◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/5月11日~5月20日

2024-05-11 22:52:03 | Weblog
5月20日(1句)

★緑さすやたら編みなる竹の壁/多田有花
「やたら編み」という編み方で作られた壁は風流なものだが、複雑に光を返し、自然の緑の木々のなかで静かな雰囲気を醸し出している。(髙橋正子)

5月19日(1句)

★外つ人の服の気ままや若葉寒む/桑本栄太郎
若葉のころは肌寒さを覚える日がある。外国の人たちは季節を意識するよりも、もっと緩やかに自由に服装を選んでいる。観光地の京都の初夏の風景が眩しい。(髙橋正子)

5月18日(1句)

★玻璃の皿烏賊刺盛りて昼餉かな/廣田洋一
ガラスの皿に白く透き通るような烏賊の刺身は目にも涼やか。旬の食材を季節にふさわしい皿に盛り付け、見た目もおいしさ同時に味わおうというもの。(髙橋正子)

5月17日(1句)

★遠峰の雲を奔らせ青嵐/桑本栄太郎
爽快ですがすがしい印象の景色。遠くの峰を見ると雲がよく奔っている。空の雲は青葉を吹く強い風が奔らせているのだ。(髙橋正子)

5月16日(1句)

★マーガレット遠くに見ゆる青き海/廣田洋一
遠くに青い海が見え、白く可憐なマーガレットが咲いている景色は、清潔感があって、初夏のさわやかさが読みとれる。(髙橋正子)

5月15日

※該当句無し

5月14日(1句)

★青空や無風無音に夏来る/弓削和人
ただ青空だけが広がる、風も音もない時。空からの日差しの明るさを見れば確かに夏が来ている。(髙橋正子)

5月13日(1句)

★サイダーや雲の湧き立つ浅間山/小口泰與
浅間山には実際「雲が湧く」現象がみられる。2500以上ある浅間山の2000mあたりの山の斜面に温かい空気があたり上昇し、冷えて雲になる現象がある。さわやかな味のサイダーの透明感と雲を湧かせる浅間山が読み手に爽快感をもたらせてくれる。(髙橋正子)

5月12日(1句)

★母の日やわが胸に白きカーネーション/多田有花
母の日の白いカーネーションは、亡くなった母に捧げる花。白いカーネーションを贈ることについて最近はあまり関心がもたれないようだが、母を亡くした人は多いはず。胸に挿しひとり母を忍ぶ日となった有花さんだ。(髙橋正子)

5月11日(1句)

★ふるさとの海懐かしき卯波かな/桑本栄太郎
この俳句は、「ふるさとの海/懐かしき卯波かな」のように切れている。ふるさとの海を思い起こせば、穏やかな卯波が懐かしいというのだ。ふるさとを忍ぶ、心穏やかななかにもせつない心情が伝わってくる。(髙橋正子)
コメント (8)
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5月11日~5月20日

2024-05-11 22:49:08 | Weblog
5月20日(4名)

小口泰與
浮草を挟みし嘴に魚かな★★★
赤赤と鋼の朝日初夏の沼★★★★
老鶯や沼の水輪の数多にて★★★

廣田洋一
ちょろちょろと蛇の寄り来る草の道★★★
目高捕ると手網持ちたる女の子★★★
鯉幟取り払われて夏めきぬ★★★

多田有花
青空と新緑のほか何も無し★★★
緑さすやたら編みなる竹の壁★★★★
旅人を迎える庭の緑かな★★★

桑本栄太郎
<阪急京都線西京極駅>
緑蔭の駅のホームに西京極★★★
<河原町四条大橋界隈>
団子食ぶきもの姿や京の夏★★★
緑蔭の風吹きぬける高瀬川★★★

5月19日(4名)

小口泰與
来ぬ鳥を待ちてうまいや初夏の沼★★★
川蝉や風無き沼の水輪にて★★★
忽然と静寂を破る初夏の沼★★★

多田有花
夏はじめ黒を基調の珈琲屋★★★
五月の由布院盆地を見晴らしゆく★★★
紺碧の空と新緑豊後富士★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈>
外つ人の服の気ままや若葉寒む★★★★
みどりさす街中行くや雨の京★★★
せせらぎの木下闇なる高瀬川★★★

廣田洋一
糸取器盥の繭を踊らせて★★★
公園の枝払う音ひとしきり★★★
今朝もまた筍飯の残りかな★★★

5月18日(4名)

多田有花
水底に卯月の光錦鯉★★★
通りより入れば薄暑の木が囲む★★★
黄菖蒲を水面に映し金鱗湖★★★

弓削和人
あざやかな浮葉のほかは流れつつ★★★★
喧騒の六角ぴんと鉄線花★★★
湖の果画舫は響き更衣★★★

廣田洋一
夏めくや「冷やし中華」の幟揺れ★★★
天蚕の糸吐きこもる繭白し★★★
玻璃の皿烏賊刺盛りて昼餉かな★★★★

桑本栄太郎
緑蔭の梢の空は青きかな★★★
葉の影の揺れる小径や木下闇★★★
すいすいと筋の白さや青すすき★★★

5月17日(4名)

小口泰與
目に映る利根の河原の初夏の色★★★
初夏の沼亀のいできて動かざる★★★
ほんわかと眠気を誘う初夏の森★★★

多田有花
ゆふいんの森や五月の森をゆく★★★
とり天を食ぶ湯布院の浅き夏★★★
由布岳に雲一つなき五月空★★★★

廣田洋一
園児らのかけ回る声夏めけり★★★
枝下す音の絶えざる法の庭★★★
紫蘭揺れ水音絶えぬ法の池★★★

桑本栄太郎
ひらひらと白き葉裏や風薫る★★★
遠峰の雲奔りゆく青あらし(原句)
この句を生き生きさせる(動きがでる)ように、添削しました。(髙橋正子)
遠峰の雲を奔らせ青嵐(正子添削)
夕暮れの買物道や忍冬花★★★

5月16日(4名)

小口泰與
狙いたる魚を川蝉矢のごとし★★★
夏帽子朝日をはじく池の面★★★
敷石を渡る鴉へ西日かな★★★
  
桑本栄太郎
木々の枝の躍り止まずよ青あらし★★★
吸い込みて胸の中までみどりさす★★★
今朝見ればうすき紅さす月見草★★★

廣田洋一
マーガレット遠くに見ゆる青き海★★★★
夏めくや髪を切りたる女の子★★★
夏めくやショートパンツの外国人★★★

弓削和人
葛餅や匙のさきまで葛浸る★★★
猫の眼の細く細くと五月晴★★★
五月鯉山は尾ひれに隠れおり★★★

5月15日(3名)

小口泰與
田畑へい行くも仕事炎天下★★★
翡翠のいつもの枝や天は青★★★
若楓楽し事の多かりし★★★

桑本栄太郎
つやつやと穂が揺れ茅花流し吹く★★★
べんがらの板塀道や柿の花★★★
山影の映る植田や大原野★★★

弓削和人
風薫る結婚式のリハーサル★★★
短夜や目覚めて寝入る夢おぼろ★★★
明け易し市乳温めず睡りおり★★★

5月14日(4名)

小口泰與
釣り上げし数多の鮎を訝しむ★★★
今更のすそ野の長き夏赤城★★★
鳥飛ぶや森はいよよ初夏の色★★★

桑本栄太郎
青梅の葉蔭に隠れありにけり★★★
風薫る木蔭の道やひと休み★★★
立ち止まり暫し嗅ぎ居り忍冬花★★★

廣田洋一
締鯖の夜も青々と冷酒酌む★★★
捩れ花素直であれと閻魔王★★★
マーガレット恋占いの好きな人★★★

弓削和人
青空や無風無音に夏来る★★★★
里若葉風を待たせる配達夫★★★
玉砂利を洗い清めし薄暑来★★★

5月13日(4名)

小口泰與
初夏の森数多野鳥の名を知らず★★★
サイダーや雲の湧き立つ浅間山★★★★
夕焼の利根源流の湯元かな★★★

廣田洋一
鯖寿司の鯖てらてらと夕餉かな★★★★
捩花の規則正しき捩れかな★★★
さつき咲く今年は白く咲きにけり★★★

多田有花
青空にオープンカーの聖五月★★★
夏野菜入れたっぷりのカレーかな★★★
新緑に濃さを加えて雨あがる★★★

桑本栄太郎
雨に濡れ箱根卯木の濃く淡く★★★
山法師雨に気勢の白さかな★★★
ぽたぽたと軒の滴や走り梅雨★★★

5月12日(4名)

小口泰與
あけぼのの数多の鳥や夏の沼★★★
源流の流れ涼しき山の木木★★★
妙義峰の巌奇岩や雲の峰★★★
景色はとても魅力的ですが、具体的な表現があると、さらに共感できる句になると思います。(髙橋正子)

多田有花
冷奴今日より昼餉の一品に★★★
巣から顔のぞかせている夏つばめ★★★
母の日やわが胸に白きカーネーション★★★★

桑本栄太郎
鴨川に早やも用意や川床座敷★★★
銀輪の鴨川べりや風薫る★★★
せせらぎの木下闇なり高瀬川★★★

廣田洋一
締鯖に似合う冷酒を酌みにけり★★★
「冷酒」の具体的な表現(グラスや杯の様子など見たまま、感じたまま)があるとさらに良い句になると思います。(髙橋正子)
雅子妃の薔薇交番を飾りをり★★★
草取女横に袋を積上げて★★★

5月11日(4名)

廣田洋一
公園に白きテントや子らの声★★★
雨上がり赤み増したる桜の実★★★
捩れ花とて行く先は青き空★★★★

小口泰與
寝ねがての竿の手入れや鮎の宿★★★★
渓谷の岩打つ流れつばくらめ★★★
夏帽をかぶりし人もあらざりし★★★

多田有花
天清和フォルテピアノの軽やかに★★★
信号待ち薔薇美しき交差点★★★
夏空の雲なきをゆく航空機★★★

桑本栄太郎
木々の枝の躍り歓喜や風薫る★★★
母の日の母は無けれど母慕う★★★
ふるさとの海懐かしき卯波かな★★★★
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