kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ワルシャワ44 リベリオン/ワルシャワ大攻防戦

2017年07月22日 | ★★★★☆
映画館:広島市映像文化ライブラリー

すでにCATVで鑑賞していたが、市の映像ライブラリーの「ポーランド映画祭」とはいえ、スクリーンで観られるということであれば一も二も無く行きますよ。

戦後70年を記念して作成された一連の欧州戦争映画の中でも評判の高い一作で、1944年のワルシャワ蜂起を描く。

主人公の青年ステファンは、連合国側に戦局が傾いてきたこともあり、勢いでポーランド自由軍に参加する。周囲は若者が多く、義勇軍というよりハードなクラブ活動程度の雰囲気がある。ワルシャワにアカで共産主義でコミュニストで露助のソ連軍が接近していたこともあり、時期を逃さずポーランド自由軍もワルシャワで蜂起を開始。当初は戦力的に劣るナチの占領軍を圧倒していくが、英国寄りのポーランド自由軍をナチに一掃させたいソ連側はワルシャワ蜂起を傍観。まっとうな補給路を持たない蜂起軍はナチの反撃をくらい追い詰められていく。

途中、負傷した主人公はほぼ戦闘に加わることもできず、血みどろの戦いを傍観することになる。エピソードの積み重ねで映画は振興するが、たどる地獄絵図が半端ではない。
20ミリ対空機関砲やパンターの75ミリ砲が対人に使用され、女性兵士が吹き飛ばされる戦闘だけでなく、ナチのブービートラップがワルシャワ市民のど真ん中で炸裂、舞い上がった死体の血肉が血の雨として降り、医者は負傷して担ぎこまれた敵兵を刺し殺す。子ども老人相手に見境なく手榴弾が投げ込まれる。親の手の中で子どもが息絶える。3m近く積み上げられた死体の山。
目の前で起こる惨劇に彼は何もすることができない。

主人公、実に頼りない上、しかも同胞の女性兵士に二股をかけている。しかし、英雄ではないその非力さがこの映画を一線を画したものにしている。劇中、何度か登場するCGを多用したPVみたいな映像表現に戦争映画好きとしてはかなり違和感を覚えるのだが、普通の若者の悲劇を今の若者に同感してもらう手法としてはアリなのかも知れない。

この映画を観た後、NHKドキュメンタリーで放送されていた「カラーで蘇るワルシャワ蜂起」を再見したが、驚くほど同じようなシーンがいくつかあり、共に当時のフィルムのカラー再現、映画ともに国家的事業として行われていたことが伺える。

本当に救いがないのだが、エンディングで映し出される現在のワルシャワの姿に救われた気持ちになる。






題名:ワルシャワ44 リベリオン/ワルシャワ大攻防戦
原題:WARSAW゜44
監督:ヤン・コマサ
出演:ヨーゼフ・パヴロフスキ、ゾフィア・ヴィフワチュ、アンナ・プロフニアク

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