「かえるの日」後日メモ

豊島由香のブログです。2006年5月の「かえるの日」公演後から始めました。演劇のことや、日々の出来事などつづっています。

「塵」上映とトークショー

2012年09月20日 | 日々のこと
昨夜、應典院に、河瀬直美監督の作品「塵」上映とトークショーに行ってきました。
(應典院、とてもええ場所やなぁ。実は3度目くらいと思うのだけど、昨夜はすごくええなぁと思った。また来たい)

今年2月に亡くなられた養母(映画の中ではおばあちゃん、って呼ばれていた)の姿を追う作品。
何度となく大写しにされるおばあちゃんは愛おしさにあふれていて、それは河瀬さんの視線であったり、おばあちゃんの姿・存在そのものであったりするのだと思うのだけど、あとはたぶん私はそこに自分の母の姿も重ねたりなんかしたりしたのか、とにかく画面を見つめていると涙と笑みのどちらもがこぼれてきて、手を伸ばしたいような思いで、ほとんどずっと泣き笑いしながら観た。

また、ぎりぎりまで近づいてうつしだされた年老いたその肌は、木の様だったり、山肌を思わせたり、自然に近くて美しかった。
人間も自然の一部なんだけど、なんだか切り離しているイメージがあって、でも肌なんかを間近でまじまじと見つめると、人間も森や土にちゃんと繋がっているのだなぁとあらためて思う。

トークショーは、河瀬さんと僧侶で宗教学者の釈徹宗さんと。
釈さんはほんとに河瀬さんのファンだそうで、たくさん話を聞き出してくださったので興味深いことだらけでよかったな~。
河瀬さんが高校生の映画作りのワークショップに行かれた時のこと。その話題の冒頭を少し聞き損ねたのだけど、そこは土砂崩れの被害にあった地域で、高校生は作品作りにあたってその地特有の信仰心についての視点をもっていたらしく、じつは感心しつつも、「私ちょっと意地悪でね。ほんであんたはどうなんや、あんたにとってその信仰心は必要なんか?って聞いたんですよ」というようなことを話されていて、そのエピソードが面白かった。
「あんたにとって」。
その問いが、どすん、ときた。


チラシの裏に掲載されている河瀬さんと釈さんの写真。
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