あれもこれも

灰原中心二次創作サイトの創作人によるあれこれ日記。何かありましたら「拍手」からどうぞ。お礼は名探偵コナンの小ネタ三種類。

再読 黒の組織から来た女 後編

2019-12-08 23:15:44 | 感想(アニメ等)
 というわけで後編広田教授殺人事件です。

 小学一年生のはずなのに麗しさと妖しさ前回で登場した彼女の名前は灰原哀。連絡の使いない博士の家を使ってコナンをからかう余裕も見せます。くうう、大人!にしても電話回線を使ってのパソコン通信ですか。夜九時になると安いテレホーダイ、何もかもが懐かしい20年前。
 コナンへの態度と博士への態度が違うのはこの頃からです。博士が大事なんですね~。仲良しな博士と哀ちゃん可愛い。さっきまでからかって遊んでいたのとは一転してのコナンへの塩対応。朝の学校から夜の偽札事件まで一日コナンを見ていて思うところも色々あったんでしょうね。推理力の一方で子どもたちへの脇の甘さとか、あとやっぱり「普通の17歳の高校生」としての一面とか。

 無機質なしかしどこか挑発するような口調でなぜ工藤新一=江戸川コナンと分かったかと説明する哀ちゃんが最後に明美さんが殺されたことをコナンに告げるところ。ここの重さ。つらい。視線は雑誌に向けたままで淡々と明美さんが殺されたこと、そこから死のうと思って薬飲んだけど死ねなかったこと。この子、これで18歳なわけですよ。ここに至るまでの宮野家と宮野姉妹と宮野志保に何があったのかを知ったうえでこのシーン読むと、もう泣けてくる。
 でもそのあたりは分からないコナンは「人間を殺す毒を作っていた奴を、どう理解しろってんだ!?」と哀ちゃんを怒鳴りつける。このコナンの未熟さや年相応の正義感を哀ちゃんはどう受け取ったのか。頼ってきて裏切られたのか、断罪されて楽になったのか、自分の罪に絶望したのか、それとも全部か……。
この辺りはこれまで様々な二次創作で楽しませていただいてきました。私の好きなコナンと哀ちゃんの主題の一つでございます。
 しかし改めて読むとこのやり取りの後、哀ちゃんからコナンへの言葉は一気に揶揄するものが増えていくように思います。この辺りで初期の哀ちゃん→コナンへの感情が一つ固まりつつあるのかもしれません。

 哀ちゃんの口から語られる両親や明美さんについては相変わらず事実だけ。
 ・両親も組織にいた。でも生まれてすぐ事故で死んだ。
 ・めったに会えない姉しか家族はいない。
 ・自分を組織から抜けさせるために組織の仕事をしたけど、それまでは普通に生活してた。
 ・哀ちゃん自身は組織の命令でアメリカに留学してた。
 ざっと列挙してもこの時、家族に関わることについては知ってることをほぼすべて哀ちゃんはコナンと博士に語ってるんですね。逆に言うと哀ちゃんが知っていた家族についての情報は本当に明美さんだけだったということがわかります。
 
 妊娠がわかったとき、普段クールな母親が相好を崩して父親も満面の笑みで、あんなに喜んでくれたことも、毎年誕生日にメッセージを吹き込んでくれたいたことも、それをお姉ちゃんが必死で守ってくれたことも、何も知らなかったんですよ。ううう、この子本当に頑張って生きてきて、それなのに毒薬飲んで死にそびれて、ここまで雨の中逃げてきて………。20年間言い続けてるけど、絶対幸せになってほしい。

 明美さんの先生の名前を聞かれて「広田正巳」とこたえるけど、そこで気が付かないコナンを揶揄したりそっと眺めたり。もう哀ちゃんの行動の一つ一つに初期哀ちゃんのエッセンスが詰まってて、この強烈な灰原哀という個性を私たちにたたきつける登場回だったんだな、と今更ながらにいたるところに納得がふりまかれていますね。
 行った先ではさっくり広田教授は殺されてるわけですが、この時の現場で即PCに向かってデータを確認していることろは、この頃の哀ちゃんらしいですね。今だったら一緒に現場保全とかしてるもんね。あと、横溝警部に怒られて博士に脇を持たれてどかされるとこ!!このシーンめちゃくちゃ好きなんです!!キョトンとした表情がかわいい!可愛い!!!!!

 目の前には事件がぶら下がってて、組織が絡んで夢中になるコナンを見つめながら回想するのは最後に明美さんと会った喫茶店での会話。最後の会話は「メガネの少年探偵江戸川コナン」。そしてその最期を看取ったのもメガネの少年探偵江戸川コナン。きっとこの新聞記事をシェリーさんは何度も何度も眺めたんでしょうね。会う前からいろんな意味で知っていた「江戸川コナン」が推理をしているのを見る哀ちゃんの表情が少しづつ険しくなっていくのが何とも言えません。
 そこからコナン近づいて「あきらめなさい工藤君…」ってこれが初めての哀ちゃんの「工藤君」ですね!!!!記念すべきファースト工藤君はこの場面なのは、何ともく複雑な気分です。哀ちゃんも何かを諦めようとしてしてたんでしょうか。今までいろんなものを諦めてきたであろう哀ちゃんが、それを初めて覆される瞬間がこの事件だったと今になれば思います。

 さて単行本も19巻にかわって推理を開始するコナンに推理の矛盾を突く哀ちゃん。さながら哀ちゃんVSコナンという様相です。

 そして事件解決した最後のコマからの震える泣声の哀ちゃんの「どうして…」。ついに来ましたこのシーン。ううううう、泣いてる。哀ちゃんが泣いてる……。今改めて読んでも泣いてる哀ちゃんにオロオロしてしまうくらい衝撃のシーンですよ。
 じっとコナンには「姉」って言ってたのに。冷めた目を向けたり、揶揄ったりしながら本心は韜晦し続けていた哀ちゃんが泣きながら「どうして、お姉ちゃんを助けてくれなかったの」とコナンに詰め寄るこのシーン。ずっと大人びたふりをしていますが、ふとしたところに見える哀ちゃんの年齢よりも幼く見える瞬間に堪らなく胸が締め付けられるんですが、その最初がここだったんですね。今では喜怒哀楽様々な方向に垣間見える、意外と子供っぽい哀ちゃんですけど、この時には泣き顔でしか見せられなかったというのが、ああ、哀ちゃん本当に幸せになって。(二回目)
 ヒロタマサミのこともお姉ちゃんのことも今までと違って聞いてるコナンにはある意味では支離滅裂な攻め言葉を投げつけながら、泣きくづれる哀ちゃんの姿。この姿が私の人生を変えました。頭のいい気の強い女の子が見せる限界を超えた時の脆さ、この魅力を私に叩き込んでくれたレジェンドが灰原哀ちゃんです。好き。大好き。

 改めて登場回を通して読んでみて、哀ちゃんの魅力を再確認いたしました。やっぱり哀ちゃんは最高ですね。


 それはそれとしてこの話を読んでから20年以上ずっと言いたいことを叫んでこの記事の締めとさせていただきます。


 こら!!!コナン!!そこで哀ちゃんを抱きしめろ!!!何やってんだ!その手は飾りかーーーーーー!!!!!!



灰原さんの魅力を反芻する会をまとめたのはこちらです。
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