自燈明・法燈明の考察

人生の意味について

 故・高畑勲監督作品の「かぐや姫」を動画サイトで久しぶりに見ました。かぐや姫とは「竹取物語」という事で、日本では昔から語り継がれた話ですが、それに高畑氏が独自の解釈を付けた作品なんですね。成長が異様に早く、その美貌で天皇に見初められながら、それを拒否、最後に月に戻るのですが、その月から迎えに来たのが阿弥陀如来。しかも「天の羽衣」を羽織る事で、この世界のすべての思い出が消えてしまうと言うのです。「清らかな月の世界に戻れば、その様に心ざわめく事もなく安らかに過ごせます」という天人の言葉に「穢れてなんかいない」として「鳥・獣・人の情けを」と言ったところで羽衣を着せられ、月へと帰っていく。「姫の犯した罪と罰」。なかなか含蓄ある物語ですよね。


 このアニメでは阿弥陀如来が迎えに来た時、小さな天人が奥に隠れていたかぐや姫を迎えに行き、そのかぐや姫が両手を前に表情を無くしてすべるように出ていくシーンもありましたが、あれは姫が死んだ姿だという評価もあり、そこから考えると姫が月の世界に還る(阿弥陀如来に連れられて)というのは、人が死にゆく姿と重なるという解釈もありました。そこから考えると月の世界とは「中有(死後の世界)」という事なのかもしれません。

 人は何故、この世界に生まれ出てくるのか。その罪と罰とはどういう事か。
 このかぐや姫の物語を見ていると、ふとその様な事に思いを馳せてしまいました。

 ここで少し話の角度を変えて。アメリカ人のニール・ドナルドウォルッシュ氏が著作した「神との対話」では、人間の生まれ出た目的は「経験のため」という話がありました。この本では、ニール氏が自動書記という方法で「対話」を開始した「神」がいまいしたが、この「神」とはヤソ教(キリスト教・ユダヤ教・イスラム教)の神ではなく、人々の心の奥底にいるような存在でした。そしてその神が語る世界とは以下の様なものでした。

「宇宙の始まりと共に自分は存在していたが、単体では自分は何者であるか認識する事も出来ない。だから自分を二つに分けた。そうする事で自分を外から認識する事が出来た。そしてその経験をもっとするために、より自分を細かく分離し、その結果、貴方たちが出来た。だから貴方たちと私は”同質”であり同じ存在なのだ(要旨)」

 つまる所、人がこの世界に生を受けたのはさまざまな物事を経験する為で、神と私達一人ひとりは同質な存在である。これがニール氏が啓示を受けた事でした。人生の楽しい事、苦しい事、それはすべて人生における大事な経験であるというのです。そして「貴方と私(神)は”同質”」という言葉で、人は人生で願いを叶える事を基本的にできるが、それをしないのも、実は自分自身心の奥底の選択だとも言うのです。

 これは非常に興味深い話ですね。実はこの話は、J・L・ホイットン氏の「輪廻転生」で多くの被験者が語った内容と重なってもいるのです。

 法華経に於いては「久遠実成の釈尊」という事が、如来寿量品で明かされるのですが、ここでは久遠実成の釈尊とは、この世界に生誕した釈迦でもあり、その釈迦が過去世に付き従い、教えを受けた仏や菩薩であるとも言うのです。この法華経の展開も先の「神との対話」や「輪廻転生」に通じる内容があると思われます。
 法華経自体、その成立が釈迦滅後、五百年あたりで釈迦を渇仰する人達の間で行われた瞑想で、その人達がそこであった釈尊に受けた教えが原典であるという説も近年では言われていますので、同じ土壌で成立したと言う可能性もあります。

 私達は人生の中で、様々な苦難に遭遇する度に、自分が生まれてきた事について思いを馳せ、そこで無力感や大きな矛盾を感じる事があります。そして時には自分自身の存在を否定してしまう事もあったりします。しかし自分自身を肯定できれば、そういった人生の上で起きる様々な事について、別の視点を持つことができるし、そこに人生の大きな意味を感じる事が出来るのかもしれませんね。


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コメント一覧

jitou_houtou
この「思考が叶う」という事も、実はややこしい事を人間に誘発したりするから悩ましいです。
制限解除したら
考えたこと思ったことが次々と叶う。自分自身、最近特に実感していて、巷でも、これが5次元と、「思考に気をつけなさい」とのメッセージをよく見かけます。月の裏側や意味についての噂は沢山見聞ききしますが、秘密解除が成されるのはいつになりますかねぇ。
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