次世代総合研究所・政治経済局

現代の日本および国際政治経済に関する隠れた視点を、国内のどのメディアよりも早く提供するページです

政治主導で特別公務員職権乱用罪適用を

2007年06月20日 23時32分38秒 | Weblog
富山県警に女性暴行の容疑者として逮捕され、約2年1カ月服役した後に無実と判明した男性(40)の再審初公判冤罪男性で当時の取調官の証人尋問が却下された。http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070620/jkn070620015.htm

 弁護団は「極めて遺憾。明らかに不当な捜査が闇に葬られた」と批判したというが、この問題はより深いものを含んでいる。

 というのも近い将来(平成21年まで)裁判員制度が導入されるからだ。

 我々一般市民が裁判員に選ばれた場合、検察側の主張を鵜呑みにしないためにも、この際、徹底的に取り調べの実態を明らかにすべきだ。もし、それができないというのなら録画、録音なき取調べは無効とするほかない。

 次回の7月18日には男性への被告人質問を実施してはやくも結審する見通しだというが、ここまで裁判官が腰抜けならばいよいよ国賠訴訟に訴えるほかあるまい。

 これについては過去の判例上も根拠がある。

「刑事事件において無罪の判決が確定しただけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法になるということはない。逮捕。勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当の理由があり、かつ、必要性が認められる限りは適法であり・・・・・(以下省略)」という判決(最高裁53・10・20)が出ている。

 下線を読む限り公訴提起をした検察官や取調べをした警察官を訴える価値は十分ある。

 上記判決は起訴した検察官に国賠の責があるとして公訴を提起したものだが、実は責任はいっそう緩やかにしか認められなかったものの、再審で無罪となった場合に有罪判決を下した裁判官を訴えたものもある。(最高裁平成2・7・20)

 
 さらには、特別公務員職権濫用罪(刑法第194条)の適用を検察に対して求めるということも考えられる。当然富山地検は拒否するだろうから、名古屋高検に対して提起することになろう。

 先にも述べたようにこの問題は来る裁判員制度への試金石になる。本件についてはその重大性に鑑み、最高裁と最高検が特別に協議の上対処すべきだ。無論、官邸が法務大臣を通じて検事総長を指揮する(検察庁法第14条)こともありうるだろう。裁判員制度普及に対してぬるま湯的対応しかしていない最高裁事務総局まかせでなく、政治主導にすべき。この問題はそれほど深いものがあるといえる。

 

 国家賠償法 第1条
 ①国または公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国または公共団体が、それを賠償する責に任ずる。

 特別公務員職権濫用罪(刑法第194条)
 ①裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、六月以上十年以下の懲役又は禁錮に処せられる