早朝、新宿の公園で倒れている浮浪者のそばにしゃがんでいる若者をみかけたドック(神田正輝)とボギー(世良公則)が声をかけると、
無言で殴りかかってきた。ふたりが身分を明かすと若者は素直に抵抗を止めた。
彼の名は澤村誠(又野誠治)。警察学校に移った長さん(下川辰平)の教え子で、今日から一係に配属になる新人刑事だった。
ドックたちが事情を聞くと、澤村は被害者が平さんと呼ばれていて顔見知りであること、
亡くなる直前に形見のハーモニカをくれたことは答えたが、犯人については何も聞いていないし心当たりがないという。
なにか隠しているようすだが頑固に口を閉ざす澤村。
ボス(石原裕次郎)は、澤村に謹慎を命じて家に帰し、ドックとボギーに見張らせるがまんまと撒かれてしまう。
澤村の家が思いがけない豪邸で、さらに妻(渡瀬ゆき)までいると知り驚くドックたち。
泉ちゃん。無口で不愛想な澤村とは正反対の明るく社交的な奥さんです。
こういう女性と一緒なら彼も間違いないだろうなと思わせる良いキャラクターです。
澤村の父親は生前ブルースのピアニストで、その影響で本人もブルースが好き。
母親とは子供のころに死別している。
少しずつ澤村の生い立ちも紹介されていきます。
さらに、久しぶりに長さんと再会した山さん(露口茂)は、澤村が不用意に人を傷つけたくないという気持ちが強い男だと
聞かされる。
ふたりがとっても嬉しそうで、私も嬉しいですw
以前、得意のハーモニカを吹きながら、生き別れた息子が政界に出ると話していた平さんの嬉しそうな、
それでも迷惑になるから名乗り出ないと語ったときの少し寂しそうな姿を思い出す澤村。
平さんを探し出し殺したのが響組の組員で、新進政治家の上杉とつながりがあることが分かった。
上杉は平さんの息子で、それが世間に明るみになることを恐れた上杉が響組を使って殺したのだった。
息子の出世を陰ながら喜んでいた父親を、保身のために死に追いやった上杉に澤村の怒りが爆発する。
事件解決後、あだ名は「ブルースがいいです」と主張して譲らない澤村。
ドック、ラガー、ボギーと明るく陽性な新人刑事が続きましたが、ここにきて陰のある無口な、そして頑固な新人の登場です。
【伝統の文学座】
2年たってようやく弟分が入ってくると張り切るラガー。
実際にも渡辺徹さんと又野誠治さんは文学座の先輩後輩ですが、年は又野さんの方が一つ上だそうで、
そのせいかラガーがあまり先輩に見えなかったです。
それでも、改めて観ると当時のブルースは初々しさもあり、ラガーは精いっぱい先輩ぶっているのが微笑ましいです。
又野さんは同じく文学座の松田優作さんに憧れていたとのこと。
私は最近まで彼が優作さんに似ていると言われていたことを知らなかったのですが、
よくよく見直してみると意識してるのかなと思う場面はあります。
ですが、又野さんには彼特有の鍛えられたアクションとそこはかとないユーモア、そして繊細ともいえる優しさがあり、
私の中では記憶に薄いジーパン刑事よりもブルースの方が愛着があります。
こうしてみると、本当に文学座って「太陽」と縁がある劇団なんですね。