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文芸春秋の「小倉庫次侍従日記」

2007-03-14 23:12:34 | 読書日記
先日『文芸春秋』を購入したとブログに書いた。
目当ては、新聞でも報道されていた、「小倉庫次侍従日記」である。

昭和14年から終戦にかけての昭和天皇と宮中の様子が記述されている。
昭和天皇の発言や生の感情が記されていて、よみものとして読んでも十分面白い。
ぱっと読んでみて、「歴史的な新発見」はなかったが、
他の資料や日記などに記録された出来事の肉付け・裏づけの部分は少なからずあった。

敗色濃厚な昭和18年後半あたりになると、如何に戦争を収拾すべきかの影がすこしづつ見え始めてくる。高松宮様との口論などは、なかなかに興味深い。天皇陛下に、「精神的な師をつけるべきではないか」と発言する高松宮様もさすがだ。

詳細は半藤一利氏の解説に譲るとして、個人的に興味深かったのが、「ワニ肉たべたかった」という発言だ。

ワニ肉を料理に使っていいかどうかを侍従武官が、総務局に尋ねたら、ダメだしされ、結局使われなかった。ワニ肉を食べたかったにと、昭和天皇は残念がられた。
訪欧中にはトカゲの肉を食べたいと言ったのに、これも食べられなかった。
アンコウは好物であるという話をしたら、侍従は、「御上は悪もの食ひにあらせらる旨、申し上げたるところ、御微笑あらせられたり」と。
なんとも微笑ましい。

日本の昭和戦前史が政治問題と切り離され、歴史の研究対象となれば、きっともっと多くの史料が公開されていくんだろうな。