:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 教皇暗殺事件 (完結編)その-2

2011-03-09 23:15:32 | ★ 教皇暗殺事件

 

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教皇暗殺事件 (完結編)その-2

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前回、話しの落ちを期待して読まれた方には、とんだ肩透かしになってしまって申し訳ありませんでした。でも、大分煮詰まってきた感があります。 

いわゆる「ファチマの予言」と呼ばれるものについて、インターネット上では日本語だけでも様々な情報があふれています。  

例えば: 1917年、ポルトガルの一寒村、ファチマに住む3人の幼女の前に聖母マリアが6回にわたって出現し、最後の日には10万人の大観衆の前で大奇跡を現出させ、当時のヨーロッパ全土に一大センセーションを巻き起こした。しかもその際に「人類の未来にかかわる3つのメッセージ」が託された。これが有名な「ファチマ予言」である。
  第一と第二のメッセージ(予言)は、25年後の1942年にバチカンから発表された。第一次世界大戦の終結と第二次世界大戦の勃発に関するもので、いずれも細部にいたることまであまりにもピタリと的中していた。
  そこで人々は、第三の予言の発表を待ち望んだ。なぜかこの予言だけは、1960年まで公表してはいけないとメッセージされていたからである。
  だが、予言は1960年になっても発表されなかった。
  第三の予言を読んだ法王パウロ六世が、内容の重大さにショックを受けて卒倒し、「これは人の目に絶対に触れさせてはならない。私が墓の中まで持っていく」といって、発表を差し止めてしまったからである。
  その後も第三の予言は秘密文書として、バチカン宮殿の奥深く、今も厳重に秘匿されており、そのため「ファティマ第三の秘密」ともいわれている。 

などという、如何にもジャーナリスティックな記事がありますが、これなども、事実と筆者の自由な解釈が混在する恣意的な作文であった、とても額面通りに全てを受け取るわけにはいきません。

 教皇ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂事件の真相を彼の秘書のスタニスラオ枢機卿の記録に求めたように、ファティマの秘密についても、信用できる原資料によらなければ、説得力のある話にはならないのです。そこで私は以下の文献に専ら依拠することにしました。



写真は、教皇庁発表によるファティマ「第三の秘密」に関する最終公文書の表紙です。

私は、この一連のブログの結論をこの資料を参照しながら書きたいと思います。

 

 その資料によれば、「秘密」の第一部及び第二部の核心は以下の通りです(ルチアの書いたことばの文字通りの引用。ただし、原文はポルトガル語で、日本語の訳される段階で既に多少のバイアスがかかっていることは避けられませんが):

 

第一は、地獄のビジョンでした。

マリアは、私たちに広大な火の海をお見せになりました。それはまさに、地の下にあるもののようでした。この火の中に、サタンと人間の形をした魂とが閉じ込められていました。この魂は、透き通るように燃え上がる燃えさしのようで、全ては黒く、あるいは光り輝く青銅色をしていて、大きな炎の中に漂っていました。彼らは自分の中から放つ炎によって、巨大な煙の雲と共に空中に吹き上げられ、ぞっとするような、しかも恐怖に震えあがるような苦痛と失望の悲鳴とうめき声を上げながら、重さもバランスも失って、火花のように大火の中を四方八方に飛び散っていました。サタンは、見たこともない奇怪な動物の形をしていたのでそれと分かりましたが、戦慄を覚えさせるような気味の悪い形相をしており、透明で黒い色をしていました。このビジョンは、本の一瞬の間続いただけでした。天の母マリアが、最初のご出現の時に私たちを天に連れていくことを前もって約束してくださっていたことに、私たちはどれほど感謝したことでしょう。もしそうでなければ、わたしたちは恐怖のあまり死んでしまったと思います。

第二は、いわゆる予言の部分です。

その後、マリアに目を上げると、優しいけれど悲しそうに、こうおっしゃいました。

「あなたたちは、あわれな罪人の魂が落ちていく地獄を見ました。罪人を救うために、神は、わたしの汚れない心に対する信心を世に定着させるよう望んでおられます。もし、私があなたたちに言うことを人々が実行するなら、多くの魂は救われ、平和を得るでしょう。戦争がもうすぐ終わろうとしています。しかし、もし人々が神に背くのをやめないなら、ピオ十一世が教皇である間に、もう一つの、もっとひどい戦争が始まるでしょう。ある夜、まだ見たこともない光が闇を照らすのを見たなら、それは、戦争や飢餓、教会と教皇に対する迫害による世の罪のために今まさに神が、世を滅ぼそうとしておられる大いなるしるしであると悟りなさい。それを防ぐために、私の汚れない心にロシアを奉献することと、償いのために毎月初めの土曜日に聖体拝領をするよう、わたしはお願いにまいります。もし、わたしのこの要請を受け入れるなら、ロシアは回心し、平和が訪れるでしょう。さもなければ、ロシアは、戦争と教会への迫害を推し進めながら、自分の誤りを世界中にまき散らすでしょう。善良な人々は殉教し、教皇は非常に苦しみ、多くの国々は滅ぼされるでしょう。けれども、最後には、わたしの汚れない心が勝利するでしょう。教皇は、ロシアを私に奉献し、ロシアは回心し、世界に平和の時が与えられるでしょう」。

引用が十分長くなりました。不本意ながら、またここで一休みです。

一つだけ注意を喚起しておきたいことがあります。それは、これが、10歳の時、ルチアが見、理解したことそのままだということです。地獄のヴィジョンは、見たのなら見た通り彼女らの素朴な語彙を駆使して描写することはそれほど難しくないかもしれません。しかし、ロシアという国があるのか、何処にあるのかも知るはずのない田舎の無知な牧童が、貴婦人から告げられなければ、どうしてそれについて語ることができたでしょうか。第一次世界大戦が起こっていたということすら知る由もなかった素朴な子供たちが、どうしてその終結や、その後の世界情勢について語り得たでしょうか。人々が神に背くとか、罪と滅びの関係とか、宗教的、神学的概念が羊の後を追うこと以外に何も知らない牧童の頭に如何して勝手に浮かぶことがあり得たでしょうか。また、ヒットラーのナチスが戦争に突入する前夜に、ヨーロッパ中に不思議な光が夜空を照らした現象は、どうやら客観的史実であるらしいことをどう説明したらいいでしょうか。

冒頭の三人の牧童の写真をもう一度見ながら、よく考えて見て下さい。また、いわゆる「予言」の部分は、ジャーナリスティックに書きたてられているものとはかなり趣を異にしていると思いませんか。

次回は、一回分のスペースで、第三の秘密の原文と私の結論をカバーできることを期待しつつ、ひとまずここで区切ります。 (つづく)

 

 

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