ジョルジュ・サウンド先生の夢と感動日記

人生のテーマは「夢と感動」
音楽に関する夢や感動を綴っています。

クリスティアン・ツィメルマン所沢公演

2009年06月20日 | 今日、感動したこと
夫と一緒にツィメルマンのピアノリサイタルに行った。

彼が18歳でショパンコンクールに優勝した時から、ずっと大ファンである。

とにかく音色が美しく、表現力が素晴らしい!
特に高音のP(弱音)は息を呑むほどの緊張感と美しさ。
ベートーベンのソナタ2楽章のトリルは、音の粒が揃って真珠のように煌めき、まさに神業としか思えなかった。
またペダルの使い方がすごく上手で、バッハもペダルを使いつつも音が濁らず、主題がくっきりと浮き立っていた。
また弾き始めと弾き終わりの余韻を非常に大切にする人。
鍵盤から手を離して、ペダルから足を上げる時まで、気を使っているのがよくわかった。
サントリーホールでは、フライングの拍手が顰蹙をかっていたようだが、
所沢ミューズでは、観客も一緒に固唾を呑んで見守っているという感じだった。
ただ残念だったのは、冷房が効きすぎていて、あまりの寒さに咳をする人が数人いたこと。
外は暑かったのに、上着が必要だった。(私は持って行って良かった~)
それから、アンコールがなかったこと。
アンコールでショパンを弾いてもらいたくて、
何人もの人がスタンディングで拍手をし続けたけれど、
4回出てきた後、手を振って帰ってしまった。
1回目に出てきてくれた時、ピアノの方に手を差しのべたので、
「あっ、アンコールしてくれるのかな?」と期待したのだけれど、
今、考えてみれば、あの仕草は「ピアノにも拍手してあげてください。」ということだったのだろう。

知る人ぞ知る、ツィメルマンは自分のピアノを演奏会場に持ち込んでいるのだ。
自分の親友みたいに、大切にしているのだ。
それが演奏からも窺える。
ピアノに対して、とても誠実な弾き方。

他のピアニストを引き合いに出すのも失礼ではあるが、
ミシュクのように、椅子に座ってすぐに弾き始め、観客が喜びそうなプログラムばかり集めたりしないし、
ブーニンのように、テクニックをひけらかして、オーバーアクションをしたりもしない。

ただただ美しい音を響かせるために、あらゆる神経を使い、ピアノに対して真摯に向かう姿がある。
演奏に対しては何の不満もないが、
私はどうしてもショパンが聴きたかった。
それだけが残念でならない。

今日のこの日のために、実はポーランド出身のALTの方に、
ファンレターをポーランド語に訳していただいた。
今頃、読んでくれているかな~

そういえばリサイタル終了後、出待ちしているファンが大勢いた。
私も待っていようと思ったが、夕食の用意をするため、夫と帰った。
これが現実。

暫し別世界に連れて行ってもらい、日常の些事から解放され、夢心地気分を味わった。