◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/10月21日~31日

2018-10-25 00:52:39 | Weblog

10月31日(1句)

支笏湖温泉
★支笏湖の夜は晩秋の風荒れる/多田有花
ドラマを見ているような句だ。北海道の晩秋の支笏湖は、夜ともなれば、冬のように風が荒れる。それをそのまま詠んでいるが、それだけ情景がリアルだ。(高橋正子)

10月30日(1句)

★黄の蝶の二頭飛交ひ冬近し/廣田洋一
黄蝶が二頭、ひらひらと、交叉するかのように飛び交う。特に取り立てていうことがない景色だが、日のひかり、風の感じが目に肌に感じ取れて、冬が近いことが思われる。流れる時に少しだけ身を引いてみると、季節が移りゆくのがよくわかる。(高橋正子)

10月29日(1句)

小樽
★十月やランプの灯り満つホール/多田有花
灯が美しいのはやはり秋なのではないだろうか。十月という秋の真ん中にいてランプの灯りが満ちたホールは、あたたかく、心華やぐところだろう。(高橋正子)

10月28日(2句)

 小樽
★秋の夜の運河灯して観光船/多田有花
観光船で小樽運河を行く。運河沿いにともる灯は夢見るような灯であろう。(高橋正子)

★嵯峨野路や木洩れ日深き竹の春/桑本栄太郎
竹は春から夏にかけて竹の子が芽生え、親竹は衰えて黄葉したり落葉するが、秋には若竹が成長し、親竹も青々としてくる。それが竹の春。嵯峨野路の竹林の路は、木漏れ日に美しい時を迎えている。(高橋正子)

10月27日(1句)

★晩秋の光突き抜け新幹線/古田敬二
晩秋の光はどこか黄ばんでいて独特な雰囲気がある。その光を突っ切って新幹線が走る。新幹線が永遠へと走って行くかのようだ。(高橋正子)

10月26日(2句)

<ニッカウヰスキー余市蒸留所三句>
★原酒眠る冬が近づく蔵の中/多田有花
ウィスキーの原酒が蔵の中で醸成されている。「冬が近づく」に原酒の眠りはいよいよ深くなる。(高橋正子)

★三山の容比ぶや月明り/小口泰與
古風な感じのする俳句。月明かりに浮き上がる名だたる三山。その姿の素晴らしさが改めて印象付けられる。(高橋正子)

10月25日(2句)

★湖に散る楓紅葉の清らなり/小口泰與
湖に散る楓紅葉。枝から離れ湖に散る。その空間の空気が清らかに思える。秋気澄むである。(高橋正子)

★昼ちちろ昨日の草へ身を隠す/古田敬二
ちちろが身を隠した。昨日もこの草のあたりに隠れたではないか。ちちろはここを住処にしているのかもしらない。ちちろへの親しさが温かく感じられる句。(高橋正子)

10月24日(1句)

★一つだけ流星零し天の川/廣田洋一
天の川がきれいに見える山小屋のようなところだろう。天の川から流れ星がすっと一つ零れて飛んだ。たった一つの小さな流れ星に心がすっと魅かれた。(高橋正子)

10月23日(1句)

★鍬使えば太き蟋蟀身を隠す/古田敬二
蟋蟀がいるとも知らず鍬を使った。その瞬間まるまると太った蟋蟀は驚いて身を隠す。農作業をすれば、こんなこともあって、蟋蟀にも親しめる。(高橋正子)

10月22日(2句)

★色鳥や高原の沼かぐわしき/小口泰與
色鳥が集う高原の沼は、「なんと心ひかれることだらろう、実にすばらしい、」の声が聞こえそう。(高橋正子)

★輝いて木の実落ちそむ散歩道/古田敬二
散歩道に木の実が落ち始めた。木の実は熟れて充実して落ちる。「輝いて」落ちる。小さな木の実の輝きにふと散歩の足が止まる。秋も深い。(高橋正子)

10月21日(3句)

★見えていて遠き山かも渡り鳥/小口泰與
渡り鳥が渡る空、山。見えているが、本当は遠い山かもしれない。実景が心象の風景ともなって、哲学的思惟をそそられる句だ。(高橋正子)

★木曽の山隈無く照らす後の月/廣田洋一
後の月に照らされた木曽の山々は、美しい中にも一段ともの寂びて、感じられる。よいところで、後の月を観賞されたことだ。(高橋正子)

★落日につられ広がる羊雲/古田敬二
日が沈むにつられて、羊雲が茜に染まり広がっていく。優しく美しい景色が詠まれている。(高橋正子)
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (小口泰與)
2018-10-25 08:37:38
高橋信之先生、正子先生
10月21日の投句「渡り鳥」の句と10月22日の「色鳥」の句を今日の秀句にお選びいただき、そのうえ正子先生には素晴らしい句評をいただき有難う御座いました。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2018-10-25 22:01:56
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切なご指導有り難う御座います。
10月21日の「後の月」の句と10月24日の「天の川」の句を秀句にお選びいただき、その上正子先生には素敵な句評を賜り誠にありがとうございます。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2018-10-25 22:01:57
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切なご指導有り難う御座います。
10月21日の「後の月」の句と10月24日の「天の川」の句を秀句にお選びいただき、その上正子先生には素敵な句評を賜り誠にありがとうございます。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2018-10-25 22:01:58
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切なご指導有り難う御座います。
10月21日の「後の月」の句と10月24日の「天の川」の句を秀句にお選びいただき、その上正子先生には素敵な句評を賜り誠にありがとうございます。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。
御礼 (廣田洋一)
2018-11-18 10:06:36
高橋信之先生
   正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難うございます。
10月30日の投句「黄の蝶の二頭飛交ひ冬近し」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素晴らしい句評を賜り、誠に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼 (小口泰與)
2018-11-18 10:20:49
高橋信之先生、正子先生
10/25の投句「楓紅葉」の句と10/26の「月明り」の句をそれぞれ今日の秀句にお選びいただき、正子先生には嬉しい句評をいただき有難うごさいました。
これからもよろしくご指導の程お願い申し上げます。

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