月想記

戯言日記

醒めて歌え・青少年のための無人島入門

2015-11-29 | 芝居
11月28日(土)下北沢OFF・OFFシアターにて劇団APB-Tokyoの『醒めて歌え・
青少年のための無人島入門』を観劇。

観客席ぐらいからの映像を使った表現やデザフェスでのパフォーマンスも経て、APBの
進化系作品と感じた。寺山さんの思想をしっかり受け継ぎながら、新しい事に挑んで
いる印象。
今回は映像作品の醒めて歌えの脚本と舞台の青少年のための無人島入門の脚本2つを、
高野さんが1つにまとめた意欲作。
映像シーンはまるで映画を観ているような感覚になるのだけれど、元が映像の作品だと
アフタートークで知り納得。
ただこの部分が結構長いので、生の舞台が観たくて劇場へ足を運んでいる場合少し
違和感があるようにも思った。最前列だとスクリーンが近すぎて観るの苦しかったし。
私はここ何年かAPBを観ているので彼等の新しい試みには期待感しかないし、観客と
しての自分もまた固定観念を捨てて変わって行きたいと思うのだけれど、他の人から
観たらこういう演出ってどうなのかな・・と思ったりした。
いつも自分の観ようと思っている舞台や映画の感想は事前に出来るだけ見ないように
してるので、見終わったからあれこれググってみよう。うん。

APBの舞台を観ると毎回すごく言葉というものに対して改めて考えてしまう。
寺山さんの紡いだ言葉を通じて、その力、その存在に対峙する。
言葉で言い表す事の出来ない感動があり言葉なんて無意味だと思う一方、言葉によって
人生が変わったり、笑ったり泣いたり、人を殺す事さえ出来る。

言葉は無であり、全てである。

冒険を諦めサラリーマンとなったにんじんは、結局何も無い変わらない毎日を過ごす。
しかし彼だけが負け犬なのではなく、キノミ達偽りの無人島生活者達もまた現実逃避を
しているにすぎない。
そういう自分も生活の為に働き時間に追われ、時折舞台やライブで感動と刺激を貰い
生き長らえている。
私にとっての無人島は、そういった心の琴線を震わせてくれる芸術達なのだ。
舞台を観る度私の血は歌っている。醒めながら。

変化し、進化するAPBから今後も目が離せない。

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