kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

エクスペンダブルズ

2010年11月06日 | ★☆☆☆☆
日時:11月6日
映画館:TOHOシネマズ
パンフレット:A4横版800円。主要キャストのインタビューのほか、キャストの出演映画一覧や日本独自の背景設定、杉作J太郎の対談、エンドクレジットのフル掲載など、映画同様、ムダに充実した1冊。(笑)

スタローンとドルフ・ラングレンも来日した、往年の肉体系アクションスターが総出演する「だけ」の傭兵部隊映画。とにかくヒネリがなさすぎる直球勝負。脳ミソまで筋肉ってヤツですね。

【以下、ネタばれあり】

とにかく、ストーリーも描写もいい加減で、そういった意味では80年代のワンマン・アーミーものの雰囲気を時代を越えて伝えている。(笑)

傭兵部隊が攻略するのは200人の軍隊を持つ人口6000人の小島なのだが、それってそこらへんの町くらいの大きさじゃないの?

この島に何か戦略資源でもあるのかと思いきや、あるのは荒れたコカ畑だけ。誰が何のためにこんな島を欲しがるのだ?

200人と言っても敵が持っているのは、トラック2台と数台のSUVだけ。戦車・対地ヘリとまでは言わないまでも、装甲車の1~2台持ったせろよ。さもないと、勝負にならない。(大砲1つないのに、砲弾だけはある。)

それでも、わざわざ現地に事前偵察も出向くのだが、そこで得た情報レベルはグーグル・アースでも分かるだろう!

赤いベレー帽の精鋭部隊もいて、一目で「精鋭だ。」と見抜くのだが、やっていることは地元住民の露店をひっくり返すだけ・・・。そこでおもむろにSUVから降りるのが、悪の黒幕エリック・ロバーツ。そんな些事の陣頭指揮をするな!

これを5人の軍隊がバカ正直に真っ正面から攻める!適当にプラスチック爆弾を張り付ける!ここで、外部への通信機関を破壊するとか、重火器を先につぶすとか、アンチマテリアルライフルのスナイパーが配置されているとといった戦術面の描写でもあれば、面白味も増すけど、そんなことも一切無し。ブランアン・G・ハットンの「荒鷲の要塞」「戦略大作戦」のカッコよさの爪のアカを煎じて飲ませたい。

この手の傭兵ものの面白さの1つは、必要に応じたプロを集めるプロセスと、そのプロの日常生活を描くことにあると思うんだが、当然、そんな描写も無し。日頃からツルんでバイクを乗り回しているようにしか見えない。

フォーサイスの「戦争の犬たち」の面白さは、全体の10分の1にしか過ぎない戦闘シーンではなく、残り9割の実行までのプロセスにあるんじゃないのかい?

ブルース・ウィリスとミッキー・ロークは実働部隊に参加しないのだが、遠方からの側面支援もしない。あんたら、何してんねん!ちなみにシュワルツェネッガーも特別出演するが、スタローンとの2ショットは光の加減が合成くさい。

で、傭兵の悲哀も殴り込みの危機感もなく、「エクスペンタブルズ(消耗品部隊)」と言いながら、終わりまで身内の戦死者ゼロ!オイオイ!

せめて、血しぶき描写(と致死武器描写)を「ランボー最後の戦場」くらい、ムチャをやってくれたら、少しは楽しめたんだけどね・・・。

映画を観てて、思い出した作品がクリストファー・ウォーケンの「マクベイン」とかロバート・デュバルの「ハリー奪還」、アンソニー・M・ドーソンの「コマンド軍団」シリーズってあたりに、この作品の「時代観」と「安さ」を示していると思います。

ところで、この手の映画に不可欠の悪人顔ダニー・トレホが出てないと思ったら、「マチェーテ」で忙しかったんだろうね。(笑)






題名:エクスペンダブルズ
原題:EXPENDABLES
監督:シルベスター・スタローン
出演:シルベスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク

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