さきほど(30日、タイの午後10時ごろ)国家平和秩序維持委員会のトップ、プラユット将軍のテレビ演説が放送されました。時間にして30分ほどだったでしょうか。もちろん他の番組を中断して放送されました。
突然だったのでメモも取らずに聞いたので、かなり忘れてしまいましたし、勘違いもあるかもしれませんが、英語の字幕を読む限り、とてもわかりやすく、考えていたよりも至極まっとうな演説でした。
プラユット司令官の話では、今はまず国内の対立抗争に終止符を打つことが当面の最重要課題。おそらく2~3か月はかかるが、「和解」を成し遂げなければならない。その段階が終わると憲法草案を法律家の手によって作り、さまざまな改革を実行してから、しかるべき時期に総選挙を行う。その時期は1年以上後になると思われる。
タクシン派、反タクシン派を問わず、また一部の学者を拘束したり、メディアへの規制をかけていることについては、国民を分断に導くような考えを改めてもらうために行っていることで、該当する人たちには数日間我々のところに来てもらっている。しかし、決して拷問を加えたり、その人たちの人権を蹂躙するようなことは行なっていない。大体2~3日くらい、法令違反を犯していなければ、長くても1週間だけだ。我々は人権を十分に尊重している。
夜間の外出禁止令は現在は午前0時(1分)から午前4時までに改めた。夜間働く人や観光地区等は除外している。これからも適宜見直していきたい。全国一律ではなく、地域によって変えていくこともある。武器や薬物等の探索も行っており、国内の抗争が収束し治安が安定するまでの一定期間必要なものだ。
抗争によって滞っていた2014年度の予算執行については、透明性が大切だ。国民の生活に直結した予算はきちんと実行する。すでに米農家への支払いを実行している。予算規模の大きな国家プロジェクトは見直さざるを得ない。しかし、鉄道の複線化や電化など、必要なプロジェクトのための予算は削らない。国家予算は国際的な基準にのっとり、海外の投資家から見ても透明性のあるものにしなければならない。10月1日からの2015年度予算は、次の内閣(軍主導の暫定政権)が的確に編成できるようにしていく。
エネルギー政策については風力発電などの自然エネルギーの活用にシフトしていかなければならない。農業のあり方を見直さなければならない。化学肥料をできるだけ使わず、効率的で適正な価格の野菜を供給しなければならない・・・
国際社会がタイの現状に懸念を抱いている。出来るだけ早く本物の民主主義を築いていかなければならない。それには、国内の対立をまず終わらせることがどうしても必要だ。それまでしばらくの間、我々に舵取りをさせていただきたい。国内に平和が戻れば、当然軍は通常の任務に戻る。
タイ国民と外国の方々が安心して暮らせる国になるために、これまで停滞していた改革を前に進めなければならない。それには少々時間がかかる。友好国のみなさんもその点をぜひ理解してほしい。我々は自分たちの利益のためではなく、人々のために一生懸命働く。一致協力してタイをよい国にしていきたい・・・
当面の行政機構や政策課題の到達目標などについて、かなり細かな話があったように記憶しています。逐一英語の字幕の付いた放送で、外国人をかなり意識した放送の仕方と内容でした。正直な感想を書くと、どちら側にもつかない公平な軍部というものがありうるのかどうかはっきりしませんが、経済の立て直しを重視し、外国人にも理解を求め、これだけまっとうな事を言うんだったら、しばらくは軍政の手さばきを拝見しようというところでしょうか。国内の対立抗争が本当に収束することを祈りたいですね。
※プラユット司令官の演説は、土曜日の午前8時から再放送されました。何箇所か英語の字幕が変更されているところからして、誤訳があったのかもしれません。私の要約(?)の不正確な点はご容赦ください。
↓ランキングに参加しています。よろしかったらクリックをお願いします。面白かったとか役に立ったとか思われたなら、できればもう一つか二つ、よろしく。そうすると皆様に支えられている気がして、書く意欲が出ます。
ぜひ観てみたかったです。
軍はタクシン勢力排除の方向に傾いき中立とは言い難いように思えますが、
本当に国の方向を考えているんだろうなーというのは伝わります。
できる限り国王を担がないように配慮しているところなど、
国王への愛を感じます。
あのままずっと何も決まらず1年以上同じ状態が続くか、
軍が介入するか、
どちらかしか無かったのならば、
軍が介入して良かったと、個人的には思います。
私は何をもって「和解」というのか、そのあたりが良くイメージできません。海外にいる人物は違法に私腹を肥やしたのは事実ですが、稀有な傑物なので、その影響力を無視しての和解はないのではと考えざるをえません。
まだまだ軍が描いている民主化への行程には紆余曲折がありそうです。来年の今頃、誰が政府を率いることになるのでしょうか・・・
Elections 15 months away
でも、15か月後に、タイで公正な総選挙ができたら凄いが、本当にできるのだろうか?
身近に居るタイ人たちが共通して言うことは、
タイでは、政治 = corruption(タイ語化英語)
タイでは、選挙 = 買収
近所に住むタイ人のA君は、東北タイの出身者。
タイの東北地方は、イサーンと呼ばれている。
A君のお父さんが、昨年、町長選挙に立候補。
イサーンの田舎、小学校の各学年が2クラスという規模の町の話である。
A君のお父さんは、選挙のために先祖代々の山などの広大な土地(の一部)を売った。
選挙資金は、1票=2000バーツで算出した。
今までなら、選挙に勝てる資金の筈だった。
しかし、A君のお父さんは、落選してしまった。
ライバルが、1票=2500バーツ出したからだ。
昨年は、インラック首相が、巨額の国家予算を米に投入して、莫大な余禄が見込まれたから、町長になる権利金(買収金)が暴騰したらしい。
タイの地方選挙は、一般的に、グループ当選。
某グループが当選すると、親分が町長になり、子分が各役所の長に納まり、稼ぎ捲る仕組み。
選挙にさえ勝てば、選挙資金の数倍は稼げる。
タイの地方行政は、投資ビジネスなのです。
タイでは、行政の建設・工事を落札した場合は、数割が、国でも町でも、そのボスに支払われる。
コメ政策でも、キックバックは巨額だった筈。
(これを、先進国では賄賂・横領と呼ぶのだが)
インラック首相は、1票=500バーツで東北の票を買って、当選した。
インラック首相は、2011年から失脚するまで、国庫の金を空にするまで、キックバックによって稼ぎ捲ったと、タイの人々の多くは信じている。
国庫の金を、タクシン家に横流ししていたと。
(それが、赤服のテロ資金にもなっている)
そして今・・
タクシン派政権の、買収選挙→横領政治により、弱体したタイの国を軍政が立て直そうとしている。
尻拭いですね!
15か月後に、公正な総選挙をする計画を立て、すでに、地方自治体のボスを交代させたりして、策を進めている。
しかし・・
そもそも、タクシン派が買収する選挙民たちは、税金なども払ってはいないクラスの人々なので、国庫の金を横流しても、何とも思わないでしょう。
選挙改革以前に、教育改革をしないと、抜道が、また、できてしまうのではないだろうか。
正しい選挙を知らない、タイの草の根の人々に、僅か15か月後に、公正な選挙を求めることは、難しいのではないか、と思います。
教育改革すれば、15年後に、草の根の人々も、民主政治=金儲けではないとわかるでしょうが、それまでは、待てないのでしょうね。
タイの軍事政権による、国と政治の建て直しは、難しいことであっても、みんなが期待しています。
国のことを思っている人が、ヤルしかない状況で、常習の買収選挙+横領政治の撤廃を期待します。
アメリカは、パワーで世界をコントロールしますが、タイは、パワーを使って、民主主義を修正します。
民主主義という名の自分勝手が進み過ぎたとき、歯止めをする「父親」が必要な国なのです。
いずれにしても、タイの軍政は長引く見通しです。
赤服タクシン派の暴動、テロ活動が有り得る状況、バンコクや関係地域では、注意が必要ですね。