kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ユーロクライム! 70年代イタリア犯罪アクション映画の世界

2020年04月18日 | ★★★★☆
ずっと気になっていたドキュメンタリーだが、配信サービスでようやく鑑賞できた。

1970年代、マカロニウエスタンの衰退後、イタリアでブームになった映画ジャンル、それが「Poliziotteschi(ポリツィオッテスキ)」だ!

「ブリット」「ゴッドファーザー」「フレンチコネクション」「ダーティーハリー」などの世界的ヒットを受け、それらをパクった一連のイタリア犯罪映画の世界が、今、明かされる!

日本ではほとんど観ることがないポリツィオッテスキだが、その誕生の経緯や時代背景、生々しい製作現場、活躍した俳優、エグいバイオレンス描写、イタリア映画界ならではの興行と配給、その衰退を当時の関係者のインタビューを交えながら追っていくのだが、このインタビュイーが実に豪華!
ジョン・サクソン、ヘンリー・シルバ、フレッド・ウィリアムソン、リチャード・ハリソン、アントニオ・サバト、レナード・マン、ジョン・スタイナー、マリオ・カイアーノ、クラウディオ・フラガッソなどなど。
そして、我らがフランコ・ネロとエンツィオ・G・カステラッリ親方!!

この時代のインタビューが面白いのは、やはり当時の映画撮影の無法っぷりと隠す必要がなくなった本音トークだろう。
俳優の間近で実弾を使って撮影し、カーチェイスは本気で突っ込み、俳優自身が身を投げてスタントをする。(背景にイタリア人らしいマッチョ精神があるのが面白い)
カモッラとコーザノストラと撮影して、マウリツィオ・メルリは噂どおり、評価が真っ二つ!

また、ポップなイラストや当時のポスターなどの宣材、テロップをフル活用した、ビデオクリップ的な画面作りで観ていて退屈しない。(その分、字幕を追うのに目が疲れる。)

インタビュイーたちもなんだかんだ言いながら、イタリア映画の世界が大好きでその辺の愛情を隠しきれない。ちなみにヘンリー・シルバは本当にいつもあの恐ろしい顔のままで表情が変わらず、全然笑わない。惜しむらくはメルリ、そしてトーマス・ミリアンが鬼籍にあって、話が聞けないことだろう。

本作と比較してしまうのが、マカロニウエスタンドキュメンタリーの「サッドヒルを掘り返せ」。元ネタとして面白いのは「サッド」の方なのだが、ドキュメンタリー映画の作りとしてはこちらの方が上だな。

最後近くでこんな発言がでてくる。
「ハリウッド映画は缶詰映画さ。なんでもきちんとまとまっていて、先が読めてしまう。しかし、ポリッツィオテスキでは思ってもない車が爆発する。人生と同じで不完全なのさ。だから面白いんだ。」
そう、ワタシがマカロニ映画に惹かれるのはそこなんだ!
カッコいいんだけど、何か外した不完全さ。それが魅力なんだ。

ということで、今度のGWは「超犯罪ハイクライム」「ミラノカリブロ9」「黄金の7人」なんかを観て、バイオレントな70年代イタリアに思いを馳せるとしましょう!!






題名:ユーロクライム! 70年代イタリア犯罪アクション映画の世界
原題:EUROCRIME! The Italian Cop and Gangster Films that Ruled the '70s
監督:マイク・マロイ


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