kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

6才のボクが、大人になるまで。

2015年02月01日 | ★★★★☆
日時:1月29日
映画館:サロンシネマ

アカデミー賞本命の呼び声も高い本作。1人の少年の成長を軸に、男運の悪い(か見る目がない)シングルマザーとお姉ちゃん、別れた父親の4人を12年間に渡って撮影したという点がすでに特殊。

映画的な事件というのは特に起こらず、人生の節目で思い出となるような出来事だけが淡々とつづられていく。その過程で少年は少しずつだけどしっかり成長していく。2時間45分という長時間だが、なんだか観終わってしまえばあっと言う間。世に言う「よその子が大きくなるのは早い。」のたとえどおり。

ただ、ひとつひとつのエピソードを思い起こすと、泣けたり笑えたり、一瞬一瞬が大切で、人生っていいなと思えてくる。最初の引っ越しで友だちが自転車で追いかけてくる場面はそれだけで涙するが、結局は再会していないという展開もいい。

12年間、1つの事業を継続させ続けた監督と製作陣が素晴らしいと思う一方で、脚本は12年分一気に書き上げていたのか、それとも少しずつ書き足したのだろうかとか、どこで映画としての区切りをつけるつもりだったのかとか、製作面での興味は尽きない。

主人公4人も年1回撮影したそうだが、キャラクターの変化を1年後に演じるというのはなかなか難しかったと思うし、やはり自分と子どもの変化を間近に見ている役のパトリシア・アークエットが一番大変だったろう。体型の変化もすごいし。
逆にイーサン・ホークなんて、キャラクター上もたまにしか子どもに会わないという設定だから、演技もラクだ。(と思う。)

自分の少年時代に重ね合わせるより、ウチの小僧が主人公と同じ世代の15歳。そちらの方で客観的に観ることが難しい。シーンごとに顔立ちとか髪型とか声が少しずつ変化して、大人になっていく様はしみじみとしてしまう。

逆に同じ9年間の間にウチの小僧とどんなことがあったのか、思い出そうとしてもちゃんと思い出せない。親の目線と子どもの目線は違うんだけど、子どもにちゃんとした体験をさせてやっているのか考えると切なくなってしまう。そういった視線で見ると、節目でしか会わないイーサン・ホークの役どころって何か都合が良くて、ズルい。(離れていることはそれでそれで辛いだろうが。)

ウチの小僧にも観て欲しい映画だが、多分、今観ても映画の良さをあまり実感できないだろうな。少年時代なんてリアルタイムでは感じ取れないものだから。






題名:6才のボクが、大人になるまで。
原題:Boyhood
監督:リチャード・リンクレイター
出演:エラー・コルトレーン、ローレライ・リンクレイター、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク

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