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自燈明・法燈明の考察

人間五十年と詠われましたが

「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり、一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」

 これは平家物語の「敦盛」の抄で、戦国大名である織田信長が好んで謡っていたと言われています。そしてその織田信長は享年49歳で、京都の本能寺で明智光秀により討ち取られたのは有名な話です。

 何故こんな話をするかと言えば、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ているんですが、それと共に戦国時代の歴史モノについても最近読んでおり、丁度、織田信長から豊臣秀吉、そして徳川家康までの歴史について読み返しています。

 考えてみれば、武家社会というのは、鎌倉時代に始まって、江戸幕府の成立で完成したような感じで、要は400年近くかかったんですよね。安定するまで。

 その間、鎌倉時代もそうですが、室町時代(南北朝時代)から安土桃山時代の間、所々で社会は安定したのですが、多くは武家の中で覇権争いに明け暮れていた時代とも言える訳です。そして武士たちは、打ち続く戦の中で戦い、多くが短い生涯を送ってきたわけです。ある意味で「死ぬ事」が当たり前の社会でもありました。

 鎌倉時代には武士ではなく「豪族」と呼ばれていましたが、安土桃山時代には「武士(もののふ)」と言われ、単に荒くれ者であった豪族ではなく、武家社会独自の文化も出来上がってきました。そして今の時代では「武士」と呼ばれる様になり、「侍魂」という一つの思想的な事も出来上がったと思います。

 私は若い時から歴史モノが好きで、様々なものを読んできました。しかし五十代の半ばになって、こういった武家社会の歴史や、そこで繰り広げられる人の愛憎劇や「死にざま」を見ていると、若い頃とはその見方が少し変化してきた事が自分なりに気付いたりします。

 この見方の変化ですが、やはり自分の中に「人生の終焉=自分の死」という事が、以前よりも実感を増してきている事がある様です。

 この「人生の終焉」について、初めて自分の中で変化を感じたのは四十代で経験した「父親の死」でした。

 それまでの四十年間、何気なく当たり前の様に存在していた父親が、病気になってある時に死んでしまった。これを目の前にした時、いずれ自分もそうなるんだという事を、現実感を持って感じる様になりました。

 そして五十代の半ばになり、職場や地元の中で、知人が亡くなったりする事も度々あり、病気になってしまう人もちょこちょこ耳にします。そうなると単に「実感を持って」という事ではなく、より自分の周りに「死」という事が近づいてきているなという事を感じてしまうのです。

 私は自分の人生を七十五歳までと、勝手に決めています。なのであと二十年有るか無いかという人生の時間です。

 私は生まれてから二十歳までの間は、人生をどの様に生きて行くべきなのか、という事を漠然と考えて生きてきました。「将来何になろう」「どんな事をしよう」と様々な事を考えながら、出来る事はやってきました。まあ今から考えたら青臭い話も多く友人との間でしてきました。

 そして二十歳から今に至る三十五年程の間、とにかく目の前にある事を必死に取り組んで生きてきました。その中では、このブログでも書きましたが、創価学会という宗教団体の活動もありましたし、仕事についても寝る時間を惜しんで取り組んでも来ました。この間は「成功した」という事もあれば、「失敗した」という事も多くありました。また「恥多き人生」と思える事も沢山ありました。しかし「将来、子供が出来たら笑って話せる生き方をしよう」と言う事を考えながら必死に生きてきました。
 今から二十年前には結婚し、所帯を持ち、子供も2人出来ました。最近になって自分の過去の出来事を、子供に聞かれた時に開陳する事が偶にありますが、今の処「笑い話」として話す事が出来ています。(子供には呆れられる事も偶にありますけど)

 そしてこれから二十年。これが私の人生の「着地点」までの時間なのですが、果たしてどの様な生き様を残して行けるのか、最近よく考えたりもするのです。

 戦国時代、「人間」という文字を「ニンゲン」ではなく「ジンカン」と呼んでいたとある書籍で見ました。

 要は多くの人と交わる生き方を「ジンカン」と呼んでいた様ですが、私はこの人生でどんな「ジンカン」を味わったという事を、自分が死ぬときに言えるのでしょうか。満足できるのかな?できないのかな?満足するとしたら、その為に何を為すべきであり、その為に何が必要なのか。そういう事を大事に考えて行かなければならない年齢になったのかもしれません。

 「夢幻の如くなり」と敦盛の抄にはありますが、いま生きている事がこの先も無限に続く訳ではなく、時間には限りがある訳ですからね。「生きている」という事、そして「死ぬ」という事も、より具体的に考えなくてはならない。そう思ったりするのです。

 取り留めない話ですが、以上です。

 


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