kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ワールド・ウォー・Z

2013年08月22日 | ★☆☆☆☆
日時:8月20日
映画館:全然そぐわない八丁座
パンフレット:A4版700円。

ワタシの心震わすフレーズは「人類滅亡」なのだが、現実のシナリオとして、核戦争はまだ可能性があるし、隕石が落ちてくることもあるだろう。最悪のウィルスが蔓延することもあるかも知れない、気候変動や天変地異も起こり得る。宇宙人が攻めてくることも無いとは言えない(だろう。)

しかし、これだけは確実だ。
未来永劫、死者が甦って生者を襲うことなど、絶対に起こらない。

と、本作の原作を読んだときに書いた。

その原作の一部エッセンスを抽出し、ストーリーは大幅に違う映画版。目の周りの小じわが痛々しくなったブラピがゾンビ災厄の対策を求めて、芋づる式に世界を飛び回り、その過程でワールド・ワイドな災害をものすごいスケールで描いている。(正直なところ、ブラピは活躍しているんだか、身勝手なのだかよく分からないのだが。)

近年のゾンビ映画の特徴として、映画開幕と同時に世界は大混乱。今までのゾンビ映画ではわずかにしか登場せず、見たくても見れなかった人類滅亡の序曲が描かれるあたりはうれしい限り。その反面、大人の事情で残光描写は控えめ。

ところが、それだけの規模のカタストロフィを描きながら、ラストは肩透かし。
「それで終わり?」
エッエッエッ~!

ちょっと待った!身内や知り合いはゾンビ化しないのか?暗鬱なラストじゃないのか?それって、ゾンビ映画の基本を外していないか?

先に残酷描写が控えめと書いたが、この映画、普通にゾンビを描くものすごく「生真面目なゾンビ映画」なのだ。(変な表現だが)
これまでの心に残るゾンビ映画は悪趣味だった。悪趣味なテイストがなかったら、ゾンビ映画として生き残れなかった。(これまた変な表現だが)
ゾンビ」「サンゲリア」「死霊のはらわた」の全編全て、「ビヨンド」の意味不明さ、「ブレインデッド」のグッチャグッチャ、「ナイトメアシティ」の無意味なヌードシーン、「REC」の感情移入できない身勝手な登場人物と度肝を抜くラスト、「ドーン・オブ・ザ・デッド」のアンディ射殺や殺人チェーンソー、「28週後・・・」のロンドン壊滅とエンディング、「バイオハザード5」の露助ゾンビ軍団・・・書き出したらきりがないのだが、この映画には予告編以上の心に残る悪趣味さが感じられない。

最初に書いたように、死者が甦って生者を襲うことなど、絶対に起こらない。他の滅亡要因は過去の経験をブローアップさせたものとして予想できるのだが、ありえもしないゾンビ災厄は人間の想像力に頼るだけでは映画として限界がある。誰も死後の地獄を見たことがないから、これまで地獄の責め苦は生きたまま皮はぎとか、針の山とか、血の海とかのように、分かりやすい表現が使われていたのと同じことだ。

表現がソフトになったことで、せっかくの超大作が「ゾンビ作って魂入れず」になってしまったのは非常に残念だ。






題名:ワールド・ウォー・Z
原題:WORLD WAR Z
監督:マーク・フォスター
出演:ブラッド・ピット

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