楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

ちょっとヒラリーさんを見直しました

2011-11-22 01:55:28 | タイの政治経済

バンコクの洪水は、もう意外な展開が考えられないところまで煮詰まってきたようです。タイの新聞も、とくにブログに取り上げるような記事は、タクシンさんの恩赦問題以外はありません。

そこで、またニューヨークタイムスに登場してもらいます。私自身は、アメリカのヒラリー・クリントンさんがどういう人なのか、特にイメージを持っていませんでしたが、今回のバンコク訪問についてのNYタイムスの報道を見て、少し思うところがありました。

一言でいうと、「よく気のつくおばさん」とでも言うのでしょうか、タイでは、非常に好感度をあげた人だと思います。ひょっとして、彼女は日本にはあまり興味がなさそうですから、その対比が際立ったのかも知れません。

「クリントン訪問で、微笑みが不安を隠す」という記事です。

http://www.nytimes.com/2011/11/18/world/asia/smiles-hide-fears-as-clinton-visits-flood-victims.html?_r=1&scp=9&sq=bangkok&st=cse

 

この記事によると、ヒラリーさんがバンコクを訪問するにあたって、訪問先になっている避難所のスポーツセンターでは、とにかくカッコ悪いところは見せないように取り繕ったり、優等生的な事を話せる住民を選抜して、ヒラリーさんを迎えました。

でもこの記事のミソは、ヒラリーさんは、自分が行くとそういう準備がなされることを十分知っていて、実は最初は、避難所の現場を訪問することを躊躇したというところです。

 

東日本大震災の後、菅総理大臣が東北地方の避難所を訪問した時もそうなのですが、あらかじめ誰と会話するかはセッティングされます。(菅さんの時はハプニングがありましたが)ヒラリーさんは、自分の訪問がかえって避難民に迷惑をかけることを知っていたのです。そのあたりのニュアンスをきちんと伝えるのはさすがNYタイムスです。受け入れたタイ側の関係者や、避難民の気持ちをきちんと伝えています。日本の首相が被災地を訪問しても、本当はどういう気持ちで訪問したのか、裏で何が行われたか、そういうことは一切伝えない日本のメディアとは大違いです。

 

訪問した避難所でヒラリーさんと会話した人たちは、期待された通りの会話をしました。なぜなら、役人たちがあらかじめ、礼儀正しく、きちんと話のできる人を選んでいたからです。「笑顔で接することのできる人」が選抜されたのです。

記事によると、「(アメリカのえらい人が来るという)状況をよく理解し、幸せそうな表情のできる、しかも子供や年寄りのいる家族を選んだ」のです。

ヒラリーさんは、10分間、その避難所に居て、人々と会話しました。もちろん、その前に、避難所の中は、ヒラリーさんが中を通れるように、きれいに片付けられていました。

記事によると、実際には、避難所にいる人たちの多くはストレスに耐えきれず、さまざまな精神的な問題を生じている人たちもたくさんいます。今月の初め、タイの公衆衛生大臣は、洪水が原因で114,000人を超える被災者が、なんらかの精神的な障害を抱えていると報告しています。そのうち6,000人以上が重度の抑うつ状態にあり、1,000人以上が自殺の危険性があるとしています。

 ヒラリーさんは、アメリカ大使館の係官に、自分が被災地を訪問することに対する複雑な思いを吐露しました。訪問したいんだけれども、相手に無用な負担をかけるというジレンマです。実際、バンコクの道路は、彼女が通るために車の通行が規制され、避難所の体育館には、当日は何百人という警察官が動員されて警備に当たりました。被災者の多くも、彼女を歓迎するために布団を片付けたり、いろいろと準備をしました。

ヒラリーさんがバリ島で開かれるAPECの会議の前にバンコクに立ち寄る決定をしたのは、洪水の苦境にあえぐ「アジアの最良の友(のひとつ)」を励ますためでした。そして彼女は「タイの人たちの回復力と楽観主義が必ず問題を解決してくれる」という確信をもってバンコクをあとにしました。

 

一昨日も書きましたように、ニューヨークタイムスは、ヒラリーさんがインラックさんとの会談で、「政治的な和解は大切だわ」と述べて、、タクシン氏の恩赦による国内の混乱を避けるように、アドバイスしたことまで報道しています。また洪水に苦しむタイの人々実際の姿や、昨年までは政治に深く関与してきた軍の動きに至るまで、タイ国内の動向を折に触れて報道しています。これについては、このブログでも書きました。

 一方、日本のメディアは、日系企業の被害を中心に、洪水の被害ばかりを報じており、タイの人々がこの国難をどう感じ、どう乗り切ろうとしているのかという視点は、残念ながらきわめて少ないようです。工業団地に被害が及ぶかどうか、日本人居住地区に影響するかどうか、それは当然重要なポイントではありますが、タイの洪水の真実はあまり伝わってきませんでした。

これだけ世界の中で、経済的には重要な役割を果たしてきた日本ですが、メディアの国際感覚は、アメリカと比べると大学生と小学生くらいの違いがあるのではないかと思ってしまいます。また日本の外交姿勢も、自国の利益を主張することはある程度できているような気がしますが、国際社会におけるリーダーの一人という成熟した対応ぶりをしてるかという点になると、アメリカの足もとにも及ばないような気がするのです。

野田首相は、ASEAN諸国の災害対策関連等で巨額の支援を約束しましたが、インラックさんとの個別会談で述べたのは、とにかく「被害を受けた日系企業の復旧にタイ政府の特段の配慮をお願いしたい」という1点に尽きます。とっくに現地の商工会議所が要求したのと同じ内容を言ったにすぎません。正直、がっかりしました。

日本の首相や外相が「(タイ国内の)政治的和解は大切です」などという発言は中々できないと思いますし、そもそも、その意味を知っているのかすら怪しいと思います。大きな会議で存在感を示すことも重要ですが、個別の会談はそれ以上に大切だと思います。

 

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして (yoko)
2011-11-23 05:07:43
ヒラリーさん、最初は気が強い上昇志向の女性なのかと思っていましたが、彼女はきっととても気のつく人なのですね。ヒラリーさんは美智子皇后も大好きなのだそうです。アメリカの中からもっともっと活躍してもらいたいです。
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こんにちは (うさぎ)
2011-11-23 09:51:31
yokoさん、コメントありがとうございます。
ヒラリーさんは、夫のビルより、はるかに聡明で優秀だと言われていましたが、私生活では苦労しました。今でも元大統領のことを聞かれると、冷静さを失うところもあって、そこがまた人間的でいいです。まだまだ活躍してほしい人の一人だと思います。
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