取した脂肪と消費した脂肪の量が著しく不均衡な状態となった。今回の結果から確実に言えるのは、体脂肪の減少に関しては摂取エネルギー量の多寡だけでなく、その由来も考慮する必要がある、ということだ」と語っている。
標記の件、米国国立衛生研究所のニュースレターからの転載です。”低炭水化物ダイエット”に大きな?を付与する内容です。
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NIH News in Health(2015年8月31日付)
体脂肪減少に関する、炭水化物と脂質の違いについて
【摘要】
・肥満した成人においては、食事による脂質の摂取を制限する方が、同じエネルギー量の炭水化物の摂取を制限するより、体脂肪の減少に有効であった。
・この研究結果が示すところは、世間一般での常識とは異なり、体脂肪の減少については炭水化物摂取の制限は余り意味が無い。ということである。
【本文】
減量プログラムの選択にあたっては、色々と頭が悩むところである。脂質の摂取を制限することを勧めるプログラムもあれば、炭水化物の摂取制限を勧めるプログラムもある。噂と事実を分離するのは困難だし、ましてや何が安全で有効かを見極めるのも困難である。
米国国立衛生研究所傘下の国立糖尿病/消化器病/腎臓病研究所(NIDDK)に所属するKevin Hall博士が率いる研究グループは、脂質/炭水化物の摂取制限に対する人体の反応を調査した。調査結果はCell Metabolism誌(オンライン版、2015年8月13日付)で発表された。
被験者は男性10名/女性9名だった。そのプロフィールは
・全て肥満者
・平均年齢35歳
・糖尿病は患っていない
・平均BMI(30以上で肥満)は36
である。
被験者は約2週間/回×2回、米国国立衛生研究所の敷地内にある建物で過ごして試験を受けた。そして、建物で過ごす間の被験者の食事摂取/エネルギー消費を測定した。
建物で過ごす2週間の試験期間中、最初の5日間では、被験者は
・エネルギー構成比=炭水化物50%/脂質35%/タンパク質15%
という食事を2,740kcal/日摂取した。続く6日間では、エネルギー量を30%減らした食事を摂取した。その際、エネルギーの減少分を
・1回目の試験期間:炭水化物
・2回目の試験期間:脂質
由来とした。なお、タンパク質の摂取量は変えなかった。
試験期間中、被験者はトレッドミル上を60分間/日歩くという運動をした。そして、エネルギー消費量とそれらの相対的な由来(炭水化物/脂質)の比率を測定した。
炭水化物を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合、インスリンの生成量が減少した。つまり、食事の内容によって代謝に変化が現れたことになる。そして脂肪の酸化(燃焼)が増大すると同時に、炭水化物の酸化が減少した。結果として、体脂肪が平均で53g/日減少した。
一方、脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合、インスリンの生成量/脂肪の酸化に変化は見られなかった。しかしながら、体脂肪は平均で89g/日減少した。これは、炭水化物を減らした食事を摂取した場合の約68%増に相当する。
研究グループは、試験期間が短かったことを踏まえ、今回の試験結果から長期的な効果を予測するのは時期尚早であると指摘している。炭水化物/脂質の摂取量を減らすことに因る長期的な効果を評価するには更なる調査が必要とされている。
Hall博士は、「脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取した場合に比べ、炭水化物を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取することで
・インスリンの分泌量の減少
・脂肪の燃焼の促進
という効果が見られ、結果として体脂肪が有意に減少した。しかしそれ以上に興味深いのは、脂質を減らすことでエネルギー量を減らした食事を摂取することでより体脂肪の減少が促進されたという事実である。この場合、摂取した脂肪と消費した脂肪の量が著しく不均衡な状態となった。今回の結果から確実に言えるのは、体脂肪の減少に関しては摂取エネルギー量の多寡だけでなく、その由来も考慮する必要がある、ということだ」と語っている。
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