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『銀行総務特命』 池井戸潤

2017年11月02日 22時18分00秒 | ■読書
「池井戸潤」が銀行の特命担当の活躍を描いた連作集『銀行総務特命』を読みました。


2年前に女優の「杏」主演でドラマ化された『花咲舞が黙ってない』の原作本のひとつです。

-----story-------------
◆2015年7月スタート日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』ドラマ化エピソード収録作! ◆


「指宿」、お前どうするよ。
メガバンクの醜聞を隠し通せと言われたら。

帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された「指宿修平(いぶすき・しゅうへい)」
顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり……スキャンダルに事欠かない伏魔殿(メガバンク)を「指宿」は奔走する。
腐敗した組織が、ある「罠」を用意しているとも知らずに――「総務特命担当者」の運命はいかに?
意外な仕掛けに唸らされること間違いなし!
ある事件をきっかけに「指宿」とコンビを組むことになる美貌のキャリア「唐木怜(からき・れい)」の活躍にも注目。
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2001年(平成13年)に『週刊現代』に連載された作品で、銀行内のダーティーな懸案を処理する組織「総務特命担当者」の活躍を描いた連作集、、、

スッキリするオチが用意されており、心地良い読後感があるものの… 金融機関不信に陥ってしまうようなネタの連発なので、胃が重たくなるような不安感が残ってしまう作品でもありますね。

実際の金融機関にも、「指宿修平」「唐木怜」のような正義感に溢れる人物がいてくれることを祈りたいと思います。

 ■漏洩
 ■煉瓦のよう
 ■官能銀行
 ■灰の数だけ
 ■ストーカー
 ■特命対特命
 ■遅延稟議
 ■ペイオフの罠
 ■解説 高任和夫



『漏洩』は、帝都銀行から流出した数万件の融資先名簿が業者に売り込まれた事件を解決する物語、、、

「帝(ミカド)」と名乗る犯人は500万円でデータを買うようにと言う… 流出の経路は、名簿を売りつけようとしたものは誰なのか。

疑惑は店内に向けられ、当時、融資を担当していた「藤枝」に、取引先からの接待等で融資が断られなくなったこと(オブリゲーション)が疑われる… 


『煉瓦のよう』は、叩き上げで執行役員の肩書きを得たバンカー「田島」に200億円の損失に関与した疑惑が浮かんだ事件を解決する物語、、、

取引先の蔵元建設が民事再生法を適用することになった… 乱脈経営が明らかになり、裏金が帝都銀行に流れているという噂が流れる。

そして、「田島」は真実を語らないまま、銀行の名誉を守るため自ら死を選ぶ… うーん、ラストのスッキリ感がやや足りなかったかな、、、

でも、きっと、この後「指宿」が真相を究明してくれたはず。


『官能銀行』は、帝都銀行の女子校員がAVに出演したことが写真週刊誌にすっぱ抜かれた事件を解決する物語、、、

ビデオを入手し確認するが顔は隠されており、人物を特定することはできない… AVに出演した人物は総務部の「川島奈津子」だと告げる怪文書が届き、「指宿」は人事部の「唐木怜」と組んでその女子行員を特定すべく調査に乗り出す。

原因は、一般職から総合職へ変えてやると言って、彼女を弄んだ上司への復讐だったとは… 金融機関に限らず、企業内でリアルに、ありそうなことだけに怖い。


『灰の数だけ』は、品川支店長の「堂島」の妻子が誘拐され、1億円の身代金が要求された事件を解決する物語、、、

「唐木」が身代金運搬役を担当する一方で、かつて「堂島」が融資に関わった関係先のリストが当たられる… 回収を担当した倒産先の恨みか。

『官能銀行』で組んだ「唐木怜」が人事異動で「指宿」の相棒となって活躍するサスペンス要素の強い作品でした。


『ストーカー』は、渋谷支社の総合職の女子行員「前原美樹」がストーカー被害にあっている事件を解決する物語、、、

ストーカーは、「美樹」の自宅に侵入しパソコンを触った形跡があるが、犯人と思われた同僚の男性行員「古橋洋一」には、パソコンが触られた時間にアリバイがあった… パソコンから削除されたデータから、不良債権先への不正資金流出との関連が浮上する。

ストーカーに容疑の眼を向けた別な犯罪… こちらもサスペンス要素の強い作品でしたね。


『特命対特命』は、債券部の「宮野」が不正な取引を繰り返し巨額の損失を出した事件を解決する物語、、、

帝都銀行のスタートレーダーによる巨額資金損失… 彼の失敗を、かねてから煙たい存在だった「指宿」に押し付けようとする人事部と総務部の抗争。

人事部は企画グループの「星川謙一」を中心に、総力を上げて「指宿」を叩き潰そうとするが、最後の最後でどんでん返し… スッキリする展開でした。


『遅延稟議』は、川崎支社長の「水原」が飲み会の帰り道に刺されて大怪我を負った事件を解決する物語、、、

犯行の際、犯人は「水原」「ざまあみろ」と犯人はつぶやいたと言う… 警察に協力しながら独自の捜査を行う「指宿」

支社長の「水原」を恨んでいるのは誰か?保身だけの銀行員と誠実な銀行員… 融資絡みのトラブルと思われた事件の真相は行内に向かいます、、、

法律では許されても、人として許されない行動があるんですよね。


『ペイオフの罠』は、本書で唯一「指宿」ではなく「唐木」視点の物語で、過去に彼女が対応していた個人の顧客で、京浜銀行の「秋本」の得意先でもある老女「静枝」に関するトラブルを解決する物語、、、

「秋本」「静枝」「おばあちゃん」と呼び日頃から親しくつきあっており、「秋本」を信用した「静枝」は他行の預金2,000万円を「秋本」の京浜銀行に預け替えるが、その矢先、京浜銀行が破綻… 個人的には、本書の中で最も許せない犯罪行為、善人を装い一般庶民を騙して、その人たちの貴重な貯蓄を使って私腹を肥やす行為は許せないですよね。



「池井戸潤」作品… 愉しめました、、、

次も「池井戸潤」作品を読んでみようかな。




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