「かえるの日」後日メモ

豊島由香のブログです。2006年5月の「かえるの日」公演後から始めました。演劇のことや、日々の出来事などつづっています。

「シーザーの戦略的な孤独」

2014年05月11日 | 舞台などの感想メモ
ミクニヤナイハラプロジェクト「シーザーの戦略的な孤独」
作・演出 矢内原美邦
大阪市立芸術創造館にて 1月16日(木)

もうずいぶんと前になるのだけど、矢内原さんのニブロールの公演を観て、「かっこいいわー」と思ったのは覚えている。けど、どんなだったか、もうまるで覚えていなくて、情けない、もったいない。髪が長く肌の色が白くてほっそりとした女の人がぎゅっと自分の肩を抱いて、問い詰めるようにあるいは怯えるように前を見ていた姿は何となく覚えている。濡れていたような。あれは何だったのかな、汗かな、それとも水をかぶったのか。

こたび拝見して、ものすごい運動量に驚いた。なのに言葉の量もとても多くて早くて。
驚いて。白状すると、私はそこから先にあんまり行けなくて、これはいったい…?ってずっと思っていたような気がする。「?」体験は好きだけど、此度はその「?」があんまり私には展開できなくて。
ただ、オガワ役の男性(足立智光さん)が激しくすごい速度で動き回り汗だくだくになっているほどなのに、セリフは淡々として(もちろんずっとではないけど)、ぐっと惹かれた。それは、その動きと台詞を同時にするのが難しいことやからやろう、ということだけではないように思った。逆の矢印がちゃんと彼の中で繋がっているような。また、そこからほの見えてくるものがあって、彼の白い寂しさというか狂気というか。
近未来が舞台らしく、それは今の風景に重なるような。未来はどこか別にあるんじゃなくて今の先にあるんだ、って当たり前のこと思う。

此度の公演は、準備公演というものだそうなのですが、公演をあとで矢内原さんの御挨拶の文章を読ませていただいて(だいたい当日パンフは公演の前には読まないようにしているんです、そのまま舞台を観たくて)、「身体と言葉のつながりをみつけてみようと出演者と必死に探してみて」とあって、何か予測をつけて探すというより、勇気をもってその先が崖かもしれないところに身体を投げだしておられるその姿勢が、あらためて、観終わった作品のありようと合わせて思われた。その先に新たに見つけられていくことをいつか拝見したいな、と思った。

観終わって、一緒に観てくださったM姫と公演のお話しできて、そのあとのお酒の時間も嬉しかったなあ。私は断然一人で行くことが多いんだけど、やっぱり人と共有できるのは楽しい。
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