ひょっとしたら、葉が顔をのぞかせていないかと思い北斜面に足を進めた。
案の定、もう、あちこちに葉が出ていた。花はもう少し後のことだね。
カタクリを撮りながら北斜面を登る。かつては跳ぶように登ったものだが、いまでは足を運ぶたびにかったるさが募る。
見晴台に上ると、モミジバフウの実がたくさん落ちていた。
その実を狙ってのことではないと思うが、ツグミが一羽、何かを啄みながら辺りをうろついていた。意外と逃げないものなのだね。フレンドリーな鳥さんだことよ。
「いい子だよ! いい子だねぇ~!」あの人なら、きっとこう言ったと思うよ。
この言葉は、どうも猫を撮る際の魔法の言葉のようだ。逃げることなく、存分に撮ることができたよ。
街に笑みを添えるモノたち、青空にその白さがあまりにも眩しい。
いま、君たちは、道行く人たちの視線を独り占めすることだろうよ。
先に、音が耳に飛び込んできた。豆粒ほどだったヘリが思う間もなく拳大となり、さらには、それがヘリとわかるほどになって目に迫ってくる。
ローター音とともに空を飛ぶモノたちの一つ、ヘリコプターが入間基地に近づいてきたのだ。
基地を後に再度稲荷山公園を目指す。みちすがら、小さな公園を見つけた。
二基据えられたスプリング遊具が物寂しさを誘う。
それは、稲荷山神社の一隅に施設されている。
「CAUSION SIDE ROAD 横小路あり徐行」
警戒標識のようだけど、さすが、かつてはジョンソン基地だったことだけのことはある。いまでも、英語表記の道路標識が健在なのか。
おもろいし、わかりやすくていいのだけれど、いいのかな? 私家版警戒標識なんだろうね。いや、まずいだろ、これは!
1時間ほど歩いたかな。さて、もう、家人の診察は終わっただろうか。そろそろ、クリニックへ戻るとしよう。
ブラ散歩、歩けば歩いたなりに、春の薫りがそこはかとなく感じられる空間に出逢う。
しかし、しかしだ、まだまだ春は浅いということが身近に感じられたブラ散歩となった。とにかく、北風が肌身に染みたブラ散歩だったのだよ。